2021年6月3日から2021年9月3日までの3ヶ月間、アイレットの若手エンジニア4名がひとつのチームになり、アマゾン ウェブ サービス(AWS)ジャパンが主催する「ANGEL Dojo for エンドユーザー & AWS パートナー」に参加しました。「ANGEL Dojo」とは、Amazonが持つ様々なビジネス・開発・運用の知識を学びながら実際にサービスのプロトタイプを作成することでAWSを活用したチーム開発を体感できる若手向け実戦型トレーニングです。

この記事では、参加メンバーである山本竜司・鈴木健斗・石黒純也・小石倉広樹、そして今回のプロジェクトでメンターを務めた高橋修一に、「ANGEL Dojo」に参加してみての感想や、学んだことなどを聞いてきました。

3ヶ月の「ANGEL Dojo」で得たものは何だったのか、ぜひご覧ください!


<参加者>
・カスタマー支援事業部 プロジェクト推進セクション
 開発第二グループ 小石倉 広樹(左上)
・クラウドインテグレーション事業部 東京構築第二セクション
 第一グループ 山本 竜司(左下)
・クラウドインテグレーション事業部 東京構築第四セクション
 第一グループ 鈴木 健斗(右上)
・カスタマー支援事業部 プロジェクト推進セクション
 開発第二グループ 石黒 純也(右下)


<メンター>
・クラウドインテグレーション事業部 MSP開発セクション
 大阪第一グループ 高橋 修一 ( iret シニアスペシャリスト)

AWSを触りたい!AWSの価値創造を知りたい!それぞれの参加理由

皆さん、3ヶ月間お疲れ様でした!まず、「ANGEL Dojo」に参加した理由を教えてください。


私は普段フロントエンジニアとして業務を行なっているため、AWSのサービスに触れる機会がありませんでした。チャンスがあればと思っていたところ、「ANGEL Dojo」の開催が社内で周知され、AWSサービスを学ぶことのできる良い機会だと思い、参加を決めました。


私は、単純におもしろそうだなと思ったからです。特に、AWSの価値創造に非常に興味があったので、そのプロセスを学べることを期待して参加しました。


私の場合は、上司から「参加してみたら」と声をかけてもらったのがきっかけです。また、去年「ANGEL Dojo」に参加した先輩から「サービスをゼロから自分たちでつくるプロジェクト」であると聞き、興味が湧きました。普段インフラ側の業務に従事しているため、開発に携わる経験ができるのはおもしろそうだなと思いました。


私は、個人的に何か新しいことを始めたいと考えていたところにちょうど「ANGEL Dojo」のことを知り、参加を決めました。仕事が落ち着いてくると見込んでいた時期の開催だったので、いいタイミングだと思っていたのですが、実際は普段の仕事も忙しくて大変ではありました(笑)


今回の「ANGEL Dojo」では、パートナー企業は自社からメンターがつくことになり、高橋さんが務められたんですよね。メンターを引き受けた理由を教えてください。


まず1つ目は、今回の「ANGEL Dojo」の資料に「DevOps」のキーワードがあったからです。業務でも「DevOps」を実践しているので興味がありました。2つ目は、社内の新人教育に貢献したい、部署が違う若い世代のエンジニアとも直接コミュニケーションを取る機会がほしい、と思っていたからです。

ワークショップで学んだユーザーニーズ発想で「コロナワクチン予約」サービスを企画

「ANGEL Dojo」でどのような活動をしたのか教えてください。


大きく分けてAWSからのワークショップ/講義の時間と、新しいサービスを自分たちでつくるモノづくりの時間がありました。ワークショップ/講義の時間では、AWSのサービスだけでなく、アジャイル開発の仕方やAWSならではの価値創造の方法などを学ぶことができました。モノづくりの時間では、企画の立て方、つくり方などについて実践を通して学んでいくことができました。


モノづくりの方は、どのように進めていったのですか?


AWSのワークショップで学んだ「ユーザー像を考え、ニーズから発想してサービスを企画する」というところからスタートしました。ゼロから自分たちで考えて企画するということは、お客様からの要件ベースで進行していく普段の仕事とはまったく異なったため、新しい経験でした。そのため、とにかくディスカッションをたくさん行ない、アイデアや意見を出しあって進めていきました。


どのようなサービスを企画したのですか。


コロナワクチン接種の予約システムです。電話・Webブラウザどちらからの予約にも対応しており、病院側で予約状況が確認できるサービスです。「ANGEL Dojo」の開催期間は、ちょうどコロナワクチン接種の予約がスムーズに取れないということが社会問題になっていた時期でした。現実的に需要があるため、ニーズなどが想像しやすく、役立つサービスをつくれるのではないかということで決定しました。


タイムリーな時期だったんですね!つくるサービスが決定してからは、どのように進めましたか。


付箋を使用して実装すべきことを列挙し、誰が何を担当するかを決定していきました。得意な人が得意なことをするというだけでなく、その他のメンバーの技術力向上にも繋がるよう、情報共有をしたり、ひとつのプログラムを2人で共同開発する「ペアプログラミング」の手法を採ったり、共同で進めていく工夫を行ないました。

長所を活かした役割分担+メンターからの助言でプロジェクトを進行

具体的には、それぞれどのように役割分担をしたのですか。


普段の仕事で開発をしているのが私と小石倉君。インフラエンジニアをしているのが山本君と鈴木君でしたので、サービス開発ということで私と小石倉君が中心になって動いていきました。その中でも私が開発リードポジションとして全体の進行管理を行なっていきました。


技術リードしていく人、プロジェクト全体の方向を考える人、情報を集めるのがうまい人と、それぞれの長所を活かしながらうまい具合に役割分担ができたと感じています。


開発の2人に教えてもらいながら共同開発を行なう傍ら、電話の予約に関するAWSリソースの作成も担当しました。


高橋さんはメンターとしてどのように関わったのですか。


木曜日・金曜日に行われる朝会や夕会に出席し、相談を受けたり、レビューを行なったりしていました。普段の状況はSlackを通して把握していました。


高橋さんには、全方位で助けていただきました!要件定義からインフラや開発、さらには実際に稼働したらお金がどれくらいかかって、どのくらいの利益を見込めるのかという視点など、私たちだけでは考えられない部分までアドバイスをくださいました。


私たちが「こういうことをしたい」と言ったときに、否定するのではなく常に肯定から入って、ヒントやアドバイスをくださったのがありがたかったです。


いえいえ。私自身もとても勉強になりました。正解がないことを行なっているので、ヒントを投げかけたり、技術的に大変なときにフォローしたりと、もうひとつの視点というか、一歩引いた位置から見守るスタンスを心がけていました。

社会情勢に合わせてサービス方針をチェンジ!臨場感のある開発現場

実際に企画したサービスは想定通りにできあがっていったのでしょうか。


6月から企画や開発を始め、7月31日に中間発表があったのですが、実は中間発表の3日前にサービスの方針をチェンジしたんです。というのも、当初は高齢者中心のコロナワクチン接種予約システムを企画していたので電話予約中心のサービスとして開発を進行していました。ところが、中間発表付近では高齢者のワクチン接種が進み、今度は中年~若年層のワクチン接種予約のニーズが高まってきていたので、電話ではなくネット予約メインのサービスに切り替えることにしたのです。


期限が決まっている開発だったので、最終発表までにきちんとしたアウトプットにするために、かなり苦心しました。全体の進行管理をする中で、普段上司が行なっている業務がここまで大変なのか!と実感し、とても勉強になりました。電話予約中心からネット予約中心のシステムにするという大きな決断以外にも、データベースについてなど技術的な面でも選択、決断しなければいけない場面が多く出てきました。メンバー全員でそれぞれのメリット・デメリットを挙げて時間をかけてディスカッションすることで乗り越えました。


高橋さんから見ていかがでしたか。


まず、世の中の関心が高い良いテーマを選択したなと思いました。その一方、様々な会社が実際にトライしている課題でもあったので、ライバルも多い。そんな中でも真正面にぶつかっていく情熱を感じましたね。日々変わっていく状況や世の中の競合他社の状況に対応して機能をブラッシュアップしたり、方向転換をしたりと、ニーズに基づいた進行をしていたこともとても良かったと思います。最終発表前日の夜にも機能の追加を決定し、それを実際に仕上げて当日の発表に挑んでいたので本当に驚きました。実際の仕事だったらそんな無茶なことは止めていたと思うのですが(笑)。メンバーの情熱によって見事に完成させていましたね。


チーム全員の情熱、熱量がなければここまでできなかったと思いますね。とにかくディスカッションをたくさん重ねたことがより良いサービスづくりに繋がったと思っています。自分たちが自由に使える時間の7割くらいはディスカッションに費やし、その議論をもとにどんどん軌道修正していく。普段の仕事では味わえない臨場感がありました。


ディスカッションにそんなに時間を割いていたら、作業時間がなくなってしまうのでは?と単純に思ってしまったのですが、その点はどうクリアしたんですか。


私が、インフラ構成をコード化する「infrastructure as code」が得意だったので、ディスカッションしながらリアルタイムでコードを書いていくという作業を行ないました。コードを書いておくことによりコマンドによってすぐにインフラ構築の自動化がなされるため、時間短縮にはなったと思います。


議論はもちろん、それを実現していく開発力を発揮していたのも感心します。発表日前日の夜にレビューを行なったのですが、本番ではレビューで指摘したポイントだけでなく更にブラッシュアップされていて劇的に良い発表をしていましたし、できあがったサービスも完成度が高かった。そうやってしっかりとアウトプットに反映できていたことが素晴らしいと思います。


高橋さんからのレビューは中間発表と最終発表の前日に行なってもらいました。やはりレビュー内容がとても的確だったので、反映してより良い発表にしようとラストスパートの気合いを入れてブラッシュアップしました。そうやってやり切ったので、達成感はすごかったです。熱量、スピード感、臨場感。まるで創業期のベンチャー企業にいるような感覚を味わえたような気がしましたね。


本気で1位を取ろうと邁進していたので、結果的に1位を取れなかったことは本当に悔しかったですね。


鈴木君、普段の仕事では扱わない開発コードをめちゃくちゃ書いて頑張っていたもんね。


甲子園を目指す高校球児のように、みんなで一丸になってがむしゃらに頑張りました。


1位が取れなかったことは残念ですが、良いシステムをつくれていたし、世の中の動きにも追従できていたし、とても素晴らしいサービスだったと思います。また、個人的には最終発表前のレビューに僕と同じiretスペシャリストのメンバーが同席してくれたり、若手メンバーの頑張りを会社全体で応援できたのも良かったですね。

週2日の「ANGEL Dojo」で忙しくも充実した日々

その他、「ANGEL Dojo」全体を通して印象に残っていることや苦労したことはありますか。


私は、「ライブアーキテクチャレビュー」の講義が印象に残っています。自分たちのつくった構成図をAWS の方々にプレゼンして、その場でレビューしていただくという講義でした。立候補制だったので、積極的に立候補して臨んだのですが、その場で瞬時に問題点やアドバイスをいただけて、とても刺激的でした。セキュリティ面、技術面の指摘だけでなく、ビジネス観点からのアドバイスもあり、視野が広がりました。


「ANGEL Dojo」は毎週木・金と丸々二日間の開催だったので、業務との両立が大変でした。業務時間外や土日を使って、業務をこなすことでなんとか頑張っていたのですが、それでも難しい場合は同じ部署のメンバーの方にサポートをお願いすることもありました。ただ、「ANGEL Dojo」の参加時に上長に対して「業務も精一杯頑張るので」と宣言していましたし、その意志がずっとあったので、苦にはなりませんでした。


素晴らしいですね!業務との両立についても色々と工夫して、様々な方のサポートを受けながら「ANGEL Dojo」に参加していたんですね。

技術習得以上に得た経験や学び、新たにできた目標

最後に、「ANGEL Dojo」の参加で得たものと、今後の目標を教えてください。


当初は技術的なことを学びたいと思って参加したのですが、それ以上にAWSの講義でAmazonが大切にしている「お客様第一主義=カスタマーファースト」を基軸とした物事の進め方、意志決定、事業展開などを学び、体感することができたのが良かったです。今後は、学んだことを業務の中で形にしていくこと、AWSのさらなる資格取得を目指していくことを目標にしたいと思っています。


参加前は開発を経験したことがなかったのですが、運良く小石倉さん、石黒さんという開発の方と同じチームになることができて、開発の技術的な部分や、サービス完成までの進め方を教わりながら、ひとつのサービスを完成させるということを体験できたことが最も大きな学びでした。また、AWSの講義により、サービスの企画をする際の考え方や収益の上げ方などビジネスで必要な視点を学べたことも収穫でした。今回学んだことを活かし、今後自分でも何かサービスを開発してみたいと思っています。


参加前はAWSのサービスを触りたいという気持ちで参加したのですが、それ以上に普段の業務ではなかなか一緒になることのないメンバーで開発することができて良かったです。今回私は鈴木さんに教える立場になったのですが、人に教えるということの難しさを知りました。つまり、人に教えることが今の自分はうまくないということに気づけて良かったです。今後の目標としては、AWSの資格取得はもちろんですが、実践的な開発をリードできる人材になっていきたいと思っています。ただ単にAWSのベストプラクティスに沿うだけでなく、チームのエンジニアのレベルや予算、運用の手間などを考慮し、的確な判断ができるリーダーを目指していきたいです。


今回得たものはたくさんありすぎて何を選ぶか難しいですね…。その中で集約すると、プロジェクトの進め方、チーム内でのコミュニケーションの取り方、AWSならではの価値創出の3点を学べたことです。今後の目標としては、プロジェクトの上流から携り、仕様の決定をしてマネジメントもするような全方位で活躍できるエンジニアを目指していきたいと思います。


最後に高橋さんのメンターとしての感想を聞かせてください。


メンターとしての参加でしたが、私自身も大変勉強になりました。AWSについて改めて勉強させてもらうことができましたし、AWS やパートナー企業、ユーザー企業の方々と触れあう機会を得られたのも良かったです。参加メンバーは世の中の変化にリアルタイムに対応し、カスタマーファーストの視点をぶらすことなく臨機応変なシステムの変更や実装を行なっていてとても優秀だと思いました。大いなる刺激を受け、皆さんに追い抜かれないように自分もますます頑張っていかねば、と気合いが入りました。参加メンバーが、今回の経験を活かして今後も活躍してくれることを期待しています!

【編集後記】

コロナ禍真っ只中の「ANGEL Dojo」で、世の中を騒がせていた「コロナワクチン予約」問題を解決するためのサービス開発に挑み、リアルタイムで情勢に対応しブラッシュアップしていった参加メンバーの勢いに驚きました。
まるで創業期のベンチャー企業のようなスピード感とチームワークで走り抜け、サービスを完成させたメンバーの瞳はキラキラと輝いていて、「ANGEL Dojo」での経験が非常に充実していたことが窺えました。
今年度から始まったメンター制度でしたが、初代メンター高橋さんの存在もメンバーにとっては非常に大きかった様子です。高橋さんもメンバーから大いなる刺激を受けたと語っており、良い相乗効果が生まれていたようです。

今回の経験や学びにより新たな目標ができたと語ってくれたそれぞれのメンバーが、アイレットでさらに飛躍してくれることが楽しみです!