はじめに

Amazon EBSは、さまざまなワークロードに対応するために複数のボリュームタイプを提供しています。gp3ボリュームは、従来のgp2に比べて圧倒的な性能とコスト効率を実現しており、データ集約型のワークロードでも優れた結果を発揮します。本記事では、gp3がgp2に比べてどれほど優れているかを具体的に説明し、その利点を最大限に活用する方法を解説します。

ちなみにgp3と呼ばれる第 3 世代の汎用 SSD は、2020 年 12 月にリリースされました。EC2を昔に立ててそのまま本番環境を稼働させている環境は今でも多くあります。EC2に押されがちで目立ちにくいEBSがそのまま昔設定したままなんてことはありませんか?

では早速その辺り、グイグイ解説していきましょう!


1. gp3の優れたパフォーマンスとコスト効率

gp3が提供する圧倒的な性能

  • 最大16,000 IOPS: gp3はボリュームサイズに関係なく、最大16,000 IOPSを提供します。一方、gp2は容量に依存し、十分なIOPSを得るには大きなボリュームが必要です。
  • 高いスループット: gp3は最大1,000 MiB/sのスループットを提供し、gp2の最大250 MiB/sを大幅に上回ります。小容量でも一貫した高性能を発揮するため、ワークロードのサイズに合わせたパフォーマンス最適化が可能です。

コスト効率の高さ

  • コスト削減: gp3はgp2に比べて20%安価であり、パフォーマンスを維持しながらコストを削減できます。安くて・早くて関西人にはたまらんワードです。

公式ドキュメント「Migrate Amazon EBS volumes from gp2 to gp3


2. EBSボリュームタイプの性能比較

まず、gp3とgp2の性能を比較してみましょう。一見同じように見えますが着目してもらいたいのがgp3の3,000 IOPSまで無料 / 125 MiBまで無料です。またベースラインスループットと最大スループット/ボリュームにも大きな違いが見られます。これがパフォーマンスUP、コストDown、みんなHappyの秘密ですね。

項目 gp2 gp3
ボリュームサイズ 1 GiB ~ 16 TiB 1 GiB ~ 16 TiB
ベースラインIOPS 3 IOPS/GiB(最小 100 IOPS) 3,000 IOPS
最大IOPS/ボリューム 最大16,000 最大16,000
ベースラインスループット ボリュームサイズに応じて128~250 MiB 125 MiB
最大スループット/ボリューム 250 MiB 1,000 MiB
コスト (GBあたり) $0.10/GiB-月 $0.08/GiB-月
追加IOPS料金 該当なし ⭐️3,000 IOPSまで無料、以降0.005ドル/プロビジョニング IOPS/月
追加スループット料金 該当なし ⭐️125 MiBまで無料、それを超える場合は0.04ドル/プロビジョニングMiB/月

公式ドキュメント「AWS Prescriptive Guidance


3. コスト削減とパフォーマンス向上の具体例

ボリュームタイプごとのコスト比較

gp3 vs gp2では見てのように、20%のコスト削減が可能。ボリュームサイズが大きければ大きいほどランニングコストに響く影響もバカになりません。500GiBを見ても1ヶ月で約10USD=1,450円:9月22日時点)年間でいえば17,400円もボリュームタイプを変えることで削減できるんです。しかもパフォーマンス向上のおまけつき!

ボリュームサイズ (GiB) gp2 最大IOPS gp3 最大IOPS gp2 コスト (USD/月) gp3 コスト (USD/月) コスト削減 (gp3 vs gp2) (%)
30 3,000 3,000 3.00 2.40 20%
100 3,000 3,000 10.00 8.00 20%
500 3,000 3,000 50.00 40.00 20%
1,000 3,000 3,000 100.00 80.00 20%
2,000 6,000 6,000 200.00 160.00 20%
6,000 16,000 16,000 600.00 480.00 20%

公式ドキュメント「Migrate Amazon EBS volumes from gp2 to gp3

コスト分析については、Amazon EBS リソースEBS gp2 から gp3 への移行コスト削減計算セクションを参照してください。計算機をダウンロードして使用し、gp2 ボリュームを gp3 に移行することでどれだけ節約できるかを調べることができます。


4. EBSパフォーマンスメトリクスの重要性

EBSボリュームのパフォーマンスを最適化するには、IOPS、スループット、レイテンシーという3つのメトリクスを理解することが重要です。これらのメトリクスは、ワークロードのパフォーマンスに直接影響を与え、適切なボリュームタイプや設定を選択するための基準です。それぞれのメトリクスを適切に把握することで、さまざまなユースケースにおいて、効率的で高パフォーマンスなEBSの活用が可能となります。

メトリクス 説明 なぜ必要か
IOPS Input/Output Operations Per Second: 読み込み/書き込みの頻度を示す指標。 高IOPSが求められるワークロード(データベース、トランザクション処理など)では、頻繁なI/O処理が必要なため重要です。
スループット データ転送量(MB/s)を示す指標。 データ転送量が多いワークロード(ビッグデータ分析、コンテンツ配信など)では、高スループットが必要です。
レイテンシー 読み込み/書き込みの応答時間を示す指標。 リアルタイム処理やトランザクション処理において、低レイテンシーはユーザー体験や処理速度に直接影響するため重要です。

5. ダウンタイムなしでのEBSボリュームタイプ変更

ここまではいい事づくめのgp3。そんな上手い話あるんかと疑う関西人。。でもその反面、作業中はダウンタイムめっちゃあるんやろ??(疑いの目)

そんな関西人からの圧にも負けずEBSボリュームタイプをgp2からgp3へ変更する際、現在稼働中のEC2インスタンスを停止せずにダウンタイムなしで進めることが可能なんです(なんやて!!)このため、パフォーマンスの向上やコスト削減のためにEBSボリュームをアップグレードする際にも、業務への影響を最小限に抑えることが可能になります。

公式ドキュメント「Amazon EBS volume modifications


6. 継続的なパフォーマンス監視におけるCompute Optimizerの活用

さらに皆さんに朗報!

そうお気づきのようにgp3への移行後も、ワークロードの変化に合わせて最適なパフォーマンスを維持することが重要ですね。そんな時はAWS Compute Optimizerを活用することで、EBSボリュームの使用状況を分析し、最適なIOPSやスループット設定の提案を受けることができます。

前回の記事で書いたCompute Optimizer活用の記事はこちら

Compute Optimizerで叶えるコスト削減とパフォーマンス向上


7. まとめ

Amazon EBSのgp3は、従来のgp2に比べて圧倒的なパフォーマンスとコスト効率を提供します。最大16,000 IOPSと1,000 MiB/sのスループットを実現しつつ、コストを最大20%削減できるのが最大の魅力。また、ダウンタイムなしでボリュームタイプを変更できるため、業務に影響を与えずに移行を進めることが可能です。

これだけでもめっちゃええやん!と共感してくれるそこのインフラエンジニアの皆さん。Compute Optimizerと併用して快適なコストとパフォーマンスの両立を実現しましょう。

EBSのパフォーマンスを向上させ、コストを削減したい方にとって、gp3への移行は最も効果的な選択肢となります。公式ドキュメントの「Migrate Amazon EBS volumes from gp2 to gp3」などを参考に、ぜひ移行を検討してみてください。

この記事が皆さんをインシデント調査から少しでも解放される手助けになりますように!


おまけ

Standardからgp3に変更して得られたパフォーマンス向上の実体験

最近、EBSボリューム「Standard」から最新の「gp3」に変更する作業を実施しました。その結果、書き込み・読み込みのレイテンシーが劇的に改善し、平均キュー長も大幅に減少するという驚きのパフォーマンス向上が得られました。

特に、StandardボリュームではI/O操作の速度が遅いために、データベースやトランザクション処理のようなレイテンシーに敏感なワークロードで問題が発生していました。しかし、gp3に移行することでIOPSやスループットが飛躍的に向上し、システム全体の処理速度が向上しました。これは、gp3のボリュームが無料枠でも1,000 IOPSや125 MiB/sのスループットを持ち、パフォーマンスを柔軟に調整できるためです。

商人魂でAWSが提供してくれている素晴らしいサービスを最大限活用して今後も少しでも良い環境をお客様へ提供できるよう邁進します!