cloudpackエバンジェリストの吉田真吾(@yoshidashingo)です。
JAWS-UG 名古屋支部 第6回勉強会 名古屋発 事例祭り!に参加しました。
※名古屋駅でNuZeeというミネラルウォーターのプロモーションやってたのですが、なぜピンクのクラウンなのかは不明
○勉強会
■「ローランドにおけるITコンソリデーション・ケースとデジタル・マーケティング強化&最適化の実現手法」
ローランド 土屋敏彦さん
浜松が本社である「ローランド」さんにおける段階的なITコンソリデーションと、デジタル・マーケティング強化の変遷を公開されました。 ローランドさんでは、クレジット決済/新サービスの知識/アーキテクチャを制限しないかわりに運用が大変なのでは?/従量なので予算化しづらいといった課題に対して、cloudpackを利用して効果的にAWSを利用されており、パートナー選びが重要だとお話していただきました。いつもありがとうございます。
では、どのような変遷でAWSに移行し、デジタル・マーケティングを強化したか。3つのフェーズに分けた段階的なアプローチがあったそうです。
まず第1フェーズでは「CDNの移転」を行いました。このときはコストを2/3程度に圧縮できましたが、コストメリットを強く感じるほどではなかったそうで、さらにパージやTTLの概念が少し違うので慣れが必要だったそうです。
第2フェーズとして行った「IT資産全体の統合」ではiDCや社内にあったシステムを、全てAWSに統合し、複雑なオペレーションを統合し、スケーラビリティを拡張でき、デジタル・マーケティングに注力できる下地ができたそうです。
この際Tokyoリージョンがない、OracleのMulti-AZがないといった課題がいくつかありましたが、
- 2011.3 Tokyoリージョン
- 2011.6 VPC対応
- 2012.5 Oracle Multi-AZ
といったAWS側の対応がプロジェクトの時期にぎりぎり間に合ったこともよかった点だったそうです。
cloudpackでインフラ管理がワンストップ(構築、管理、監視、SI全て)になり、AWSの各メンバー(SAやサポート)からも親密にサポートが得られたことも評価されているそうです。また、Oracle RACに統合されていたDBインフラも複数に分割されて、現在ではMySQLも導入されているそうです。一点、RDSのタイムゾーンがUTC(SYSDATE)にしか対応していないという点にはアプリ側の対応が必要だったとのことです。
この第2フェーズでトータルコストを65%低減(H/W投資0、監視運用コスト減)できたことで、次フェーズでデジタル・マーケティングのサービス開発に回せるようになったそうです。
第3フェーズにおいてはサービスメニューの拡充、マーケティングの強化、情報漏洩対策として、従来のシステムの改善(使いにくさの解消、メルマガ発信のインフラ強化、システムのパフォーマンスの制約の改善)に取り組み、「Roland BRIDGE」というサービスを開始することで、多角的なマーケティング分析ができるようになったそうです。
■他社サービスからの移行事例 ビットウォーカー 松本潤様、小島寛也様
コンサルティングと自社コンテンツ開発を行っているビットウォーカーさんからは、子育て市場の開拓をする子育て支援ビジネス「ママくるアイランド」を旧システムからAWSに移行した事例が発表されました。
国内のクラウドサービスを利用しており、安定はしており、固定料金で利用できるメリットはありましたが、構成変更に5日かかるなど、拡張性に難があったため、WebサーバーをEC2に移行することで、ピーク時のスケールアウトがしやすくなったり、ストレージをS3に移行することでTCOが安くなり運用負荷が軽減され、データベースをRDSに移行することで、災害対策ができ、運用負荷が軽減されたそうです。
■SAP Business Suite 初稼働は名古屋から!タイテックにおけるAWS活用事例 タイテック 石田晃一さん
限られた要員とコストでスモールスタートするのに最適なクラウドですが、現状でSAPが認定しているパブリッククラウドはAWSのみとのことで、さらにAWSであればJSOX上も問題がないとのことでした。
また、半年かけてSAP環境をAWSに移行しましたが、AWSもSAPもサポートがしっかりしていたおかげですべて1人で行えたそうです。
■BCPに活かせ!一撃 CloudFormation cloudpack 吉田真吾
名古屋での事例発表ということで、TOYOTA様の事例をご紹介し、DR対策で利用している CloudFormation の活用方法をお話させていただきました。
実は会場にお客様もいたり、提案から構築まで携わった弊社CEO齋藤がいたり、普段と違って非常に緊張した(当人たちにお話を伺いたかった)のですが、今回伝えたかったのは「データの保全とシステムの保全は別々のアプローチを取ったほうがよく、システムは壊れても作り直すことができる」「CloudFormationを利用することで、システムのスタック全体の設計書を、いくらでも再現可能な状態で保存しておくことができる」「もっと動的で自律的なインフラ運用をしたくなっても、AWSにはさらにモデル化されたサービスが用意されている」という点でした。
■ラジオ体操を踊ってスマホで採点!~AWSのIAM機能をフル活用してアプリを作ってみた 来栖川電算 山口陽平さん
ビッグデータのインフラに非常に定評のある山口さんですが、今回はちょっと趣向を変えてスマホアプリと そのスマホアプリのモーションセンサーを利用してラジオ体操の動きを取得し、採点するというもの。
キャッシュ用のトークン作成機(TVM)を利用することでアクセスの認証を行うのですが、容量制限したいなどの要件については、スマホ側で制限をかける必要などがあるそうです。また、コンテンツの生成などはスマホアプリ側で行う必要があるという点も気をつける必要があるそうです。
また、ラジオ体操の特性上、朝の特定の時間帯に結果の書込みが集中しますが、AWSを利用することで書込みのスパイクにも耐えられるインフラになっているということです。
最後はラジオ体操の実演を行って終わりという結構シュールな感じになり、これは新たなアマゾン芸人爆誕の瞬間だったかもと、今後のご活躍に期待せざるを得ない感じになりました。
■SWFとSpotInstanceが奏でる分散処理のハーモニー ~もうなんでもSWFでいいんじゃないの??
マイニングブラウニー 得上竜一さん
当初SQSを使用して実装されていたマイニングブラウニーさんのサービスのインフラを、なぜAWFを活用したアーキテクチャの変更したか、段階的な変遷を手書きのプレゼンを用いてご説明されました。
特に、3時間50分でインスタンスを廃棄してまた新たに起動する仕掛けを「スポットインスタンス」を活用して行うことで、EC2のメンテナンス対策ができる上に、オンデマンドインスタンスやリザーブドインスタンスを利用するよりも圧倒的な安さでEC2を利用しているそうです。また、Auto Scalingを活用することで自律的なインフラになっているそうです。
■事例で見るAWSを使った地図検索システムの作り方(案) 西岡孝章さん
西岡さんからは、GISを活用して、小学校や周辺環境情報から引っ越しに最適な場所を調べることができるサービスを作成されたそうです。最近のDBMSでは空間データ型のカラムが持てるようで、こういったものも活用されたそうです。
■どんまいこが語る エンタープライズな卵料理とAWS導入事例 サーバーワークス #どんまいこさん
どんまいこさんからは英辞郎さんや全農ビジネスサポートさんの事例が紹介されました。
■AWS Game Day2013に参戦してきた~改めて気づいたAWSの良さを最大限活かすためのDevOpsbr
アビームシステムズ 石田知也さん
石田さんからは、先日開催された「Game Day Tokyo 2013」に参戦してきた内容が発表されました。
○懇親会
いつもの楽々で。
save the date!! でお伝えした「JAWS FESTA Kansai 2013」について、言い出しっぺの桶谷さんが気合いの「目標1000人!!」をコミットした模様です。
名古屋は事例もコアメンバーも非常に伸びている地域です。今後も新たな事例が聞けそうで非常に楽しみです。
こちらの記事はなかの人(yoshidashingo)監修のもと掲載しています。
元記事は、こちら