先日会社で株式会社アトラクタのみなさんを講師に迎えたアジャイル開発研修を受ける機会に恵まれました。
質疑応答ではかなり素朴な疑問をぶつけてしまいましたが、講師の先生方に快く教えていただきました。以下、個人的に印象に残った質問と回答を紹介します。

Q. プロダクトオーナーとスクラムマスターは既成概念であるディレクターやプロジェクトマネージャーと何が違うか

A. 責任範囲の違いがある。ざっくり言うとスクラムマスターは開発プロジェクトの円滑な進行に責任を持ち、プロダクトオーナーはビジネス上の成果に責任を持つ。ここがはっきりと分業される。
既成概念であるディレクターやプロジェクトマネージャーは、開発プロジェクトの進行とビジネス成果の両方に責任を持つケースが多い。そのため開発プロジェクトのボトルネック/単一障害点になり、休めなくなりがちである。アジャイルチームにおいては、プライマリ・ロールの責任を果たすことに全力を尽くす必要がある。結果として、プロダクトオーナー/スクラムマスターは稼働率が低くても構わない。また、プロダクトオーナー/スクラムマスターは両者ともに開発チームにタスクをアサインする権限も責任もないことに留意。

参考動画

Super Scrum Master – the power of scrum- 日本語字幕版

Super Scrum Master - the power of scrum- 日本語字幕版

Q. スクラムマスターは開発経験がなくてもできるのか

A. 開発経験は当然あると望ましいが、必須ではない。開発チームやプロダクトオーナーをサポートし、障害を取り除き、時には外部の妨害から守ることがスクラムマスターの役割である。その役割を達成するために開発やプログラミングの知識や技能が必要と感じるのであれば勉強すること。

ラグビーでスクラムをサポートするのはナンバーエイト

Q. スプリントは何曜日にスタートするべきか

A. 一週間のスプリントを計画する場合、律儀にカレンダーに合わせて月曜日にスタートして金曜日に終わる必要はない。
日本では月曜日が振替休日になることが多く、月曜日始まりがうまく機能しない。実際に日本で一週間スプリントをしている組織では火曜日から木曜日をスタートとしているところが多い。また、金曜日にレビューを行っても良いが、金曜日に本番リリースまでを行ってしまうと、万が一バグが発見された際に週末が潰れてしまう危険がある。金曜日にレビューを通過したとしてもリリースは翌週に行うといった工夫をしよう。

Q. 差し込み仕事への対処法

A. 最初から差し込み仕事に対応できるバッファを考えておこう。バッファの領域をホワイトボードに予め用意しておくと良い。
偉い人からの差し込みが多発して困っているときは差し込み依頼を見える化してみよう。差し込み仕事を依頼した回数に応じて偉い人のプリクラをホワイトボードに貼っていくといった可視化を行うと、不思議なことに差し込み依頼が減ってくる。

Q. 連休がある週のスプリント

A. ゴールデンウィークや年末年始など、稼働日が2日間とか3日間になってしまう週にはあえてスプリントをやらない選択肢もある。スプリントのリズムが一旦崩れると、立て直すのに却って労力がかかる場合があるからだ。

Q. アジャイル開発を築城に例えると

A. アジャイル開発を城造りに例えることは可能だが、誤解してはいけない点がある。「初週に石垣を作って、2週目に二の丸を作って、3週目に天守閣を作って姫路城のような立派なお城を建てる」というプロジェクトの進め方はアジャイルではない。
アジャイルは「初週に柵を立てて最低限の防御力(MVP)を確保し、2週目には壕を作り、3週目には曲輪を広げ徐々に防御力を高めていく」ような野戦築城に例えられるだろう。

アジャイルな城

元記事はこちら

アジャイル開発に関する質疑応答