cloudpackエバンジェリストの吉田真吾(@yoshidashingo)です。
AWSのチーフエバンジェリスト Jeff Barr(@jeffbarr) の来日に合わせ、AWSの目黒オフィスでEvangelist Nightというイベントが開催されました。
Evangelist Night
すべての内容ではありませんが、手元にメモを取ったのでログとして残しておきます。
Jeff Barrの話
経歴
- 10年以上Amazonで働いています(※社員証に入ってるラインの色で分かるらしい)
- Amazonには当初Development Managerとして入社しましたが、マーケティング部門で「エバンジェリスト」の募集を行うことになり、結果的に自分が適任という話でジョブチェンジをしました。
- 高校生の頃はとてもシャイだったし、今でもタクシーで道の説明をするのもちょっとはばかれるくらいシャイです。
- ブログや本も刊行してますが、文章も得意ではありませんでした。はじめの10年間で2070本も書くことが分かっていたらエバンジェリストをやってなかったかもしれません(笑)。
ブログでの発信について
- (小島さん) AWSでは新サービスや機能リリースが非常に多く、その都度プレスリリースしていられないので、Jeffがブログで発信をしています。
- (Jeff) サービスチームからリリースの連絡がメールで来ると、内容をよく噛み砕き、ときに色々な質問をして、自分の言葉としてブログに発信しています。とくに「的を射た、よい質問(人々が知りたいこと)をする力」、つまりコミュニケーション力が重要だと感じます。質の良い発信ができたかどうかの指標として、質がよい場合はその発信内容で顧客が知りたい情報をきちんと網羅できているため、あとから質問がたくさん来るということはありません。
- (Jeff) 日々新しいことを学んだり、仕事を効率的に進めるためのemacs環境を整備したりスクリプトを書いたりもしています。
- (玉川さん) 私が2010年にAPAC領域のエバンジェリストになって、ブログをやりたいとJeffに相談し、Jeffのブログを翻訳して文末に「– Jeff」とそのまま書いて公開しようかと思ったら、Jeffに「自分の言葉で、自分の文章として発信したほうがよい」と言われました。以来、私もあまり理解していないことなどはきっちりと調べたうえで、自分の言葉と署名で発信していくことが大事だということを意識するようになりました。
エバンジェリストに必要なこと
- エバンジェリストという職業にはさまざまなバックグラウンドが要求されますが、必要な素養はあまりに多いので、全ての素養を持っている必要はないと思います。ただしその中でいくつか絶対に必要な素養を挙げるとすれば「聴衆の反応をみながらプレゼンできる力」「学び続ける力」だと思う。
仕事が人を育てる
- 私はエバンジェリストの仕事をしながら成長してきたという実感があります。仕事が人を育てるという側面はあると思います。
つねに正直であること
- SNSに絞った話をすると、オンラインでの振る舞いを通じて、自分のオンライン上の人柄などができあがってきたと思っています。ときどき間違った配信をしてしまうこともありえますが、大事なのはそういうときも含め「いつでも正直であること」だと思います。
会場からの質問
どのくらい発信に必要なインプットに時間を使っていますか?
- 週に50時間くらい働いていると思いますが、そのうち15〜20時間くらいを学習の時間に充ててると思います。
AWSのエバンジェリストとして活動していく中で、どのくらい専門分野を勉強していますか?たとえばビッグデータであれば統計理論などのアカデミックな内容の学習は必要ですか?
- 自分もソフトウェア工学はやっていましたので、ソフトウェア工学は必須だと思いますが、アカデミックな専門分野は必ずしも必須ではないです。
- もちろん、そういう得意分野があれば、それはあなたのエバンジェリストとしてのバックグラウンド、特長として活かされることは確かでしょう。
趣味はありますか?
- 散歩したりガーデニングをしています。
- ガーデニングとエバンジェリスト活動は、年月や手間をかけて育てていくプロセスが似ていると感じています。
5、6年後もエバンジェリストをやっていると思いますか?
- 今でも日々学習して、自分の仕事の効率化に取り組んでおり、いまのところ脳の処理能力にはまったく問題がないので、ずっと続けていきたいと思っています。
たとえば競合製品のUIなどが優れている場合、それとどう向き合いますか?
- まずAWSでは、競合他社との比較は行いません。いつでも顧客の利益にフォーカスしてます。顧客からたくさんのフィードバックなどを得てサービスの改善につなげていくやり方です。
- そのうえで、競合製品のよいところなどがある場合、私がやるべきことは、この製品はどういう部分が顧客の利益になっているかを分析して、サービスチームにフィードバックなどを行うことです。
エバンジェリストをやっていて、社外だけでなく、社内からも信頼を得て、両者をつないでいけることが重要だと思っていますがどう思いますか?
- その通りだと思います。会社としてではなく、自分の名前で発信していくことで受け入れられることもあるでしょうし、そういうときにどういう姿勢でいるかということは重要だと思います。
- また、発信する内容は正確であることに努めなければいけないと思っています。ブログを書いたら、しっかりと見直しをして、正確な内容を発信するということが信頼のためにはとても大事です。
AWSには2004年はSQSしかなかったが、2014年現在では40近くのサービスがあります。来年はもっと増えるでしょう。そんなAWSのエバンジェリストとして今後エバンジェリストとしてのスタイルが変わることは想定していますか?
- 日々の勉強は絶やさずにいたいと思います。幸いまだ脳の処理能力には問題がありません(笑)
- サービスが増えれば自然と伝えなければいけないことも増えるため、そのときそのときにどんなことを聴衆に伝えるべきかを目利きをする必要が増えると思っています。
- 今後は専門分野のエバンジェリストが増えるかもしれませんので、そういう部分は任せるようになることもあるかと思います。
立ち話で聞いたこと
- エバンジェリストとしての成果はどう測られてますか?あるいはミッションは持っていますか?
- ある活動が2年後に花を咲かすなど、長期的な活動が多いので、エバンジェリストを特定の成果で測ることはとても難しいと思います。
- Road Tripってどうでしたか?
- とてもエキサイティングでしたよ!
- Road Tripに必要な色々なこと(レンタカーやホテルなど)をAWSを活用している企業にスポンサーしてもらっていました。あれは全部Jeffさんだけで交渉したんですか?
- もちろん全部自分でやりましたよ。
- Road Tripは何人体制だったんですか?
- 私1人だけです。体力的には大変でしたよ。クルマを運転して、会場で2時間くらい話をして、ホテルにチェックインしてブログも発信しないといけなかったので(笑)
次回開催に向けて
小島さんから、企画の目的として、各社のエバンジェリストの役割だったり、会社のサイズやステージによる違い、業界による違いなどを話せると面白そう。会場にいるエバンジェリストの人たちに次回はぜひそういう点を話してもらえると盛り上がるのではないかと思っている。と挨拶があって終了。
元記事はこちらです。
「エバンジェリストに必要な素養とは何か? – Evangelist Nightレポート #evanight」