はじめに
Looker Studio、皆さん使っていますか?
Looker Studio は BI ツールの一つで、Google が提供しています。
BigQuery や Spreadsheet などと連携し、データの可視化を行いインサイトを得ることができるようになります。
さて、Looker Studio には、無料で利用できる Looker Studio と、Looker Studio Pro があります。
セキュリティチームでは、Looker Studio を利用したダッシュボードをお客様に提供しており、今までは Looker Studio (無料版) を利用していました。
しかし、2025年 7月から Looker Studio Pro の利用に移行しています。
このブログでは、どちらを利用するべきか悩んでいる方に、何を持って Looker Studio Pro へ移行したのか、事例として紹介します。
セキュリティチームが提供するダッシュボードの例
WafCharm 運用オプション
アイレットの提供する『WAF 運用サービス 』および『WafCharm 運用オプション 』で提供されるダッシュボードの一部です。
国ごとに、アクセス許可や、拒否の量をまとめるなど、分かりやすいダッシュボードを提供しています。
CSIRT 運用
社内向けで運用している CSIRT 運用ダッシュボード。
脆弱性を一元管理して、さまざまなフィルター条件で抽出が可能となっています。
その他の活用
他にも『Sysdig 運用サービス』などでも、Looker Studio を利用したダッシュボードを活用しています。
Looker Studio Pro を採用した理由
所有権の管理
Looker Studio Pro に移行した第一の理由が『所有権』管理の問題です。
セキュリティチームでは、お客様に対して多くのダッシュボードを提供していましたが、ダッシュボードの所有者は『作成したメンバー』となっていました。
これは、Looker Studio (無料版) の制約によるためです。
多くのダッシュボードを継続的に提供する必要から、『個人』に所有権がある状態は適切ではなく、改善が必要でした。
Looker Studio Pro では、『組織』に所有権を渡すことが可能です。
この対応により、社員の退職などの事象が発生しても、ダッシュボード提供を継続することが可能です。
今までは、『個人』に所有権があるため、退職などの契機によってお客様に対するダッシュボード提供が止まる可能性がありましたが、これにより継続性を担保することが可能となりました。
チームワークスペース
チームワークスペース機能は、『ワークスペース』という管理でコラボレーションのための権限を管理することが可能となる機能です。
セキュリティチームでは、お客様向け、社内チーム向け、内部向けなど、要件が異なる複数のダッシュボードを提供していました。
Looker Studio (無料版) では、ダッシュボードごとにアクセス権を管理することが必要でしたが、ワークスペースを活用することでアクセス権の一元管理が可能となります。
もちろん、一元管理を実施したうえで、ダッシュボード単位に追加のアクセス権付与も可能です。
これにより、毎回複数のアクセス権を追加で付与する運用から、特定のワークスペース内にいれることで適切なアクセス権管理が可能となりました。
これは、所有権管理と合わせて重要な機能です。
移行の容易さ
続いて、Looker Studio (無料版) と Looker Studio Pro の移行の容易性がありました。
BI ツールの資産としては、画面デザイン、構成するコード、識別子 (URL) などがあります。
Looker Studio (無料版) と Looker Studio Pro では、これら全てを引き継ぐことが可能です。
特に、識別子の移行容易性は重要であり、お客様に提供しているダッシュボードの URL はそのままで、アクセス権なども含めた全てを移行することが簡易に実現できます。
Looker Studio を広く利用しているセキュリティチームとしては、この移行容易性は重要な要件でした。
生成 AI との連携
セキュリティの分野においても、生成 AI は重要な意味を持っています。
特に、セキュリティ分野においてはレポートから攻撃の兆候などを分析することが重要です。
もちろん、セキュリティエンジニアなどが対応することも可能ですが、自動化を考える際には生成 AI との連携が欠かせません。
Looker Studio Pro は Gemini in Looker として、汎用的な生成 AI エージェントである Gemini と連携することが可能です。
これにより、自然言語を用いてデータに関する質問をするなどの対応が可能となります。
この機能は、現在は社内で試用中の機能となりますが、これからのセキュリティ運用を考えるうえで、重要な機能と考えています。
レポート配信を自動化
レポートの自動配信機能により、お客様や関係先に情報を提供することが可能となります。
基本的なレポートは Looker Studio (無料版) でも可能ですが、アラート条件や、配信数の上限緩和などが Looker Studio Pro 固有の機能となります。
アラートに対応して指定された条件で通知することも可能となるため、条件の付与次第ではセキュリティアラートに対応しやすくなると考えています。
その他の機能
以下は、現在利用していませんが、提供されている機能です。
まだ利用することはできていませんが、折角の機会なので利用できるようになりたいと考えています。
- 個人レポートのリンクを使ってデータ探索を強化
- Looker Studio モバイルアプリ
- Cloud カスタマーケアのサポートを利用する
まとめ
簡単ではありますが、セキュリティチームがなぜ Looker Studio Pro に移行したのか、事例を持って紹介させていただきました。
Looker Studio (無料版) も便利で簡単に使う分には十分ですが、継続的に利用することを考えると足りない部分がでてきます。
この記事が、Looker Studio Pro の価値を伝える記事の一つになれば幸いです。