Gemini Enterpriseを触っていて、ふと気づいたことがあります。エージェント・デザイナーで作ったエージェントが共有できるようになっている!

「これは便利だ、早速使ってみよう!」と共有ボタンを押したのですが、そこで目にしたのは、「審査中」という見慣れないステータスでした。

「あれ?Gemならリンク一つで誰にでも送れるのに、なぜエージェントには承認制なんだろう?」

調べるうちに、「おそらくGoogleは、Gemとエージェントに全く別の役割を期待しているのではないか」という私なりの仮説にたどり着きました。あくまで個人的な考察ですが、その違いの正体を整理してみます。

個人の「知恵」か、組織の「公式インフラ」か

使えば使うほど感じるのは、この二つのサービスはAIを活用するレイヤーが根本から違うのではないか、ということです。

  • Gem
    • 個人の知恵を広めるツール
    • 市民開発(ボトムアップ)用
  • エージェント
    • 組織を支える公式ツール
    • 会社公式開発(トップダウン)用

Gemは、個人のちょっとした工夫や「型」をチームに配る、いわばドキュメントの共有に近い感覚です。対してエージェントは、個人の枠を超え、「会社の公式アプリ」として配布されることを想定したインフラのような存在だと感じました。

違いを生む最大の要因は「コネクタ」のパワー

なぜ、エージェントにはこれほど慎重なステップが必要なのか。その最大の理由は、エージェントだけが持つ「コネクタ」という強力な武器にあると推測しています。

Gemは主に対話や情報の整理を得意としますが、エージェントはコネクタを通じてSalesforce, HubSpot, BigQueryなどの外部システムやデータベースと深く繋がります。

  • 有給休暇の申請を出す
  • 経費精算を承認する
  • 基幹システムのデータを書き換える

エージェントには、こうした「実社会への書き込みアクション」を自動化するポテンシャルがあります。もし、不備のあるエージェントがノーチェックで全社に広まり、誰でも重要なデータを操作できてしまったら。そう考えると、情シス部門が中身を確認するステップが設けられるのは当然のことかもしれません。

「会社のお墨付き」がアプリの品質と秩序を守る

今回私が一番「なるほど」と思ったのは、この「審査」というプロセスが、会社としてのガバナンスと、アプリの乱立防止を兼ねているのではないか、という点です。

どんなに便利なツールでも、内容が間違っていたりセキュリティに不安があったりするものを「公式」として配るわけにはいきません。また、全社員が自由にエージェントを全社公開できてしまうと、「経費精算エージェント」が社内に何個も公開され、「どれが本物?」とユーザーが迷ってしまいます。

そこで、情シス部門がゲートキーパーとなり、「これは安全で、重複もなく、全社員が正しいものとして使っていいツールです」とお墨付きを与える。このステップがあるからこそ、「公式ギャラリー」にあるエージェントを、迷わず、安心して使いこなせるようになります。

まとめ:自由と信頼の使い分け

Gemとエージェント、「なぜ似たようなものがあるのかな?」と最初は不思議に思っていましたが、今回の調査を通じて自分の中での使い分けの方針ができたように思います。

「共有するために承認が必要」ということは、それだけエージェントが組織を動かすほどの強力なパワーを秘めているということでもあります。そんな頼もしい相棒を、これからもっともっと使いこなしてみたいという思いが強くなりました。

※注:本記事の内容は、個人の使用経験に基づいた推測・考察であり、Googleの公式な見解を代弁するものではありません。最新の仕様については公式ドキュメントをご確認ください。