Google が提供するクラウドコンピューティングサービス「Google Cloud」の年次カンファレンスイベント「Google Cloud Next ’22」が、日本時間の10月12日(水)から14日(金)までオンライン開催されました。ニューヨークや東京など5都市が会場となり、各地で講演が開催されました。
業界の著名人による基調講演や Google のデベロッパーによる講演が行なわれ、 Google Cloud と Google Workspace に関するテクノロジーやソリューションについて学習する機会が与えられました。アイレットからも、「100% Google Cloud で実現する次世代小売業会員カードアプリ構築の裏側」と題して、執行役員 エバンジェリストの後藤和貴(以下、後藤)が登壇しました。
今回は、アイレットの Google Cloud を使った取り組みやソリューション、オーケー株式会社様(以下、オーケー様)とのアプリ開発を通じた活用事例について紹介します!
12年に及ぶクラウドの経験と「Google Cloud プレミアサービスパートナー」の認定
まず、後藤からアイレットのクラウド事業紹介がありました。アイレットは2010年から12年間にわたってクラウドを得意とするシステムインテグレーターとして実績を重ねてきました。その結果2019年には、 Google Cloud Partner Advantage プログラムにおいて Google Cloud プレミアサービスパートナーの認定を受けることができました。
アイレットは「cloudpack」というブランド名のもとで、請求の代行支援や24時間365日監視や運用支援、クラウドネイティブなサービス、クラウド上のシステム構築など、お客様に活用していただけるようなフルマネージドサービスを提供しています。
後藤から、アイレットが Google Cloud を活用したサービス事例の紹介がありました。Google Cloud 上で動画の配信など動画管理用のコンテンツ管理システムである「streampack on Google Cloud」を、サードパーティ製品と組み合わせることで、セキュリティが強固になるなど運用の負担が軽減される「Wafcharm for Google Cloud」をお客様にご提供。この他にも、あらゆるフェーズでお客様向けにデータ分析のサービスが利用できる「CDP 構築サービス」、オンプレミスやデータセンター等で使われている環境をクラウドに移行したいお客様に対して弊社がトータルでサポートするようなソリューション「migrationpack for Google Cloud」等をご提供しています。
オーケー様の事例紹介と Google Cloud マネージドサービスの活用
続いて、後藤から Google Cloud を活用した事例として、オーケー様の事例が紹介されました。
オーケー様は「高品質・ Everyday Low Price」を掲げて、品質の良い商品から価値のある商品、美味しい商品、鮮度の良い商品、健康に良い商品、便利な商品を厳選して販売している小売業様です。オーケー様はこれまで顧客向けにプラスチック製の会員カードを提供していましたが、利便性や満足度を向上させるために会員カードをスマートフォンアプリ(以下、スマホアプリ)化するご依頼を、弊社がお受けしました。
弊社は、会員アプリのデザインから開発、インフラ構築・運用までをご支援しました。会員アプリは顧客との接点になるため、たとえば、オリジナル商品や季節のおすすめ商品などのレコメンド発信や、店舗情報や最新のお知らせ、インタラクティブな改善を可能にするアンケート等によるフィードバックを回収したいなどのご要望が、オーケー様からございました。
後藤から報告がありましたように、弊社では会員アプリの開発はもちろん、サーバーサイドの仕組みやインフラ部分を含めて、トータルで提案しています。オーケー様は既存の会員カードの仕組みを保有しておりましたので、新たな会員管理の仕組みについてもしっかりと提案いたしました。具体的には、旧来のデータベースからの移行や、旧来の仕組みのカード会員と新しいスマホアプリの会員の両方を管理できる仕組みやスマホアプリの設計、スマホアプリに配信する情報を管理するためにコンテンツ管理機能をご提案しています。また、オーケー様が従前から行なっていたデータ収集に加えて、新しい会員アプリでもデータ収集が行なわれるので、将来のデータ利用を見越して様々なデータを収集。購買情報や顧客情報を組み合わせて分析できるような環境を同時に構築するという提案を行ないました。
続いて、 会員アプリのインフラをどのように Google Cloud で実装したかについて、後藤から説明がありました。
細かい機能を搭載したスマホアプリ、会員情報の照会機能や既存の会員カードを管理する「コンテンツ管理機能」、既存の会員データベースから新しい会員データベースへの移行、お客様の購買活動や店舗の状況を確認できる分析機能等のシステムを実装するために、 Google Cloud のマネージドサービスを積極的に利用しました。可用性の観点から Google Cloud のサービスを極力利用し、最適なサービスを導入。今後のビジネス展開等に備えて柔軟にスケールできるような構成設計や、運用効率やコスト効率が下がらないようなインフラ設計も行なっています。
また Google Cloud サービスの利用についても、アプリ構成図を用いた説明がありました。たとえば、会員アプリからのアクセスはロードバランサを通じて、 Cloud Run を活用。これにより、同時アクセスや不要な場合には機能されないといった、環境のコスト最適化を実現。セキュリティ面については、 Cloud Armor を活用し WAF ルールで防御を行なっています。
また、非同期データ処理が必要な場合には Cloud Functions を活用。この他、将来のデータ処理のために、 Google Analytics や BigQuery 、 Data Studio 、 Looker 等の基盤を構築。会員アプリでの動きなど統合的にデータ収集し、 BigQuery や Data Studio で分析できるような環境を構築し、オーケー様が確認できるようになっています。
ワンストップが可能にした素早い対応
続いて、開発スケジュールについて後藤からお話がありました。基本的にはウォーターフォール型のように進めていますが、デザイン制作やアプリケーション開発は同時並行に進めています。途中で変更が必要になった場合でも、柔軟に対応できることも、ワンストップで作業を進めて良かった点だと、後藤は感想を述べています。機能面やデザイン面での変更やそれによる影響についてディスカッションし、素早く対応できたことが、今回のプロジェクトで重要な要素の一つだったといいます。
また、脆弱性診断では Firebase App Distribution を効率的に使いました。この他、セキュリティについても Cloud Armor を使用するなど、 Google Cloud 内外でサービスが整っている状況で、弊社が選択して構築できたというのが非常に良かった点の一つだったと、後藤は述べています。
デザイン面についても、基本的な UI / UX 設計を行ないました。調査から設計デザインまでワンストップで進行。シンプルで品の良く、既存の顧客に対して分かり易いデザインが完成しました。データウェアハウスについても、拡張できるように一元管理環境を構築するなど、開発から運用までシームレスに実現できたといいます。
Google エキスパートを多数擁するアイレットのケイパビリティ
後藤が講演中にも述べましたように、Google Cloud を活用したスマホアプリ開発に成功した背景には、Google にも認定されたアイレットの技術力の高さがあります。アイレットには Google のエキスパートが多く、高品質なインフラ/システムを最短で実現可能です。開発チームの組織力も、アイレット内部で有するケイパビリティを最大限に発揮。様々な課題を具現化できました。
後藤は最後に次のように講演を締めくくりました。
「将来にわたって、お客様と一緒に考えながら併走し、ビジネスの発展をサポートしていけるようなパートナーになるのではないかと思っています」。(後藤)
Google Cloud を活用するメリットとともに、アイレットが掲げる「ワンストップでの IT ソリューションの実現」をイベントに参加された皆様にお伝えできた講演でした!