「AIにコードを書かせたいのに、既存のエクセル設計書をどう読み込ませればいいんだ…」
AI駆動開発(ADD)やCursor、Copilotの登場で、開発プロセスは激変しようとしています。しかし、多くの現場では、仕様書や設計書がまだ「エクセル(Excel)」で管理されているのではないでしょうか?
残念ながら、AIはセルが結合されていたり、複雑なシート構成だったりするエクセルファイルをそのまま読み込むのが非常に苦手です。
しかし、諦めるのはまだ早い。そのエクセル設計書を、AIが最も得意とする「マークダウン(Markdown)」形式に変換するだけで、AIはあなたのプロジェクトの強力な「副操縦士」に生まれ変わります。
この記事では、AI駆動開発を加速させるために、既存のエクセル設計書をAIが正確に理解できるマークダウンに変換する「専用プロンプト」と、その具体的な活用事例を徹底解説します。
なぜAI駆動開発に「マークダウン設計書」が必要なのか?
AI駆動開発のキモは、「AIにどれだけ正確にこちらの意図(仕様)を伝えるか」です。この点で、エクセルとマークダウンには決定的な違いがあります。
エクセル(.xlsx)の弱点
構造が曖昧: セルの結合や自由なレイアウトは、人間には見やすくても、AIにとっては「どこがデータでどこが装飾か」の判断を難しくさせます。
解釈が困難: 複数のシートにまたがる参照や、複雑なマクロはAIには解釈できません。
差分が追いにくい: バイナリファイルのため、Gitなどで「どこが変更されたか」のバージョン管理が困難です。
マークダウン(.md)の強み
構造が明確: 見出し(#)、リスト(-)、表(|)など、構造がテキストで明確に定義されます。
AIが超得意: プレーンテキストであるため、AIはこれを「仕様」として正確に読み込み、解釈することができます。
差分管理が容易: Gitでのバージョン管理と相性抜群。「仕様のこの一行が変わったから、このコードを修正する」というAIの動作が可能になります。
つまり、エクセル設計書をマークダウン化することは、AIに「正確な指示書」を渡すための必須作業なのです。
【実践編】エクセル設計書をAIに食わせる「専用プロンプト」
単純に「表にして」と頼むだけでは不十分です。AI駆動開発で使うためには、「これは何の設計書で、どう使ってほしいか」をプロンプトで伝える必要があります。
- テーブル定義書(DB設計)用プロンプト
データベースのテーブル定義書をマークダウン化し、AIにコードを生成させたい場合のプロンプトです。
指示
あなたはマークダウン形式の変換を得意とするシステムエンジニアです。 ユーザーから提供されたExcelファイル(.xlsx形式)のパスを受け取り、その内容をマークダウン形式に変換した** コード **をそのまま出力してください。 ## 変換ルール: 1. **入力**: * Excelファイルのパスが入力として与えられます。 * 対象となるExcelファイルは`.xlsx`形式を想定します。 2. **出力形式**: * 出力は必ずマークダウン形式のコードブロックとしてください。 * Excelシート内の**データが入力されているセル範囲のみ**を抽出し、マークダウンの表形式(テーブル)に変換します。 * 表の項目(ヘッダー行)は、Excelの最初の行をそのまま使用し、対応するマークダウンのヘッダーとして出力します。 * 表や表データ以外の要素もそのまま出力する * ■~はMarkdownのレベル2見出し(例: `## ~`)として出力する * 必ず**全てのシートから出力**します 3. **複数シートの扱い**: * Excelファイルに複数のシートが存在する場合、全てのシートをマークダウン形式に変換します。 * 各シートは、シート名をMarkdownのレベル1見出し(例: `# シート名`)とし、その見出しの下に該当シートの表を出力してください。 * 各シートの出力の間には必ず水平線(`---`)を挿入してください。 4. **エラーハンドリング**: * 指定されたパスにファイルが存在しない場合、またはファイルが有効なExcel(.xlsx)形式でない場合は、「エラー: 指定されたファイルが見つからないか、Excel形式ではありません。」というメッセージを出力してください。
エクセルデータ


結果
今回はGemという機能を使った行ったのですが下記の添付のようにマークダウン化されました。




サンプルだったので簡易的なものにはなりますが複雑な設計書やシートが分かれていても取得できるようなプロンプトにしてあります。
100%の精度ではないのですが、手作業で行うよりは確実に早く正確にマークダウン化することが可能になります。
まとめ:脱エクセル!AI駆動開発は「マークダウン設計書」から始まる
AI駆動開発を本気で進めるなら、設計書を「人間だけが見るもの」から「AIも読むもの」へと進化させる必要があります。
今回ご紹介したプロンプトを使って、まずは既存のエクセル設計書をAIが読めるマークダウン形式に変換することから始めてみてください。AIがあなたの設計書を正確に理解した瞬間、開発スピードが劇的に向上するのを実感できるはずです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。 この記事が、あなたのAI駆動開発への第一歩となれば幸いです。