「仕様駆動開発(SDD: Spec-Driven Development)」へと開発トレンドがシフトしています。
その中で注目を集めているのが、日本発のフレームワーク「cc-sdd」と、軽量で柔軟な「OpenSpec」です。
「自分のプロジェクトにはどっちが向いているの?」「何が違うの?」と疑問に思っているエンジニアの方も多いはず。この記事では、両ツールを比較し、それぞれの強みや使い分けのポイントを分かりやすく解説します。
仕様駆動開発(SDD)が注目される理由
従来のAI開発では、「〇〇な機能を作って」という曖昧なプロンプトで実装を任せるのが一般的でした。しかし、これでは大規模なプロジェクトになるほど、AIが文脈を見失い技術負債を抱えるリスクが高まります。
そこで登場したのがSDD(仕様駆動開発)です。
1、 仕様(何を作るか)を定義する
2、 AIと人間が合意する
3、 仕様に基づいてAIがコードを生成する
このプロセスを踏むことで、手戻りを最小限に抑え、一貫性のある高品質なコードを維持できるようになります。
比較表:cc-sdd vs OpenSpec
まずは、両者の主な違いを一覧表で確認しましょう。
| 比較項目 | cc-sdd | OpenSpec |
| コンセプト | 厳格な承認プロセスと記憶管理 | 軽量・シンプル・既存環境への導入 |
| 主な対象 | 新規開発(0→1)、中・大規模 | 既存プロジェクトの改修、小規模 |
| ワークフロー | 4段階(要件→設計→タスク→実装) | 3段階(提案→レビュー→実装) |
| 言語サポート | 日本語に完全対応 | 主に英語 |
| 特徴的な機能 | Steering(プロジェクト記憶)機能 | アーカイブ機能(変更履歴の管理) |
| 開発元 | gotalab(日本) | Fission AI |
cc-sddの特徴:堅実な設計と「プロジェクトの記憶」
1、厳格な4フェーズ構成
spec-init → spec-requirements → spec-design → spec-tasks という明確なステップを踏みます。各段階で人間が「承認」ボタンを押す必要があるため、勝手に実装が進んで「思ってたのと違う」事態になるのを防ぎます。
2、Steeringシステム
プロジェクト固有のコーディング規約やアーキテクチャ方針を.kiro/steering/に保存します。これにより、AIは常に「このプロジェクトのルール」を意識した提案が可能になります。
3、日本語環境に強い
日本発のツールであるため、ドキュメントや生成される仕様書が自然な日本語になります。チームメンバー全員が英語に堪能である必要がない点は、国内開発チームにとって大きなメリットです。
OpenSpecの特徴:軽快な動作と「既存コード」への適応
OpenSpecは、「もっと気楽に、今あるプロジェクトにSDDを取り入れたい」というニーズに応えるツールです。
1、シンプルな3ステップ
Draft(提案)、Review(確認)、Implement(実装)の3段階で完結します。cc-sddほど厳格な設計書を求められないため、スピード重視の開発に向いています。
2、既存プロジェクトとの相性が抜群
OpenSpecは、specs/(現在の仕様)とchanges/(これから変える内容)を明確に分けます。機能改修が終わるとarchiveコマンドで履歴を整理できるため、長期間運用されているコードベースの「ドキュメントの腐敗」を防げます。
3、ツールを選ばない柔軟性
特定のAI CLIに依存しすぎず、Markdownファイルをベースにやり取りするため、Cursor、Claude Code、VS Codeなどのエディタを使い続けられる柔軟性があります。
【結論】どっちを選ぶべき?
どちらを導入すべきか迷ったら、以下の基準で選んでみてください。
cc-sddがおすすめなケース
・新規プロジェクトをこれから立ち上げる
・開発チームのコーディング規約を厳守させたい
・日本語でしっかりとした設計ドキュメントを残したい
・AIが迷走しないよう、承認プロセスを重視したい
OpenSpecがおすすめなケース
・既存のプロジェクトに後付けで導入したい
・スピード感を重視し、最小限の手間でSDDを始めたい
・バグ修正や小さな機能追加がメインの作業である
・複雑な機能より、変更履歴の管理をシンプルに行いたい
最後に
AIとの共同開発において、「仕様を書くこと」はもはやエンジニアの最も重要な仕事になりつつあります。 cc-sddで堅牢な土台を作るか、OpenSpecで軽快に改善を回すか。あなたのプロジェクトの性質に合わせて、最適なツールを選んでみてください。
最後まで読んでいただきありがとうございました。