はじめに

Datadog Logsを導入すると、アプリケーションやインフラのログを一元的に収集・検索できるようになります。
障害発生時にログを横断的に確認できる点は非常に強力ですが、一方で「とりあえず全部送っているが、実際にはほとんど見ていない」「いざ調査しようとすると、どこから見ればよいかわからない」といった課題に直面するケースも少なくありません。

本記事では、Datadog Logsを単なるログ置き場にしないために、実運用で使い続けることを前提としたLogs運用設計の考え方を整理します。
具体的な設定手順ではなく、「どのログを、どの粒度で、どう扱うか」という視点で解説します。

Datadog Logsを「入れただけ」で終わらせないために

Datadog Logsは「集めること」自体が目的ではなく、調査や判断に使えて初めて価値を持ちます。

Datadog Logsを有効化すると、アプリケーションログやアクセスログ、システムログが一気に集まり始めます。
この段階では「検索できる」「時系列で見られる」といった便利さを感じやすい一方で、運用が進むにつれて次のような状態に陥りがちです。

・ログは大量にあるが、普段は見ていない
・障害時にどのログを見るべきか判断できない
・検索条件が定まらず、調査に時間がかかる

これは、Datadog Logsの機能不足ではなく、導入時点で「ログをどう使うか」という前提が整理されていないことが原因です。
ログは集めること自体が目的ではなく、調査や判断に使えて初めて価値を持つという点を意識する必要があります。

まず決めるべきは Datadog Logs の役割

DatadogにおけるLogsの役割は非常に明確です。
それは、何かが起きたあとに原因を調べるための情報源であるという点です。

多くの環境では、障害や異常はまずアラートやメトリクスによって検知されます。
Logsは、その通知を受けたあとに「なぜ起きたのか」「どの処理で問題が発生したのか」を確認するために使われます。

この前提を整理せずに、「Logsも常に監視するもの」「Logsですべてを判断するもの」と考えてしまうと、ログ設計は破綻しやすくなります。
Datadog Logsは、常時眺め続けるダッシュボードではなく、必要なときに深掘りするための道具として位置づけることが重要です。

すべてのログを平等に扱わない

Logs運用がうまくいかなくなる大きな原因のひとつが、「すべてのログを同じ重要度で扱ってしまうこと」です。

ログにはさまざまな種類があります。
例えば、アプリケーションの処理内容を示すログ、ユーザーアクセスを記録するログ、エラーや例外を出力するログなどです。
これらはすべて性質が異なり、利用頻度や重要度も同じではありません。

実運用では、「障害調査で必ず見るログ」「普段は見ないが、必要になったら参照するログ」「長期保管のためだけに残すログ」といった形で、扱いを分けることが現実的です。
すべてのログを同列に扱ってしまうと、ノイズが増え、検索性が下がり、結果としてLogsが使われなくなってしまいます。

Datadog Logsでは、「保存すること」と「日常的に使うこと」を切り分けて考えることが重要です。

タグ設計が Datadog Logs の使いやすさを左右する

Datadog Logsの使いやすさを大きく左右するのが、タグ設計です。
どれだけログを集めても、後から絞り込めなければ調査は成立しません。

一般的に、service、env、host、role などのタグはLogs運用の基本となります。
これらのタグが適切に付与されていれば、「どのサービスで」「どの環境で」「どのホストで」起きた事象なのかを素早く切り分けることができます。

一方で、タグ設計が不十分な場合、検索時に毎回複雑な条件を書く必要が生じたり、そもそも対象ログを特定できなかったりします。
特に運用が進み、サービスや環境が増えてくると、タグ不足は深刻な問題になります。

重要なのは、「後から検索する人」の視点でタグを設計することです。
Logsは書き込む側よりも、調査する側の利便性を優先して設計することで、初めて運用に耐える形になります。

Logs / Monitors / Dashboards の役割分担を意識する

Logs・Monitors・Dashboardsは役割を分けて設計することで、運用全体がシンプルになります。

Datadogでは、Logs、Monitors、Dashboardsという複数の機能が用意されていますが、それぞれの役割は異なります。

Logsは詳細な情報を調査するためのもの、Monitorsは異常を検知し通知するためのもの、Dashboardsは状態や傾向を把握するためのものです。
これらの役割を混同すると、「Logsで監視しようとする」「Dashboardsで原因調査をしようとする」といった無理な使い方になりがちです。

アラートが発報されたらMonitorsで事象を認識し、Logsで原因を調べ、Dashboardsで全体傾向を振り返る。
この流れを前提に設計することで、Datadog全体の運用はシンプルになります。
Logsはその中で、「深掘り調査を担う存在」として位置づけるのが理想です。

運用を続ける中で見直す前提を持つ

Logs運用を一度の設計で完璧に仕上げることは、現実的ではありません。
サービスの増加や機能追加に伴い、ログの量や内容は必ず変化します。

そのため、Datadog Logsは「最初に決めたら終わり」ではなく、定期的に見直す前提で運用することが重要です。
使われていないログ、検索されていないタグ、調査に役立っていないログなどを棚卸しし、設計を調整していくことで、Logsは徐々に使いやすくなっていきます。

Datadog Logsは柔軟に設計を変更できるため、運用に合わせて育てていく姿勢を持つことが、長期的には最も効率的です。

まとめ

Datadog Logsは、ログを集めるための機能ではなく、運用の中で判断を支えるための機能です。
目的や役割を明確にしないままログを集め続けても、Logsは活用されません。

・Logsの役割を明確にする
・すべてのログを平等に扱わない
・タグ設計を意識する
・アラートやダッシュボードと役割分担する

これらを意識することで、Datadog Logsは「とりあえず入れている機能」から、「運用に欠かせない道具」へと変わっていきます。
ログを集めること自体ではなく、使い続けられるLogs運用設計を目指すことが重要です。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。