はじめに

こんにちは!北野(ヤマダ)です。

昨今、ビジネスの現場でも生成AIの活用が当たり前になってきました。しかし、いざ自社の既存システムに導入しようとするとこんな不安が頭をよぎりませんか?

  • 「AIシステムをゼロから構築するのは、予算も期間もかかりすぎる…」
  • 「業務フローをガラッと変えるのは、現場の負担が大きい…」
  • 「うちのシステムはニッチだから、AIなんて馴染まないのでは?」

結論からいいます!今のシステムをそのまま活かしながら、特定の画面にほんのちょこっとだけAIを足すだけで業務は劇的に効率化できます✊

今回は、AWSの生成AIサービスであるAmazon Bedrockを使って、大がかりな手直しはなしで既存システムをスマートにするちょい足しAIの3大レシピを、技術的な実装イメージと共にご紹介します!

なぜ Amazon Bedrock なのか?

数あるAIサービスの中で、既存システムへの組み込みにAmazon Bedrockをおすすめする理由はシンプルです。

  1. セキュリティが万全(データが学習に使われない)
    入力した社外秘のデータや個人情報が、AIモデルの一般学習に利用されることは一切ありません。企業のセキュリティ基準をクリアしやすい!
  2. サーバー構築が不要(APIを叩くだけ)
    AI用の高価なサーバーを新しく用意する必要はありません。既存システムからAPIを介してBedrockを呼び出すだけなので、インフラ構成を変えずに済みます。
  3. 開発者が困らない(超低リスク)
    データベースの構造を大幅に変える必要がありません。「テキストを渡して、返ってきた結果を表示する」という従来のWeb開発の知識だけで実装可能です!

既存システムに刺さる!「ちょい足しAI」3大レシピ

「文字を入力する」「文字を読む」場所があれば、どんなジャンルのシステムでも今すぐ導入可能です。

🍖レシピ①:溜まったデータの 自動タグ付け・重要度判定

ユーザーからの自由入力(問い合わせ、レビュー、日報など)を、AIが裏側で自動的にカテゴリ分けします。

ビジネス活用例:
メールの文面から「クレーム」「機能要望」「解約検討」を自動判別し、至急度が高いものは管理画面で赤文字表示。人間の手動で仕分ける手間をゼロにします。

このレシピの仕込み方

BedrockのConverse APIを利用します。システムプロンプト(AIへの指示役)に

「あなたは優秀な分類器です。以下のルールに従って、[クレーム, 要望, 質問] のいずれかで回答してください」

と設定するだけ。数行のコードで安定した振り分けの仕組みが完成します。

Bedrockは使った分だけ支払う完全従量課金制なので、社内メンバーが使う程度なら月々数百円〜数千円といった超低コスト。初期費用ゼロで、明日からでもスモールスタート可能です!


🍳レシピ②:表記揺れを吸収する テキストの構造化(JSON化)

ユーザーがフリーテキストで入力した内容から、システムが処理しやすいデータだけを綺麗に抜き出します。

ビジネス活用例:
「来週の月曜の午後3時に2名で」という備考欄のメモから、AIが自動で 202X-XX-XX 15:00 / 2名 というデータに変換。入力フォームをガチガチにせず、ユーザーの利便性を保てます。

このレシピの仕込み方

Converse APIのTool Use(Function Calling機能)を活用します。抽出したい項目(日付、人数など)の定義(スキーマ)をBedrockに渡してあげるだけで、AIがテキストを解析し、プログラムがそのまま読み込める綺麗なJSONフォーマットで返してくれます。パース処理のコードを自前でガリガリ書く必要はありません。

`toolChoice` による出力形式の保証

ここで重要なのがtoolChoiceパラメータです。通常、AIモデルはツールを呼ぶかテキストで返すかを自分で判断しますが、toolChoice に特定のツール名を指定すると「必ずこのツールを使え」とモデルに強制できます。

"toolChoice": {
"tool": {
"name": "extract_reservation_info"
}
}

これによって、たまにテキストで返ってきてパースに失敗するという問題が解消され、ほぼ100%の確率で綺麗に整理された構造化データが返ってきます!既存システムに組み込む際にも安心ですね。

実際にフリーテキストを入力すると、以下のようにJSON形式で構造化データが返ってきます。「来週の月曜」のような曖昧な表現も、具体的な日付に変換されているのがポイントです。


🥘レシピ③:複数データも賢くまとめる「ワンクリック・3行サマリー」- Amazon Bedrock Agentsで自律AIエージェント

長文のテキスト(お知らせ、業務報告、長文の口コミなど)の横に「AIで要約」ボタンを配置します。

ビジネス活用例:
「今週の全社員の日報」や「過去の対応履歴」など、複数のドキュメントを跨ぐような複雑な内容でも、ボタン1つで経営陣や担当者のダッシュボードに3行で要約表示します。

このレシピの仕込み方

単一の長文を要約するだけなら、レシピ①②と同じConverse APIに渡すだけで十分です。しかし実際の業務では、要約したいデータが複数の場所に散らばっていることが多い。日報はこのDB、売上はあのAPI、顧客情報はまた別のシステム…。

こうしたどこからデータを持ってきて、どう組み合わせるかをAIに任せたい場合に威力を発揮するのがAmazon Bedrock Agentsです。

開発者が「Aのデータを取って、Bのデータと照合して要約する」という手順をコードに書かなくても、Agent機能が「どういう手順で処理すればいいか」を自分で考えて実行してくれるため、システム同士を複雑につなぎ込むための条件分岐や呼び出し順序を制御するコーディングが不要になります。

必要なのは、各関数の名前や説明、パラメータを記述したアクション定義(OpenAPIスキーマ)と、実際の処理を行うLambda関数だけ。これを用意すれば、あとはどの順番でどの処理を呼ぶべきかをAIが自動で判断してくれます。

実際にBedrock Agentsのテスト画面で「今週の日報と売上を要約して」と指示すると、AIが自律的にデータを収集し3行で要約してくれます。右側のTraceタブで実行ステップも確認できます。

Trace step 1を展開すると、AIの思考過程(rationale)と、実際にどのAction Groupのどの関数を呼び出したかがJSON形式で確認できます。開発者が呼び出し順序をコーディングしていないのに、AIが「まず日報を取得」と判断しているのがわかります。

アクション定義(OpenAPIスキーマ)で『どんなツール(関数)が使えるか』を定義するだけ。関数の役割やパラメータの説明さえしっかりと書いておけば呼び出しの判断はAIに任せられます。

スライドショーには JavaScript が必要です。

 

まとめ

AIの導入は、何千万もかけて一大プロジェクトにする必要はありません。

今回ご紹介した機能は、既存システムへの影響を最小限に抑えつつ、最短数日の開発期間で実装できるものばかりです。画面の片隅にある小さなテキストボックスから、スモールスタートしてみませんか?

「Converse APIを使って、うちのこの画面をちょっと便利にできない?」
「Bedrock Agentsを使えば、あの面倒な集計業務を自動化できる?」
そんなちょっとしたアイデアや疑問があれば、ぜひお気軽にKDDIアイレットまでご相談ください。御社のシステムに最適な「ちょい足しレシピ」をご提案いたします!

ここまで読んでいただきありがとうございました🙇‍♂️