クラウドインテグレーション事業部の片山です。
2026年10月26日〜28日(現地時間)にラスベガスで開催中のイベント、Oracle AI World 2026 に今年も現地参加しています。

昨年の反省を活かし、今年は初日から胃袋のペース配分を意識しています(執筆現在は現地2日目の夜ですが今回はまだ大丈夫です!)。

今回は会期前日に開催されたパートナー向けプログラム「Partner Experience at Oracle AI World」の中から、「The Multicloud Advantage: Driving Customer Outcomes with Oracle and Hyperscalers」というセッションのレポートをお届けします。

セッション概要

本セッションは、Oracle とハイパースケーラー3社の責任者が同じステージに立ち、「Oracle AI Database@AWS」「Oracle AI Database@Azure」「Oracle AI Database@Google Cloud」の現在地と、顧客・パートナーにとっての商機を語る90分でした。

登壇者は、OracleからMuneer Mirza氏(司会)、Leah Yomtovian氏、Nathan Thomas氏、AWSからSara Alligood氏、Pat Bangalore氏、MicrosoftからStephen Boyle氏、GoogleからChayan Biswas氏、Chacko Thomas氏の計8名です。

Oracleの開会挨拶のあと、各社が「商機 → 顧客事例 → パートナー支援 → Q&A」を順に話すリレー形式。SI向けということもあり、細かい仕様より「顧客はなぜ移行するのか」「移行の先に何があるのか」というビジネス寄りの話が中心でした。

セッション内容:マルチクラウドは「移行」から「AI 活用」のフェーズへ

Oracle:3年で70以上のリージョンを共同構築

冒頭、Nathan Thomas氏は Oracle AI Database のマルチクラウド提供を「Oracle 史上もっとも成長の速い事業のひとつ」と表現しました。顧客のアプリケーションや AI がすでに動いているクラウドの中に、低遅延でExadataを置けることが需要の源泉だという整理です。

公開情報でも Oracle AI Database@AWS は22リージョン、Oracle AI Database@Google Cloud は16リージョン、Oracle AI Database@Azure は30を超えるリージョンで提供されており、締めの挨拶で語られた「3年間で3社合わせて70以上のリージョンを共同構築した」という言葉は誇張ではありません。Leah Yomtovian 氏からは、移行経験の豊富なSIが顧客の安心につながるとして、アセスメントや移行へのパートナー支援を拡充していることが語られました。

AWS:移行の「型」と、データの隣で動くAI

AWSパートではPat Bangalore氏から、パートナー主導で案件を進めるときの「型」が紹介されました。

  1. 棚卸し:オンプレのOracle資産とライセンスを把握する(AWS が支援するライセンス最適化アセスメント)
  2. 移行:Oracle Zero Downtime Migration(ZDM)でExadata/RAC構成をそのままOracle AI Database@AWSへ移す
  3. 活用:移行したデータにAmazon BedrockやOracle AI Database 26aiのAI Vector Searchを組み合わせ、エージェントを構築する

    (画像出典:Oracle「Oracle AI Database@AWS」製品ページ https://www.oracle.com/cloud/aws/ )

移行の引き金は「すでにアプリケーションがAWSで動いている」「データセンターからの撤退」「仮想化基盤のライセンス見直し」の3つが多いとのこと。
普段提案作成等でお客様とやり取りしている立場としては、上記に加えてAI活用やデータ分析のため、といったお引き合い(上記3型の③)が増えてきているのを肌で感じています。

(画像出典:Oracle「Oracle AI Database@AWS」製品ページ https://www.oracle.com/cloud/aws/ )

なお2026年8月にはOracle Exadata Database Service on Exascale InfrastructureがOracle AI Database@AWSでGAとなり、小規模からExadataの性能を使えるようになっています。

Google Cloud:「Oracle in Gemini、Gemini in Oracle」

Google Cloudパートの主役は、今回のOracle AI World 2026の目玉のひとつ「Oracle in Gemini, Gemini in Oracle」でした。Chayan Biswas氏は、GoogleのAIスタックのどの層からでもOracleのデータに届く構成を説明しました。

  • Oracle in Gemini:GeminiからOracle AI Database@Google Cloudに安全に問い合わせできる「Oracle Database in Gemini」や、Fusion Applications向けのエージェントを提供。基盤はRemote MCP Server(GA)とGemini Connector(今後提供)
  • Gemini in Oracle:Oracle Fusion AI Agent Studioや、2026年9月発表の Oracle Fusion Clawの中核推論モデルとしてGeminiを採用
  • データ基盤:Apache Icebergを介した双方向連携で、同じデータをOracleのエンジンからもBigQueryからも扱える

Chacko Thomas氏の「我々のメッセージは移行ではなく、エージェント変革だ」という言葉がこのパートを象徴していました。顧客事例においても、移行後にすぐAIツールへ手が届いたことが変革の起点になったと強調されていました。

Microsoft Azure:4億人の「仕事の流れ」に Oracleデータを

MicrosoftパートはStephen Boyle氏の「MicrosoftとOracleは30年取引している。この信頼は一夜では作れない」という言葉から始まりました。差別化の軸は、Microsoft 365を使う4億人のユーザーの日常業務の中に Oracleのデータを届けることです。

  • CopilotをAIのUI に:Word、Excel、Teamsなどの業務フローの中でOracleデータに基づく回答を得る
  • IQスタック:Fabric IQ、Foundry IQ、Work IQを組み合わせ、「意思決定はデータベースの中ではなくメールや会議で起きている」という現実に対応する
  • Oracle Managed MCP in Microsoft Foundry:Oracle管理のMCPサーバーをFoundryから登録し、エージェントがライブのOracleデータを参照できる(2026年6月発表)
  • Agent 365:エージェントの信頼性・セキュリティ・コスト管理を担う。「エージェントは自己規制がない分、人間より危険になりうる」とガバナンスの重要性を強調

また2026年10月22日には、AzureのアプリケーションとExadataを近接配置するProximity Placement GroupがOracle AI Database@AzureでGAとなっています。

Q&A:顧客はどの基準でクラウドを選ぶのか

「顧客はどのワークロードをどのクラウドに置くと決めているのか」という質問への回答として、以下の判断軸が示されていました。

  1. データレジデンシーとリージョン網
  2. レジリエンス(マルチゾーン構成の可否)
  3. 既存資産とデータ重力(アプリケーションが動いているクラウドにデータベースも寄せる)
  4. 商務条件(既存のクラウドコミットメントや割引)
  5. 技術要件(遅延など)

「AIスタックを基準にクラウドを選ぶ顧客はまだ少ないが、今後はそうなる」という見立ても語られ、参加者からの「どのクラウドでも透過的に使えるのが本来の姿では」という声に、登壇者が「同意する。ユビキタス化はこれからだ」と応じる場面もありました。

おわりに

以上、「The Multicloud Advantage: Driving Customer Outcomes with Oracle and Hyperscalers」に現地参加してのセッションレポートをお届けしました。

各社の話を続けて聞いて感じたのは、「Oracle AI Databaseをどの環境でも動かせる」ことはもはや前提になりつつあり、主戦場が「移行したデータを各社のAIスタックでどう活かすか」に移っている、ということです。AWSは移行の実行力と Amazon Bedrockとの接続、Google CloudはGeminiとの双方向統合、MicrosoftはMicrosoft 365の業務フローへの組み込みと、同じ起点から描くイメージがそれぞれ分かれているのが面白いところでした。

Q&Aで語られた「データ重力」の話は、マルチクラウドの提案をしている我々にも腹落ちするものでした。移行先は、データベース単体のスペックや価格ではなく「アプリケーションとAIをどこで動かすのか」から逆算して選ぶ。その整理をお客様と一緒に行うことが、今後ますますSIの価値になると感じています。

最後までお読みいただきありがとうございました!