はじめに

Amazon EC2は、AWSクラウド上で仮想サーバー(インスタンス)を起動・管理できるサービスです。EC2インスタンスを利用する際、需要の急増などによって必要な時にインスタンスを起動できない場合があります。

このような事態を避けるために、事前にEC2インスタンスのキャパシティを予約する「キャパシティ予約」という機能があります。今回、このキャパシティ予約に、将来の日付でのリクエスト機能が追加されました。

Amazon EC2 キャパシティ予約について

キャパシティ予約は、特定のAvailability Zone(AZ)において、特定のインスタンスタイプと数量のEC2インスタンスを予約する機能です。これにより、必要な時に必要な数のインスタンスを確実に起動できるようになります。

今回のアップデートでは、キャパシティ予約を将来の日付でリクエストできるようになりました。これにより、例えば、数週間後や数ヶ月後に開催されるイベントに合わせて、事前に必要なEC2インスタンスのキャパシティを確保することができます。

将来の日付のキャパシティ予約をリクエストすると、AWS側でキャパシティーの可用性と指定したコミットメント期間に基づいてリクエストを評価し、サポート可能かどうかを判断します。評価は通常 5 日以内に完了します。

AWS側の判断の結果キャパシティ予約のリクエストをサポートできない場合もございますため、余裕をもった予約をお願いします。

将来の日付を利用したキャパシティ予約は最短で5日先から可能です。
例えば明日使用する分を予約したいといった直近の場合はご利用はできません。
(2025/02/17に開始日の確認をした際、最短の開始日は確かに2/23からになっていました。)

また、キャパシティ予約を特定の時刻に終了したり、手動で終了したりすることもできます。
[手動] を選択した場合、予約に終了日はありません。
手動でキャンセルするまで、アカウントでアクティブなままになり、引き続き課金されます。

どんな時に利用すればよいか

  • スケーラブルなワークロード
    • ECサイトのセール期間など、需要が予測できる大規模なワークロードに備えて、事前にキャパシティを予約することができます。
  • 定期的なバッチ処理
    • 毎月月末に実行されるバッチ処理など、定期的に実行されるワークロードに合わせて、事前にキャパシティを予約することができます。
  • イベント開催
    • 大規模なオンラインイベントを開催する際に、事前にEC2インスタンスのキャパシティを予約することで、イベント当日のアクセス集中に備えることが可能になります。

注意点

  • 将来の日付のキャパシティー予約をリクエストできるのは、C、I、M、R、または T インスタンスファミリーのインスタンスタイプのみ
  • 最小 100 個の vCPU を持つインスタンス数に対して、将来の日付の容量予約をリクエストが可能
    • たとえば、インスタンスに対して将来の日付の容量予約をリクエストする場合は、少なくとも 25 個のインスタンス ( 25 * m5.xlarge = 100 個の vCPUm5.xlarge ) の容量をリクエストする必要があります。
  • 将来の日付の容量予約は、5 日から 120 日前までリクエストできる
    • ただし、AWS側の判断があり、そのサポート性を向上させるために、少なくとも 56 日 (8 週間) 前までにリクエストすることが推奨されています。
  • ほとんどのリクエストの場合、推奨されるコミットメント期間は 14 日間
    • コミットメント期間とは、プロビジョニング後に、要求されたキャパシティー予約をアカウントに保持することを約束する最小期間のことです。

今すぐのキャパシティ予約を利用した方が良い場合

将来の日付のキャパシティ予約は、増分インスタンスを起動してカバーできるようにするためのものであり、既存の実行中のインスタンスをカバーするものではありません。既存の実行中のインスタンスをカバーする必要がある場合、将来の日付のキャパシティ予約ではなく、すぐに開始されるキャパシティ予約を使用してください。

まとめ

Amazon EC2のキャパシティ予約に将来の日付でのリクエスト機能が追加されたことで、より柔軟かつ効率的なEC2インスタンスの利用が可能になりました。この機能を活用することで、将来の需要変動に備え、安定したシステム運用を実現することができます。
計画的な運用を行うことが重要になりますため、公式ドキュメントと共に本記事もご参照いただけますと幸いです。

【参考ドキュメント】
[1]将来の日付での Amazon EC2 キャパシティ予約をリクエスト可能に
[2]キャパシティ予約の作成
[3]Announcing future-dated Amazon EC2 On-Demand Capacity Reservations