1990年代半から携帯電話が普及しどんどん小型化・高速化していき
現在ではスマートフォンは必需品になった感があります。
Web開発においてもその進歩によって今やスマートフォンは無視できません。
今後どれぐらい進化していきシステム開発はどのように変わるのか?

次世代コンピュータ=量子コンピュータということになりますが、
そもそも、量子コンピュータって何?
実用化されればどのように影響する?

なんとなくわかっているようでわかっていない量子コンピュータを
量子力学がよくわからない自分でも理解できるようにちょっと整理してみました。

いままでのコンピュータと何がちがうの?

いろんなサイトで解説されていますので、
詳細な理論や構造を詳しく知りたい方はそちらを参考いただくとして…

現在のコンピュータ(=古典コンピュータ)の仕組み

古典コンピュータは電圧の高低で「0」と「1」を表しビットで論理演算を行います。
コンピュータの性能を上げるには、
論理ゲートの数を増やし回路を小型化するなどの方法で、
チップ上の回路の集積度を上げて計算処理スピードを得る必要があります。

最初のコンピュータ 画像参考:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:ENIAC-changing_a_tube.jpg?uselang=ja

CPU 画像参考:https://pxhere.com/ja/photo/1153979

ここで問題なのが、「小型化」ということ
ニュートン力学の理論上、原子よりも小さくはできないので限界があるそうです。

量子とは

ぐぐると、

量子とは、粒子と波の性質をあわせ持った、とても小さな物質やエネルギーの単位のことです。

物質を形作っている原子そのものや、原子を形作っているさらに小さな電子・中性子・陽子といったものが代表選手です。

とありました。

はて?わかったようなわからないような・・・

もう少し詳しく調べてみると

  • 原子またはそれ未満のサイズ
  • 原子・中性子・陽子・電子・光子・クォーク・ニュートリノなどは全て量子

ということだそうで、考え方も量子力学という思考に切り替えないといけないようです。


画像参考:https://openclipart.org/detail/652/atom-model

重ね合わせ?量子もつれ?

この量子の世界では

量子は、「粒子」でもあり「波」でもあるそうです。
そのため粒子が同時に複数の場所に存在し、
いったん二つの粒子に量子もつれの関係ができると
互いのことが分わかり、片方の粒子の状態が変化すると、それに応じてもう一方の粒子も瞬時に変化するというのです。

うーん、よくわからん。だめだ右脳で考えるんだ・・・・

このあたりは
イエナガ先生の説明がわかりやすかった。
さすがNHKさん紹介しておきます。

https://www.youtube.com/watch?v=rXWZfmR8svo

https://www.youtube.com/watch?v=eCnMIA_g7FM

量子ビットは「0」「1」どちらも持っている

同じ物量であれば、

1 2 3 4 5 6 7 8
従来ビット 1 2 4 8 16 32 64 128
量子ビット 2 8 32 128 512 2,048 8,192 32,768

ということになり
1バイトの最大値が 従来ビットなら 255 が 1量子バイトなら 65535 (※ 整数のみ)ということになる
具体的な数値がでると処理が早くなるイメージができるな〜
またまた イエナガ先生がわかりやすいので参考にしました紹介しておきます。

https://www.youtube.com/watch?v=Dz0zJ_PuYSI

実用化されたらRSAは使えないの?

量子コンピュータが実用化されれば、真っ先に懸念されているのが暗号化の解読です。
RSAなどの暗号は結論的には使えなくなります。

といっても、なんで使えないの?
どんな影響があるのかを考えてみます。

なぜ暗号が必要?

そもそもインターネットは専用線ではないので、他のコンピュータに接続する際
直接接続するのではなく途中どこか他の拠点を経由することになります。
また近年は、WiFiなどの無線では傍受される可能性もあります。
そのためデータを暗号化することで、個人情報などの漏洩を防ぐことを目的としています。


画像参考:https://openclipart.org/detail/131179/internet-scheme

そもそも現在の暗号は素因数分解

SSLによる暗号化は、公開鍵と秘密鍵による暗号化です。
現在の暗号が安心と考えられているのはこの秘密鍵を特定するのが、天文学的時間がかかるからとされているからで
量子コンピュータが普及すると天文学的時間がかからない為秘密鍵が特定されます。

画像参考:https://openclipart.org/detail/180750/encrypted-document-gold

どんな影響がある?

  • サイトが見れない
  • サービスに個人情報(クレジットカード等)の入力ができない
  • サービスにログインできない
  • メールが送れない
  • SSHでサーバーに接続できない
  • 暗号資産が暴落する

ざっと挙げてみました。
細かい点で微妙なものもありますが、
このまま放置しておけば影響はかなりあります。

耐量子計算機暗号(Post-Quantum Cryptography; PQC)

もちろん
わかっていることですので対策も検討されているようで
2030年ごろまでに切り替える必要があるとのことです。

以下、参考までに紹介しておきます。

いつ実用化されるの?

イエナガ先生の「量子コンピューターを開発すれば、世界を制する!?」でも解説がありましたが
条件が厳しくまだまだ実用化できるものではないようです。

主な実現方式

  • 超電導方式
  • イオントラップ方式
  • 光方式
  • 半導体方式
  • 冷却原子方式

どれも一長一短あるようで、
現在は超電導方式が最有力ですがまだまだ課題は山積みのようです。

現在の実用状況

量子コンピュータの方式は大きく分類して

  • ゲート型
  • アニーリング型

に分かれるそうです。
ゲート型が従来のビットを量子ビットに置き換えたものであるのに対し
アニーリング型は簡単にいうと最適な組み合わせを探す方式で、
カナダのベンチャー企業 D-Wave (https://dwavejapan.com/)が アニーリング型の商用量子コンピュータを開発しています。
D-Waveの量子コンピュータは従来のコンピュータに比べて1億倍高速であると発表されました。
ただし、
アニーリング型は最適な組み合わせを探すことに特化しているものでゲート型でもできるのですが
ゲート型でできることが全てアニーリング型で実行できるわけではないそうです。

と、いうことで一説には2030年代(後半?)には実用化とも言われていますが
調べてみると結構課題は多いようです。
しかし、
技術は日進月歩しておりのんびりしているとあっという間に問題をクリアし実用化されるのかもしれません。

本格実用化されたらどんな世界になるの?

人類が初めて月面着陸したアポロ11号はファミコン並みのコンピュータしか搭載していなかったそうです。
(※ トリビアの泉で出てたので勘違いしている人が多いですが実は違うそうです)
個人的には
これぐらいの能力でも月にいけたぐらいなので、そんなに急いで性能アップしてどうするの
って気はするんですが・・・

実用化による影響

量子コンピュータが実用化されれば、現在とは比較にならない高速での処理能力を発揮し
AIや化学分析などが飛躍的に向上すると考えられています。

具体的にどんなことがおこるんでしょうか?
考えられているものを挙げていきます。

  • 金融、気象予測など現在のシステムでは困難な分野の精度があがることで予測が立てやすい
  • 医療、宇宙など未知の研究に成果がありより早くさまざまな実用化が可能になる
  • データ分析、AIなど交通量渋滞状況や生成AIの精度が大きく向上する

研究の成果によって世界が大きく変化することはありえます。
新しいハードウェアの可能性もありますが、正直現時点ではわかりません。

開発(ソフトウェア)への影響

スマートフォンのような社会に大きな影響を与えるハードウェアが出てくれば
影響は大きいですが、現時点ではアプリケーション開発で大きく意識することは想像できません。

ただし、
現在のシステム構築の考え方からアルゴリズムレベルで大きな変化はなさそうな感じはしますが、
処理できる容量が大きくなるので
大容量のデータの取り扱いを考慮した考え方は必要になると思われます。
CPUを有効活用するためシングルタスクではなくマルチタスクを意識した処理をするシステム構築が必要になると思います。

以上
次世代コンピュータの現状と開発への影響をまとめましたが
いずれにしましてもそう遠くない未来なので開発者も柔軟に対応できる必要があるのではないかと思います。