はじめに

こんにちは、DX開発事業部の矢原です。
この記事は、東京ビッグサイトで開催されている Google Cloud Next Tokyo 2025 のセッション聴講記事です。

セッション情報

スピーカー

  • 株式会社三越伊勢丹オンラインストアグループ マネージャー 今村 毅 様
  • Google Cloudカスタマー エンジニア 諏訪 悠紀 様

概要

三越伊勢丹が取り組む AI を活用した個客体験の進化について、Vertex AI Search for Commerce (VAIS:C) を用いたソリューションをご紹介。セッションでは、Googler から VAIS:C の特徴を、三越伊勢丹からは本番 EC サイトへの導入事例や CTR 向上などの定量的効果を交えて、小売業の顧客体験改善や VAIS:C 導入を検討する幅広い層に役立つ情報をお届けします

個客体験の進化

顧客ではなく個客。
マスから個人へ、1人1人の体験向上に向けて、6つのコンセプトを掲げています。

  • All in One
  • Story
  • Smart Shopping
  • One to One
  • Human Touch
  • Serendipity

6つのコンセプトを簡単にいうと、「便利で楽しく出会える」とお話しされていました。

実店舗(リアル)の商売で培った顧客と繋がる力を、ひと×デジタル・OMOを起爆剤として、時空を超えて拡張していくことを掲げています。

私自身、この講演を聞くまでOMOを知らなかったのですが、OMOとはOnline Merges with Offlineの略で、オンラインとオフラインを区別せずに顧客体験を向上させるマーケティング手法です。

実際の事例

三越伊勢丹では、毎年ランドセルフェスティバルを開催しているそうです。
オンラインとオフラインを区別しないOMO推進により、EC化率が2年前の30%から90%に向上したそうです。
このアップ率は想像を超えてきました。今回の事例以外の施策も気になります。

ランドセルのお渡しは年明けになるため、購入から受け取りまで約7ヶ月の期間が空いてしまいます。その間、お客様にオンラインストアを楽しんでもらい、顧客の離反を防ぐために、生成AIを活用した取り組みを行ったとのことです。

これまで、過去に検索したブランドやアイテムの商品がおすすめされ、新しい商品との出会い・予期せぬ出会いがないということが課題でした。

Vertex AI Search for Commerceの導入

Vertex AI Search for Commerceを導入し、探しているもの・予期せぬものに出会えるようになったそうです。
私だったら、おすすめにワインが出てきたら即購入してしまいそうです。(笑)

定量的な効果として、どれくらいのインパクトがあったのかも共有していただきました。

CTRはClick Through Rateの略で、表示された回数(インプレッション数)のうち、実際にクリックされた回数の割合を示す指標です。
一方で、CVRはConversion Rateの略称で、購入や問い合わせなど目標としている成果に至った割合のことです。

この成果だけでも素晴らしいですが、精度などまだ改善の余地があるとのことなので、今後のさらなる向上が期待されます。

最後に

百貨店で有名な三越伊勢丹のオンラインサイトの取り組みを聞くことができ楽しかったです。
これからは特にデータドリブンで、個人に刺さる体験を提供していくのがとても大切だなと感じました。
データをいかに貯めていくか、そしてそのデータをどう活かすか。

Vertex AI Search for Commerceは、顧客理解を深め、一人ひとりに最適な購買体験を提供する、今回の課題に対する最適なソリューションだと感じました。まさに、これからの時代にマッチしたサービスだと改めて実感しました。