この記事は、日経BPの許可により「日経ビジネス/日経クロステック Active(2025年8月)」に掲載された広告記事です。

アマゾン ウェブ サービス(AWS)プレミアティアサービスパートナーのアイレットは、6月25日、26日に幕張メッセで開催された「AWS Summit Japan 2025」に出展。25日にはAWS事業の責任者で同社の執行役員を務める平野健介氏が、「AWS製造業アワード受賞!AIとIoTで進化する製造の現場改革」と題した講演を行った。

生成AIにより社内ナレッジの共有と活用を促進

アイレットは、AWS黎明期の2010年からAWSパートナーとして顧客のAWS活用をサポートしてきた。クラウドのコンサルティングから設計・開発・構築、保守運用までをワンストップで提供する。顧客は大企業から中堅・中小企業まで幅広く、導入実績は2500社以上、年間プロジェクト数は4300超を誇り、豊富な経験を有している。2025年1月には、AWSが定める生成AIに関する高い技術力と豊富な実績を持つパートナーに与えられる「AWS生成AIコンピテンシー」の認定を国内で2社目として取得した。平野氏は、「当社は『AWSデータと分析コンピテンシー』にも認定されており、現在両方を持っているのは当社だけです※1」と、付け加えた。

「昨今、多くの企業が生成AIの活用を推進しています。その際に、『内製でチャレンジしたが、実際に生産性を向上させるようなレベルのシステムを開発するのは難しかった。そこで、専門家のサポートが欲しい』というご相談を多くいただきます」(平野氏)

本稿ではアイレットの豊富な事例から、生成AIの活用例を中心にいくつか事例を紹介していく。

最初に紹介するのは、IHIグループで真空熱処理炉などを提供するIHI機械システム社における社内ナレッジのDX化事例である。同社には過去の設計データや不具合報告書などの膨大な帳票類が存在していた。検索対象が「ファイル名」のため中身を見て確認するのに手間がかかり、ナレッジの共有や活用が難しかった。そこでアイレットが生成AIとAWSを活用した帳票検索システムを提案・構築した。

まず前段の処理として、手書きの帳票データをAIによりテキスト化する。それらを電子データと統合し、検索可能なデータとした。そのうえで、同社がクラウドストレージとして利用するBoxに保存。AWSとBoxを連携し、ファイルの保存を契機に、Amazon S3にファイルを移動、その際に手書きの帳票データは様々な種類のデータ処理が可能なAIによりテキスト化し、検索可能なデータにする。ユーザーがリクエストすると、機械学習を活用したエンタープライズ検索サービス「Amazon Kendra」でAmazon S3のデータから必要な文書を抽出できるようにした。

さらにAWSの生成AIサービス「Amazon Bedrock」を組み合わせ、検索した帳票からユーザーの問いに回答するRAG(検索拡張生成)※2を構築。これにより手書き文書だった情報を含め、過去の関連帳票を瞬時に検索することが可能になり、データの共有と活用を大幅に促進することができた。

■RAGチャットソリューション
ユーザーがチャットで問い合わせると、内容に合わせて社内帳票データを検索し該当する文書を抜粋。その文書の情報から生成AIが質問への回答を作成する

アイレットは、このような顧客課題を基に「生成AI RAGチャットソリューション」を提供している。「生成AI RAGチャットソリューション」では、年間60万円でお客様専用のAWS環境を提供する。オプションでセキュリティ強化などの追加開発も可能だ。「当社で調べた限り100名程度での利用において一般的なSaaSと比較して最安値でRAGソリューションをご提供できます」(平野氏)。既にSiNCE社に仕様書情報のRAGチャットボットを開発。また、医師向けの学会ガイドラインや厚生労働省の情報などのナレッジを回答するチャットボットなどを提供している。

※1 2025年5月時点
※2 大規模言語モデル(LLM)によるテキスト生成に、外部情報の検索を組み合わせることで、回答精度を向上させる技術

生成AIが誤った回答をする前提で最適な仕組みを提案

もう1つ、製造業でのユニークな生成AI活用例を紹介する。アイレットは、センサーデータをリアルタイムで収集しているロボットアームに関し、製品マニュアルを参照し回答を行うシステムを構築した。異常が発生した際に、RAGのナレッジとセンサーデータを照合し、問題を解析するシステムを開発。この事例がユニークなのは、異常発生時の問い合わせに音声を利用していることだ。AWSの音声認識機能を搭載した会話型インタフェース「Amazon Lex」を利用し、作業員が音声で問い合わせ、AIが音声で返答する。「現場では両手が塞がっていたり、手が汚れていたりして端末を操作できないケースがあります。そのような現場作業で威力を発揮します」(平野氏)

「AWS Summit Japan 2025」でのロボットアーム展示。ロボットアームが神経衰弱を行い、稼働状況をAWS IoT SiteWiseへ収集し可視化。生成AIとの音声によるやりとりで、エラー対応をする様子を紹介した

次の事例は、社内ユーザーに対する問い合わせ業務のDX化である。従来は人手で対応していたが、人手不足のため対応に数日かかっており、問い合わせ増加により担当者の負荷も高まっていた。そこで前述の「生成AI RAGチャットソリューション」と同様の構成でRAGを構築し、チャットボットで生成AIに問い合わせる。付加した機能は、問い合わせ履歴を担当者がチェックするためのダッシュボードを開発した点だ。生成AIの回答に間違いがあった場合、担当者がフォローできるようにした。

その結果、回答の約60%は正しい内容を生成AIが即時に返し、約10%は生成AIが誤った回答をしたため、担当者が質問者に連絡を入れて訂正した。残りの約30%はこれまでに学習していない内容に対する問い合わせのため、あえて生成AIでは無理に回答させないように設定し、担当者による問い合わせフローに誘導した。結果的に人手での応対が約40%となり、それ以外は即時に正しい回答が得られ、本番導入では大幅なコストダウンと回答のスピードアップが見込まれている。

問い合わせ業務としてもう1つ、36flip社の事例を紹介する。同事例では顧客からの問い合わせを社内で照会する際の検索に適用した。ここでも回答の根拠となるデータソースへのリンクを提示することで、回答の妥当性を判断できるようにした。「学習データへのフィードバックを適切に行えば生成AIの回答精度の向上が期待できます。ただし、新しい質問が来ればまた間違う可能性があるのでイタチごっこです。そのため、『生成AIは間違える』という前提で業務フローを考えることが重要です」(平野氏)

コンサルティングから開発、導入まで一貫してサポート

ここまで見てきたように、生成AIは様々な課題解決に有効だが、苦手な分野もある。例えば画像解析による特定の物体検出のような、AIの中でも機械学習が適した業務だ。アイレットはこの分野でもソリューションを提供可能だ。

その一例として、三菱マテリアル社の加工事業カンパニーにおける部品カウント業務のDX化を紹介する。同社では製品を製造する過程で、原材料の成形や様々な加工、検査が必要となるが、工程ごとに行う部品数のカウントを手作業に頼っており、生産性向上のボトルネックとなっていた。数え間違いが起こるうえ、細かいパーツを数える作業は担当者の精神的負担が大きいという課題もあった。そこでアイレットがAWSの機械学習サービス「Amazon SageMaker」などを活用し、独自のAIモデルを作成。写真を撮影するだけで部品を自動でカウントするシステムを提供した。

作業者はスマートフォンで撮影するだけなので導入が容易で、手作業がなくなり作業の省力化とミスを防止。新しい部品が導入されても、学習すればすぐに対応できる拡張性も顧客に評価されている。この事例では、「AWS Lambda」などのイベント駆動型サーバーレスコンピューティングサービスを活用したサーバーレス構成を採用。サーバーリソースを常時用意する必要がなくなり、利用頻度に応じたコストモデルとしたことで、低コストでの利用が可能となった。


AIによる画像解析の事例としては、他に大林組とKDDIスマートドローン社による空撮画像から工事の進捗状況を解析するシステムがある。あらかじめ工事縁石や側溝などのブロックを認識させ、ドローンで撮影することで進捗状況を解析した。「この事例は大規模なダムの建設工事で行ったもので、なかなか人の目では把握が困難です。人が把握しにくい大規模な工事や、危険な場所の確認に、ドローンとAIによる画像解析はとても有効です」(平野氏)

アイレットが手がける年間プロジェクト数は4300を超える。これだけの引き合いがある理由はどこにあるのだろうか。「当社の強みは、コンサルティングから開発、導入まで一貫してお客様に寄り添う姿勢にあります。AWS黎明期からの深い専門知識を生かして、約1200人のエンジニアが高品質なサービスを提供します。また、KDDIグループとしての安定した経営基盤とベンチャー企業としての機動性を兼ね備えていることも特徴です。大規模案件に対応しつつも、スピード感と柔軟な対応力でお客様の期待に応えられます」(平野氏)

アイレットは2025年6月、AWSと生成AIの活用加速に向けた戦略的協業契約を締結した。これまで紹介した「生成AI RAGチャットソリューション」や「AI画像解析ソリューション」など4つのソリューションを進化させていく。さらに専門人材の育成と拡充、情報発信およびマーケティング施策の強化も進め、親会社であるKDDI社とも連携し、企業の生成AI導入を強力に推進していく。

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事例

導入事例 IHI機械システム
導入事例 三菱マテリアル