こんにちは。cloudpack広報の増田です。
『IoTpack』の発表以降、同サービスを引っさげてIoT Japan(ITpro EXPO)、CEATEC Japanの2つのイベントに出展しました。IoT/M2M展(Japan IT Week)では出展こそしませんでしたが、IoTpackの資料を持って、関係しそうなブースをひとしきり周りながら得られた「気づき」をまとめたいと思います。
『IoTpack』とはなんぞや
IoT(Internet of Things)は、よく「モノのインターネット」って表現されています。
「モノのインターネット」って直訳すぎてよくわからんと、腑に落ちていない人が案外多いので、「あらゆるモノがインターネットにつながって、世の中がさらに便利になること」という文脈で理解することをお勧めしています。
cloudpackが提供する『IoTpack』の特長を簡潔に整理すると
- AWSクラウドで、IoT/M2M専用の閉域網を提供
- IoT/M2M機器とインターネットを経由せずに通信が可能
- SORACOM Airを挿したIoT/M2Mデバイスが閉域網の接続対象
- AWSのデータベースや分析ツールとの接続がセキュアかつ容易に
IoTの「I」はインターネットであるのにもかかわらず、『IoTpack』の環境はインターネットを経由しないでデバイスとの通信ができる、というのが特長になっています。
IoT/M2M機器が閉域網につながるメリット
IoT/M2M機器には取り付けられた各種センサーから得られる値を収集した後に、何かしらの制御信号を受けとるタイプのものがあります。これら機器への通信にインターネットを経由する場合、通信内容を暗号化する必要があったり、VPNを使ったりと、ひと手間ふた手間かかるわけですが、『IoTpack』なら、そうした手間がまるっと省けてしまうというメリットがあります。何と言っても「閉域網」ですから。
イメージするなら「どこかで稼働しているIoT/M2M機器がイントラネット上に置いてある」といったところでしょうか。IoT向けの閉域網のメリットは、以下のようになります。
- セキュアにIoT/M2M機器との通信を実現
- 暗号化やVPN網などへの投資が不要に
- センシングデータをシンプルな経路でセキュアにクラウドに保管
- 機器のログデータを収集・保管・分析する環境が安価に入手可能
- 従来の閉域網よりも低コストでスピーディに構築可能
一方で、『IoTpack』のニーズは、IoT/M2M機器との通信を、つまりセンシングしたデータをどのようなセキュリティレベルで扱いたいか、によって変わるのだろうと考えています。
例えば、ある空間の温度センサーが取得している気温データは、特にセキュアなネットワークでやりとりできなくてもいいかもしれませんが、医療現場で収集したバイタルデータなどはセキュアな閉域網の中で、かなりシビアに扱う必要があるはずです。後者のケースでは『IoTpack』がお役に立てると考えています。
AWSで動く『SORACOM Air』
『IoTpack』に欠かすことのできない『SORACOM Air』については、あちらこちらで話題になっているのと、もっと上手な解説がたくさんあるので他にお任せします(笑)
SORACOM Airが画期的なのは、IoT/M2M機器向けに低速&低料金プランが用意されていることですが、さらにもうひとつ。基地局こそ既存キャリアのシステムを流用しますが、それ以外はすべてAWS上に実装されたソフトウェアによって実装されているということ。実はこの「SORACOMがAWS上に実装されている」ことこそがネットワーク経路の柔軟性を高め、「AWSクラウドで閉域網をつくる」ことに福音をもたらしたのです。
『IoTpack』では、SORACOMのAWS環境とcloudpack(またはお客様)のAWS環境を、AWS内でピアリングします。SORACOM AirとAWSクラウドにあるストレージやデータベースなど、あれやこれやがインターネットを経由せずに閉域網の中でつなげることが可能になります。つまりSORACOM AirとIoTpackの組み合わせなら、IoT/M2M機器から発信されるセンシングデータを、そのままAWS上のデータベースや分析基盤にブチ込めることになります。しかもクラウドならではの「スケーラビリティ」も!
展示会で寄せられた『IoTpack』の活用案
いまIoTワールドがアイデアに溢れているせいか、展示ブースで『IoTpack』の説明をしていると、その反応の中でさまざまなアイデアを得ることができました。私が「面白いなー」と思った用途をいくつかご紹介します。
リテールで使うタブレット
在庫確認等に使うタブレットを店舗に配るにあたり、これまで各店舗にWi-Fiを始めとするネットワークを通したり、VPNを設定したりと結構なコストをかけていたそうです。SORACOM Airを使うことで店舗ごとにネットワークを引くよりも安い価格でネットへの接続が手に入り、『IoTpack』を使えば、そのまま社内システムにつなげられるのでこれはイイ!という声を聞くことができました。社内システムがAWS上にあったら、もう完全無欠な組み合わせかもしれません(この機会にAWSに移してしまえばいいとも言えます)。
車載センサーからのデータ収集&データマイニング
自動車にはさまざまなセンサーが組み込まれていて、もはやセンサーが走っているといっても過言ではありません。『IoTpack』は、そうした車載センサーの情報を安全に集めるのに役立ちそうとのことです。クルマに搭載するSORACOM Airをゲートウェイにして、走行中に得られるさまざまなセンシングデータをMVNO網を通じてAWS上に保管し、ダッシュボードアプリで見える化したり、ログを時系列データマイニングなどが安全な環境で行えると仰っていました。自動運転技術の進歩に、車載センサーによるビッグデータ分析は欠かせません。まさにSORACOM Airによるモバイル性と『IoTpack』による閉域網が、そうした分野に役立つインフラになるだろうとのことでした。
全国の工場の機械をリアルタイム監視
製造の現場にはさまざまな工作機械や機器が置かれています。これら工作機械や機器のログを集めて、稼働状況や機器の健康状態などを本社で管理することはこれまでもやってきましたが、ネットワークを施設内に張りめぐらせるコストが結構大きいのだそうです。SORACOM Airと『IoTpack』で、安価に機器からのデータ通信が始められる上に、ログデータを蓄積するための仕組みをクラウドに用意できる、しかも将来的にスケール可能な状態で!
野外イベントで活用できるかも
SORACOM AirのSIMは1枚単価が安価な上に、管理画面からのON/OFFが自由自在なこともあり、短期間に開催される野外イベントだけで使うSIMとして、来場者にバラまいて使うことも可能です。来場者の行動管理や、他のエンターテインメントな仕掛けとあわせて、興行に欠かせないマーケティングデータの収集なども容易になるのでは?と語っている方と出会いました。広告代理店の企画をされている方だったかな。SORACOM Airを使えば、野外ライブのような郊外のイベント会場に、いちいちネットワーク回線を用意する必要がありませんし、収集した情報はそのままクラウドに安全な状態で保管されるので安心だ、と仰っていまいた。
『IoTpack』のPoCをご提供しています
『IoT』と『クラウド』と『ビッグデータ』は相性が良いと言われています。『IoT』というのは、もともと機器が持つ情報を活用するための手段であり、目的に応じて情報を加工しやすい状態で保管したり、分析して効率化に役立てたりするためのものだからなのでしょう。
『IoTpack』は、それらの相性の良さをいいとこ取りした上で、誰もが必須と答える「セキュリティ」という要素にひとつの解をもたらすものだとcloudpackは考えています。その可能性たるや、単なる「クラウド閉域網」の話しではないよなー(遠い目)と手前味噌に思うわけです。cloudpackの広報としては、いろいろな可能性を一緒に考えながら、皆さんのIoT事業のスケールアップに貢献していきたいです。
最後に『IoTpack』を試してみたいという方に朗報です。
cloudpackでは、『IoTpack』のPoCを提供しております。SORACOM AirとAWSクラウドによる閉域網を試したい!という、デバイスメーカー様やセンサーメーカー様がいらっしゃいましたら一緒に検証しましょう。2015年12月末までに検証が開始できると「お得な」何かがあるみたいですよ。お気軽にcloudpackまでお問い合わせくださいね。