2025年10月30日(木)〜31(金)に開催された「AI Agent Summit ’25 Fall」に現地参加してきましたので、会場の雰囲気やセッションについて紹介します。

オフライン会場は、春に開催された「AI Agent Summit ’25 Spring」と同じ会場のベルサール渋谷ガーデンで開催されていました。

アイレットは、今回もスポンサーとしてブースを出展し AIエージェントを活用したデモを展示しました。
また、パートナーセッションには、DX開発事業部の西田が登壇し、AIエージェント活用のポイントやAgent Development Kitを活用した第一興商様の事例を紹介しました!

AI Agent Summit ’25 Fall
Day1:2025 年 10 月 30 日(木)
Day2:2025 年 10 月 31 日(金)
ハイブリッド(ベルサール渋谷ガーデン / オンライン配信)
詳細はこちら:AI Agent Summit ’25 Fall

会場の様子

会場は、ベルサール渋谷ガーデンの1FとB1Fの2フロアを利用して開催されていました。1Fには受付とセッション会場が1つ、B1Fにはスポンサーの展示エリアとセッション会場が3つあり、4つの会場のセッションは同じ時間帯でプログラムが組まれていました。また、セッション間の休憩時間には、多くの人がスポンサーのブースを訪れたり移動したり、多くの人で賑わっていて、AIエージェントや生成AIへの注目度の高さをあらためて感じました!参加者している人もスーツの方やカジュアルな服装の方など、様々で企業の担当者だけでなくエンジニアやマーケターなど、さまざまな職種の方が参加されていたのかなと思いました。

セッション概要

アイレット DX開発事業部の西田による「第一興商様のカラオケ楽曲情報収集を自動化!AI エージェント開発で実現する業務効率化」についてのセッションレポートです。
第一興商様のカラオケ楽曲情報収集を自動化!AI エージェント開発で実現する業務効率化

AI エージェントはルーティンワークや従来の RPA ではできなかったような業務を自動化、効率化することを可能にします。優れた AI エージェントを開発するためには、技術選定と業務への深い理解が必要です。アイレットと第一興商様は Agent Development Kit を活用し、カラオケ楽曲情報収集の自動化を実現。時間と労力がかかっていた業務を、AI エージェントを活用することにより、いかに効率化を成し遂げたかをご紹介します。

AIエージェント登場の背景

2022年末のLLM普及は、ChatGPTなどのチャットUIで広範なユーザーに受け入れられました。しかし、「ハルシネーション」や「知識の限界」という課題がありました。2023年末に登場したRAGは、外部知識の参照で精度を高めましたが、複雑なタスクや情報源の増加で限界が見え始めます。そこで、これらの課題、特に複数ステップのタスクや外部連携を自律的な判断と行動で解決するため、2024年末にAIエージェントが注目を集め、現在は実践的な開発・運用・連携の段階に入っています。

AIエージェントへの期待

LLMの導入が急速に進み、LLMが普及するにつれて、LLMに求めるタスクが複雑化してきた。それらを解決するために、AIエージェントという新しいコンセプトが登場し、期待を集めだした、という流れとなっています。

Agent Development Kit:AI エージェント開発特化 SDK

Googleが、2025年4月に発表したAgent Development Kit(ADK)は、AIエージェント開発・運用を強力に支援してくれます。

  • 開発・導入の柔軟性:OSSでソース公開されていて、幅広い実行環境に対応し、既存ワークロードへの導入が容易です。
  • 拡張性・統合:マルチエージェント構成やA2Aプロトコルをサポートしていて、Gemini以外のモデルやOpenAPIとの連携も簡単です。
  • 運用・評価:ステップ単位のテストフレームワークで品質を担保し、セッション・メモリ管理で高度なタスクも安定実行、アーティファクト機能で大きな成果物生成も可能です。

AIエージェントで業務を効率化するためには

AIエージェントによる業務効率化には、まず従来のシステム導入と同様に、業務の深い理解と分析が不可欠です。どの実行環境で動かし、どの情報にアクセスし、タスクをどのように遂行させるか、詳細な設計と最適化を行うことで、効果的で業務に貢献するエージェントの導入が可能になります。

第一興商様が抱えていた課題

LIVE DAM WAO!の新型デンモク「SmartDAM WAO!」は、キーワード・タグ検索に対応していて、日々大量に供給される新曲に対応するため、検索用のメタデータ付与が大きな課題だったようです。アーティストの愛称、年代、タイアップなどの関連情報を、外部データ収集、人の目によるファクトチェックやダブルチェックを通じて充実させる必要があり、これが外注費や人件費の増大を招いていたため、このメタデータ付与の自動化・効率化が今回のテーマでした。

課題を解決した AI エージェントの活用

ADKを用いた楽曲情報収集の鍵は、業務の分析とタスクの分割だったため、LLMの精度維持のため、マルチエージェント構成を採用したとのことです。

  • ルートエージェント:問い合わせ(曲名/歌手名など)を受け、Gemini 2.5 Flashで全体を統括
  • 楽曲情報収集サブエージェント:Gemini 2.5 Flash LiteでGoogle検索し、情報を収集
  • 情報深堀りサブエージェント:追加の観点から再検索(思考プロセスON)
  • データベース照会サブエージェント:Vertex AI SearchでDAM DBと突き合わせ
    これらの連携で情報を収集し、所定フォーマットで出力。タスクを分割することで安定した高精度なアウトプットを実現しているようです。

AIエージェント導入で得られた効果

AIエージェントの導入によって、曲名や歌手名を入力するだけで、情報調査・精査、配信楽曲との突き合わせ、TSVデータ提示まで全自動化ができました。作業工数が大幅に削減され、調査データの品質のムラがなくなり、コスト削減とコア業務への時間増加を両立できたようです!

事例からわかること

Google Cloudは、AIエージェント構築に最適なプラットフォームです。業務を高解像度で分析し、シナリオ化、適切なマルチエージェントとツールに分割することが重要です。まずは小さく試すチャレンジが可能性を広げ、社内外の情報へのアクセス性の高さがエージェントの能力を広げるため、AIにアクセスさせるための情報整備も必要不可欠との事です。

第一興商様の生成AI活用事例

第一興商様については、これまで継続して生成AIを活用した業務効率化を行っており、アイレットが支援をしています。
これまでの事例については、下記の事例紹介をご覧ください。

生成 AI の活用で DX 促進!Google Cloud と Gemini で人的リソースのかかる集計業務を大幅改善

生成 AI で DX を加速!Gemini 2.0 Flash で顧客体験向上と業務効率化を実現する開発および内製化支援

まとめ

AIエージェントはとても画期的で便利な機能ですが、そもそも、AIエージェントって何?どんなことができるの?どう使うの?など、お悩みの方も多いと思います。今回のイベントでは、そんなお悩みの解決の糸口になるようなポイントや事例が多く紹介されていました。
私自身もAIエージェントをまだまだ活用しきれていませんが、今回のイベントで得た知見やナレッジを日頃の業務や案件に活用して効率化をしていきたいと思います。

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アイレットでは、生成AIを活用したDX推進で、生成AIチャットボットの開発はもちろん、AIエージェントの導入支援から開発までお客様の課題解決のための伴走支援を行っています。ご予算や生成AIで実現したいことに併せて、「試す」から「使う」までお客様のチャレンジを実現できるプランをご用意しています。DX推進や、生成AIの導入や活用にお困りの方は、ぜひ、お気軽にご相談ください。

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