本記事は Google Cloud AI Agent Summit ’25 Spring で行われたセッション「Agent Builder ではじめる AI エージェント開発徹底入門」のレポートです。

セッション情報

Vertex AI Search で実現する Google 品質のコンシューマ向け検索サービス
スピーカー:Google Cloud 諏訪 悠紀 様 , 遠山 雄二 様
生成 AI のユースケースとして、社内外のデータに対する検索ソリューションへの注目が高まっています。本セッションでは Vertex AI Search を用いてどのようにコンシューマー向けの検索サービスを効果的に構築できるのか、代表的な機能を中心にご紹介します。

コンシューマー向け検索における考慮点

Google はこれまで、「検索」を中心にさまざまなサービスを展開してきました。
昨今では、多様なユースケースが生まれ、特にコンシューマ向けの検索サービスに求められる技術も進化しているそうです。

そんな中、検索サービスの実現には以下の3つの要素が特に重要だそうです:

  1. ユーザーのクエリを正しく理解する
    • クエリの意味を的確に解釈し、必要に応じて補完する技術が求められる。
  2. ユーザーの期待に合った検索結果を提供する
    • キーワード検索とセマンティック検索のバランスが重要。
    • リランキングやフィルタリングを活用し、最適な結果を提供する。
  3. 高速なレスポンスを実現するインフラ
    • 検索のレイテンシを抑えつつ、ユーザーの満足度を維持するための最適化が不可欠。

しかし、これらの課題を解決した検索サービスをゼロから構築するのは難しい…。
そこで、Vertex AI Search が活用できるというわけです。

Vertex AI Search とは?

Google 品質の検索機能を提供するマネージドサービスで、開発者が検索機能を簡単に実装できるように設計されています。

Vertex AI Search の4つの特徴

このセッションでは Vertex AI Search の4つの特徴を個々に説明されていたので、1つずつ以下に記載していきます。

 

1.シンプルに RAG を実現可能

  • データの準備(取得・パース・チャンク処理)、保存先の選定、実行環境の管理など、多くの考慮事項がある。
  • Vertex AI Search を使えば、検索対象のデータを用意し、API リクエストを送るだけで実装可能
  • ステップが多すぎてボトルネックが分かりにくい問題も、マネージドサービスなら解決できる。

2.多様なデータソースをサポート

  • 複数のデータベースを組み合わせ、独自の検索データベースを構築可能。
  • 様々な形式のデータを一元的に扱える柔軟性が強み。

3.柔軟な出力制御

  • 出力フォーマットを自由に変更できるため、利用シーンに応じた最適な形で結果を取得できる。
  • 要約機能は Gemini2.0 との統合により、要約言語の指定も可能。
  • フィルタリング、ソート、ブースト機能で、条件に応じた最適なドキュメントを優先的に表示可能

4.利用状況の分析/可視化

  • ユーザーの検索行動を可視化し、検索結果のチューニングや改善に活用可能。
  • リリース後の利用状況をリアルタイムで分析できる。

これらの機能を用いることで、ユーザーのクエリに対して適切な回答を用意することが簡単に行えるのが Vertex AI Search の特徴とのことでした。

Vertex AI Search for commerce

また、Google の検索品質を活用した商品検索向けサービスである Vertex AI Search for commerce の紹介もありました。

Vertex AI Search と同様に、以下に4つの特徴を記していきます。

Vertex AI Search for commerce の4つの特徴

1.セマンティック検索による意味理解

  • 「明るい色のワイシャツ」と検索した際に、「白いシャツ」と意味的に関連すると判断し、商品を適切に検索する。
  • 意味検索を活用し、従来のキーワード検索の課題を解決。

2.パーソナライズで欲しいを実現!

  • ユーザーごとに異なる検索結果を提供し、最適な商品をレコメンド。
  • 過去の検索履歴やクリック情報を学習し、よりパーソナライズされた結果を返す。

3.フルマネージドで運用コストを大幅カット

  • インフラの管理が不要で、開発者は検索ロジックやUXの最適化に集中できる。
  • 高品質な検索を低コストで提供可能。

4.新しい検索体験の提供

  • AI が接客対応をするかのような会話型の検索も実現

最後に

Vertex AI Search を活用することで、検索システムの開発コストを大幅に削減できる点が魅力的でした。
特に、クエリの理解・リランキング・レイテンシ対策といった検索技術の基礎を押さえつつ、マネージド環境で手軽に実装できるのは大きな強みですね。
私もVertex AI Searchを活用する機会は多いので、これを機に理解を深めることができました。