概要
2025年3月13日に開催されたAI Agent Summit ’25 Springに参加してきましたので、会場の雰囲気のご紹介やセッションレポートを記載していきたいと思います。
会場
会場は渋谷のベルサール渋谷ガーデンとオンラインのハイブリッドで行われています。
私はオフラインで参加してきました!
また弊社は本イベントのスポンサーとブース出展も行っています。
基調講演
基調講演では、AI エージェント、生成 AI でビジネスを革新 〜 Gemini と Google Cloud が導く成功への道筋 というタイトルで、はじめにGoogle Cloudの寳野 雄太さんよりセッションが行われました。
会場で配布されていた生成AI事例ハンドブックによると、すでにGoogle Cloudをご利用中のお客様で62社の事例が公開されているとのことです。
次に生成AIのキャズム(溝)を超える3つのヒントとして、以下を挙げ基調講演はこれの3つの軸に解説が行われました。
- AIモデルの進化
- AIエージェント
- Data & AI
AIモデルの進化
はじめにAIモデルの進化という内容でGeminiの紹介が行われました。
Gemini 2.0ではマルチモーダル、リアルタイム、ロングコンテキストの特徴を持ち用途に応じた、以下の4つのモデルファミリーが公開されています。
- Pro:一番性能が良く最大200万トークン(インプット)に対応可能
- Flash:Proと謙遜無い回答を行うことができ、処理速度が早い
- thinking:推論能力が強化され、段階的な思考によりパフォーマンを向上させる
- Flash Lite:回答性能は落ちるが、Flashよりも軽量でより処理速度が早い
続いて、Google Cloudの鈴木かの子さんによる、Gemini 2.0 による飲食店のキッチンの効率化のデモが行われました。
このデモでは以下の課題があるキッチンにおいて、Gemini 2.0 を用いるとどのように課題解決を行えるのかが解説されました。
Geminiにキッチンで調理している動画をインプットし、レポートを作成させます。
すると調理方法や使用した食材、調理器具の在庫状況などを多言語対応のレポートとして作成してくれました。
このような活用方法により、属人化している調理時間や調理方法のベストプラクティスを導き出し、他店舗に展開するなどの活用もできるとのことです。DXによる現場の課題を解決する素晴らしい例ですね!
AIエージェント
次にAIエージェントという内容でAgentspaceなどの説明が行われました。
ここではデモとして、Kaggle上にGooglerが書いたAgentの英語のレポートがあり、これをNotebook LMにアップロードして内容を要約し、日本語で回答するという内容で解説されていました。
要約された結果をチャットで都度質問でき、またその要約を行う際に参照した内容を左側で閲覧することも可能とのことです。
次にAIエージェント自体の解説が行われました。LLMの単発実行ですと、これまでは部分的なタスクを実行して終わりでしたが、AIエージェントにより目的を達成するまでLLM自体が繰り返し自律的に思考することで、より複雑なタスクをこなせるようになります。
次にこのAIエージェントを組み込んだ、複数のデータソースを横断して検索や処理を行えるGoogle Cloudのサービスである、Google Agentspaceが紹介されました。
Agentspaceはまず認証基盤に接続し、そこで利用者のユーザー情報と割り当てられている権限を取得します。
次にその権限を元にインターネット上の情報、会社の独自の情報など複数データソースやSlack、JIRAなどの外部サービスなどを横断して検索し、Agentspace上で自然言語による指示でGmailでメールを送信などのアクションを行うことができます。
またAgentspaceにはDeepResearch機能が組み込まれているため、これが複雑な手順を理解したうえで複数データソースの横断検索を可能にしているとのことです。
また、Agentspace上で提供されるAIエージェントは、お客様単位でカスタマイズ可能とのこと。
最後に近日中に日本語サポートを提供予定とのアップデートがありました。
AIエージェントを活用した事例
次にAIエージェントを活用したユーザー企業の事例として、日本電気の中田さんよりBlueSterllerと呼ばれるエンタープライズサーチのご紹介がありました。
これはAgentspaceを活用した社内データソースの検索ツールで、従来はオンプレミスによるキーワード検索や、クラウドによる機械学習で試行錯誤されていたとのことですが、あまりうまく検索できなかったとのこと。
そこでAgentspaceを導入することにより精度が向上し、社内の利用者も65%が改善を実感したとのことでした。
また面白い点として、cotomiという独自開発のLLMとAgentspaceを組み合わせているとのことでした。
Data & AI
最後にData & AIのセクションでダストリアの梅田さんより、ファッション業界における生成AI活用事例が紹介されました。
キーワード検索のパーソナライズ化に取り組まれたとのことで、従来は誰が検索しても服の色などが同じ結果となっていましたが、Vertex AI Search for Retailを活用することで、利用者ごとのの購買情報などを学習してパーソナライズすることで、その利用者ごとに検索結果をパーソナライズすることが可能になったとのことです。
これによりページの遷移率と購買率も向上したとのこと。
また購入後のレビュー機能もありますが、基本的に購入された利用者はポジティブな意見が多くなるので、購入に至らなかったユーザーの意見を取り入れ解析する仕組みも導入されたとのことです。
具体的には店舗でお客様と店員が会話をし購入されなかった際の一連の会話を店員さんが代理で音声登録し、そのデータをGeminiで解析し本部へ連携した後に商品開発に活かし売上向上につながったとのことです。これは現場の課題を極力負担のない形でDXで解決するとてもいい事例だと思いました!
続いて同じくData & AIのユーザー企業事例として、株式会社博報堂DYメディアパートナーズ 兼 株式会社博報堂テクノロジーズの篠田さんより広告における生成AI活用事例が紹介されました。
この事例ではデジタル広告プランやメディアプランの企画書をエージェントを用いて、企画案から実際のスライドまで段階的に作成しているとのことでした。
その際にチャットで細かく指示することも、ざっくり指示を与えてエージェントに自律的に思考させることも可能とのことです。
この機能を社内にデモ提供しているとのことでした。
感想
本イベントは以前は「Generative AI Summit」というイベント名でしたが、今回から「AI Agent Summit」へ変更されています。
この背景からもわかるように、LLMが普及し始めたと同時にそれに伴う課題もできました。
それを解決するAIエージェントの活用が以下に重要かを今回の「AI Agent Summit ’25 Spring」を通して再確認することができました。
またAIエージェンにおいてもLLMの性能は重要なため、 Gemini 2.0 の進化も引き続き行われていました。より低料金で性能が上がっていくのはユーザーとしても嬉しい限りですね。
あわせて、 AI エージェントの最新活用事例 が紹介され、ビジネスへの応用可能性が広がっていることを実感しました。今後も AI 技術の発展に注目し、実際の業務に活かしていきたいと思います。