皆様、こんにちは。
DX開発事業部 クロスイノベーションセクション スマホグループの楊林です。
前回の投稿では、予測型プロジェクトの知識エリアとプロセス群に基づいて、プロジェクト・マネジメント・プロセスについてご紹介しました。
前の紹介で予測方のプロジェクトの進み方について、大凡の認識ができたと思います。
今回からは、予測型プロジェクトをマネジメントする上で、実践的に役立つPMBOKの手法を紹介していきます。
そして最初の一歩はプロジェクト憲章の作成です。
執筆者が「始まりが重要」と考える理由
PMP関連の実践手法を紹介するなら、「見積作成」「スケジュール調整」「リスク対応」などの具体的な方法から始めるべきだと思う方もいるでしょう。
しかし本シリーズでは、あえてプロジェクト憲章を「すべての始まり」と位置づけました。なぜ、プロジェクト憲章がそこまで重要なのでしょうか。
以前のプロジェクトのライフサイクルに関する投稿で述べたように、プロジェクトは時間の経過とともにリスクが減少する一方で、変更コストが増加するという特徴があります。
つまり、プロジェクトの初期段階こそ、リスクを予測し、最小のコストで有効な変更を行い、全体の成功率を高めるための最も重要な時期です。
特にエンジニア出身のプロジェクトマネジャーは、設計や実装に意識が偏り、「最初は大体で大丈夫」と軽視しがちな傾向もありますね。
その結果、「顧客の要望と違っていた」「仕様が途中でぶれる」といった問題に直面した経験がある方も多いでしょう。
これは、立ち上げ段階でプロジェクト定義を徹底していないことが原因です。
プロジェクトの進行をレールの上を走る列車にたとえると、認識のずれはレールの分岐点のようなものです。
誤った分岐点に早い段階で進んでしまうほど、終点は目的地から大きくずれてしまいます。

このため、私は最初のプロジェクト・マネジメント・プロセスである「プロジェクト憲章の作成」こそが、すべての始まりだと考えています。
中国には「萬事開頭難(何事も始まりが難しい)」ということわざがありますが、まさにこの考えを表しています。
では、そもそもプロジェクト憲章とは何か?ここでPMBOKの定義に戻ってみましょう。
プロジェクト憲章の内容
プロジェクト憲章とは、プロジェクトの存在を正式に認可する文書です。
プロジェクト憲章の作成はプロジェクト・マネジメント・プロセスの一つであり、プロセス群では「立ち上げ」、知識エリアでは「統合マネジメント」に分類されます。
一般的に、プロジェクト憲章には次の内容が含まれます。
- プロジェクトの目的
- 測定可能なプロジェクト目標および関連する成功基準
- 上位レベルの要求事項
- 上位レベルの概要、境界、主要成果物
- プロジェクト全体のリスク
- 要約マイルストーン・スケジュール
- 承認されたプロジェクトの財源
- 主要ステークホルダー一覧
- プロジェクト終了の基準
- プロジェクト・マネジャーの責任と権限
- プロジェクト・スポンサー一覧
プロジェクト憲章の発行
プロジェクト憲章は通常プロジェクト・スポンサーまたはガバナンス運営委員会によって発行されます。
この憲章により、プロジェクトマネジャーは組織のリソースをプロジェクト活動に使用する権限を正式に得ます。
ガバナンス運営委員会とは、プロジェクトの立ち上げ・計画段階でプロジェクトを統括する組織体です、「プロジェクト委員会」とも呼ばれます。
通常、プロジェクトスポンサー、シニアユーザー、PMO、当該分野の専門家などで構成され、プロジェクトの承認や、資源の配分もその責任範囲に含まれます。
最後に
プロジェクト憲章はプロジェクトの基盤であり、各種プロジェクトマネジメント計画書の根拠となる重要な文書です。
たとえ最終的に文書化しない場合でも、プロジェクト開始時点で憲章の内容に相当する全体像を把握しておくことが、プロジェクトマネジャーの責務だと考えます。
本記事では、プロジェクトの重要性、主要内容と発行方法について紹介しました。
次回ではまたここから延長して、プロジェクト憲章の作成に必要なビジネス文章や、作成手法について解読していきましょう。
プロジェクトマネジャーを目指す方、またはPMP資格取得を検討している方にとって、本記事が少しでも参考になれば幸いです。