はじめに

「業務で気をつけていることはなんですか?」 そう後輩に聞かれたとき、皆さんはすぐに答えられますか?

これから新しく後輩が入ってくる時期ですが、私の感覚では、配属当初の方から出てくる悩みの 8割方は「ビジネススキル」 に集約されると思っています。 技術的な悩み(コードの書き方やツールの使い方)とは違い、ビジネススキルには明確な正解がないため、「こういう時、どう動くのが正解なんだろう?」と迷う場面が多いからです。

この記事は、私が業務の中で「これをやっておくと仕事がスムーズに進むな」と実感しているポイントをまとめたものです。 決して「こうしなければならない」という絶対のルールではありませんが、仕事の進め方に迷った時の「地図」として使ってもらえれば嬉しいです。


1. 「報・連・相」は聞かれる前に出す

報告・連絡・相談。耳にタコができるほど聞いている言葉だと思いますが、私はこれを「上司や先輩から聞かれる前に行う」ことを鉄則にしています。

  • 報告: 進捗や結果を伝える
  • 連絡: 関係者に情報を共有する
  • 相談: 不明点やトラブルの助言を求める

なぜ「自分から」なのか。理由はシンプルで、上司や先輩の時間を節約し、安心させるためです。

あくまで個人的な見解ですが、上司から「あの件、進捗どうですか?」と連絡が来る時、その裏には「報告がないけど大丈夫かな?(遅れてないかな?)」という心配が隠れています。 聞かれる前に自分から出す。これだけで「この人は任せても大丈夫だ」と一目置かれるようになります。

2. ボールを止めない(即レスの習慣)

チャットやメールの返信、「後で返そう」と思って放置していませんか? 私は、「即レス」を心がけています。

もちろん、作業に集中しているやMTGに参加している時は別ですが、基本的には「確認します」の一言だけでも即座に返します。 相手にとって一番のストレスは「伝わっているかどうかわからない時間」です。 「あなたのメッセージを受け取りましたよ」とリアクションするだけで、相手との信頼関係は積み上がっていきます。

3. 「読みたくなる」文章構造を作る

リモートワークやチャット文化において、文章力は最大の武器です。 ここで言う文章力とは、小説のような表現力ではなく、「一目で内容が入ってくる構造」のことです。

以下の2つを見比べてみてください。どちらを「読もう」と思いますか?

【悪い例】

お疲れ様です。〇〇の件ですが、進捗として画面の実装は終わりましたがテストでエラーが出ており原因を調査中でして、おそらくライブラリのバージョンが古いことが原因だと思うのですが確証がないため▲▲さんに相談しようと思っており、午後のMTGまでには報告できると思います。

【良い例】

お疲れ様です。〇〇の件、進捗のご報告です。

▼ 現状

  • 画面実装:完了
  • テスト:エラー発生中(原因調査中)

▼ 今後のアクション ライブラリのバージョン起因の可能性があるため、▲▲さんに相談の上、午後のMTGまでに詳細を報告します。

後者のほうが圧倒的に分かりやすいですよね。もちろん私もまだまだですが、意識しているのは以下の2点です。

  1. Markdown形式を活用する SlackなどのツールはMarkdownに対応しています。箇条書きや太字を使い、視覚的にメリハリをつけましょう。
  2. 意味のまとまりで改行する 「挨拶」「概要」「詳細」など、セクションごとに1行空けるだけで、文章の構造がクリアになります。

4. 「5分で終わるタスク」は秒でやる

ちょっとしたアンケート回答や、日程調整の返信。「5分くらいで終わるから、後回しにしよう」となっていませんか? こうした細かいタスクこそ、私はその場で消化するようにしています。

理由は、脳のメモリ(リソース)を解放するためです。 5分で終わる雑務も、重たい実装タスクも、脳内では同じ「やらなければいけないこと」としてリソースを消費します。 小さなタスクを積み残すと、無意識のうちに「あれもやらなきゃ」というノイズになり、メインの業務への集中力を削いでしまいます。

5. 自分が「理解できる」まで質問する

例えば、「一覧表示機能について設計を進めてください」とだけ指示されたら、どう動きますか? ドキュメントを読み漁るのも大事ですが、一番危険なのは「分かったつもりで進めること」です。

  • 「このタスクのゴール(完了条件)は何か?」
  • 「この案件特有の進め方のルールはあるか?」
  • 「いつまでに、どのレベルの品質が必要か?」

これらが腹落ちするまで、私はしつこいくらい質問します。 理解が曖昧なまま進めて、後から「思っていたのと違う」となって手戻りが発生するのが、自分にとってもチームにとっても一番の痛手だからです。

6. リモート時代の「声」は、大きく、ハキハキと

「大きな声で挨拶しよう」。まるで小学生の目標のようですが、実はこれ、リモートワークにおいて重要なビジネススキルです。

理由は2つあります。

  1. 「自信」を演出できるから ボソボソと喋る人は、それだけで「自信がなさそう」「頼りなさそう」に見えてしまいます。逆に、ハキハキと通る声で話すだけで、内容は同じでも「この人は堂々としている」というポジティブな印象を与えられます。
  2. 情報伝達のロスを減らせるから オンライン会議では、対面よりも表情や空気感が伝わりづらく、「音声」が情報のほぼ全てになります。唯一の情報源が聞き取りにくいと、相手にストレスを与えるだけでなく、自分の評価を下げることにも繋がりかねません。

▼ すぐできるアクション

  • 普段より「声のトーン」を少しだけ上げてみる
  • PC内蔵マイクではなく、外付けマイクやヘッドセットを使って「音質」に課金する(数千円で印象が劇的に変わります!)

7. 反射的な「承知しました」を禁止する

上司や先輩から指示を受けた時、とりあえず「承知しました!」と返していませんか? 実はこれ、危険な習慣です。

「承知しました」とは、「あなたの言っていることが理解できました。その通りに実行します」という意味の言葉です。 もし、腹落ちしていないのに「承知しました」と返事をしてしまうとどうなるでしょうか?

  • 後から「やっぱり分かりません」と聞きに行き、二度手間になる
  • 最悪の場合、間違ったまま進めて手戻りが発生する
  • これを繰り返すと、「あいつの『承知』は信用できない」というレッテルを貼られる

▼ すぐできるアクション

  • 1%でも不明点があれば、「承知しました」とは言わず、「今の説明の〇〇の部分だけ、もう一度確認させてください」と食い下がる。
  • 前述した「理解できるまで質問する」を徹底することこそが、本当の意味での「承知しました」への近道です。

さいごに

これらは、明日からすぐに使える「意識」の問題です。 技術的なスキルは一朝一夕では身につきませんが、こうしたビジネススキル(仕事の進め方)は、意識を変えるだけで劇的に改善します。

もし仕事の進め方に迷ったら、この「地図」を思い出してみてください。 少しでも皆さんの業務がスムーズになるヒントになれば幸いです。