はじめに
皆さん、プロジェクトをメインで進めているのは誰だと思いますか? PM(プロジェクトマネージャー)やPL(プロジェクトリーダー)など、何かしらマネジメントを行う人たちを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。
私の意見は違います。
マネジメントとは、一言でいうと「管理」です。ただ管理するだけでは、プロジェクトを前に進めるための直接的な成果は生み出せません。 であれば、誰が実際に成果を出し、プロジェクトを前進させているのか。そう、PG(プログラマー)です。
もちろん、プレイングマネージャーのようなスタイルを取られている方もいますが、少なくとも私の周りでは、PGが主な実作業を担っていることがほとんどです。プロジェクトの成功は、PGの動きにかかっていると言っても過言ではありません。
PMは「脳」、PGは「末梢神経」
私たちは、1人では限界があるからこそチームで働きます。私はプロジェクトにおける役割を、よく「人体の神経系」にあてはめて認識しています。
- PM(脳): 広い視野と高い視座を持ち、抽象化して考える責任を持つ。進むべき方向の指示を出す役割。
- PL(中枢神経): 脳からの指示を各器官へ伝達し、現場との調整を行う役割。
- PG(末梢神経): 実際に手足となって動く役割。現場で「一番正解に近い感覚」を最も持っている存在。
このように身近なもので例えてみると、プロジェクト内の役割がわかりやすくなるのではないでしょうか。
現場のPGへ。精度や完璧さよりも「正直さ」を
脳(PM)が出した指示が、常に現場の現実に即しているとは限りません。だからこそ、現場で起きていることに対し、一番良い解決策を見出せるのは、実際に実務に触れているPG自身です。
末梢神経であるPGが、現場で「熱い」「痛い」「やりづらい」と感じたなら、それを即座に脳に伝えなければ、組織全体が火傷を負ってしまいます。私が最も強く伝えたいメッセージはこれです。
フィードバックにおいて重要なのは、「精度や完璧さ」ではなく「正直であること」です。
感じたままの一次情報を、そのまま伝える。そして可能であれば、「こうすれば解決するのでは」というアイデアを一つ添えて返す。このアクションサイクルが回ることで、PMやPLの考える指標が軌道修正され、解決策のスピードと質が劇的に向上します。結果として、末梢(PG)まで動きやすいチームが出来上がります。
「知識不足」は弱点ではなく、最強の武器になる
若手PGの皆さんの中には、「まだ技術や仕様を分かっていない自分が、意見を言うなんておこがましい」「的外れなことを言って呆れられたらどうしよう」と不安に思う方も多いでしょう。
しかし、断言します。「知らないこと」「分からないこと」は、プロジェクトにおいて強力な武器になります。
なぜなら、長くそのプロジェクトにいるシニアメンバーは、すでに知識があるため「どこが分かりにくいか」「どこで初心者がつまずくか」を忘れてしまっているからです。
皆さんが「ここの処理、どうしてこう動くのか分かりません」と声を上げることは、決して恥ではありません。むしろ、「ドキュメントが不足している」「コードの可読性が低い」というシステム上の欠陥を、チームに気づかせてくれる貴重なセンサーです。
「質問すること」それ自体が、組織を改善するための立派なフィードバックだと自信を持ってください。的外れでも全く構いません。
アサイン直後は「最強のフィードバックチャンス」
特にPGの皆さんに意識してほしいのが、新しいプロジェクトに「アサインされた直後」の動きです。
アサイン直後は、まだそのプロジェクトの「暗黙の了解」や「非効率な当たり前」に染まっていない、極めて貴重な時期です。
- 「環境構築の手順書が古くて詰まった」
- 「この仕様、矛盾しているように見える」
- 「なぜこのツールを使っているのか分からない」
- 「このMTGは何を目的で開催しているのか」
こうした「新参者ならではの違和感」は、時間が経つと麻痺してしまいます。アサイン直後に感じた「痛い」「やりづらい」という感覚こそ、組織の仕組みを改善するための宝の山です。「まだ入ったばかりだから」と遠慮するのではなく、アサイン直後だからこそ、その新鮮な違和感を正直にフィードバックしてください。それが、次にアサインされるメンバーを救うことに直結します。
おわりに
「人間は間違えるもの」「言葉や態度には必ず主観が入る」この認識を持つことが第一歩です。
皆さんが迷わず自走できる組織を作るには、個人の気合いや根性論だけに頼るのではなく、「仕組みの設計」が必要です。そして、その設計図をより良いものにアップデートしていくための素材こそが、PGからの「正直なフィードバック」です。
皆さんの現場でも、まずは「正直な違和感のフィードバック」を一つ、上げることから始めてみませんか?