前回は「3D制作におけるAI活用のメリットとデメリット」を解説しましたが、それらを踏まえた上で次に重要となるのが、「実務において具体的にどれほどの工数削減が可能か」という視点です。
AIを実制作に組み込む際、単にツールを導入するだけでは十分な成果は得られません。どの工程が自動化され、どの部分に調整が必要なのかという「制作フローの構造」を正しく理解することが、現場の生産性を左右します。今回は、従来のモデリング工程とAIを駆使した最新フローを比較し、実務で直面する修正パターンとその時間対効果について具体的に解説します。
工程の短縮箇所と修正のパターン
AIを使用しない通常のモデリング
通常のモデリング工程は以下のようになります。
※スカルプティング、ベイク、リトポロジー等のハイエンド工程は今回省略します。
AIを駆使した場合(3パターン)
① 修正なしのAIモデル
※全ての工程がAIでおぎなえる(修正なし)
② 特色別AI(ハイブリッド)
AIプラットフォームによって得意不得意なデザインがあるため使い分けるパターンです。
③ 特殊形状(AIが苦手なもの)
首がないキャラ、動物、尻尾がある場合など、AIアニメーションが不可能なケースです。
修正パターンの詳細
修正パターン①:Texture修正のみ
修正パターン②:キャラモデリング修正 + 手動リグ
※修正前に、既存のウェイト情報をコピー・保持しておくために一度解除します。
修正パターン②-B:キャラモデリング修正 + 自動リグ(Mixamo等)
修正パターン②-C:AIアニメーション移植
どれくらい時短ができるのか?
手作業の場合(例:ハイエンドキャラクター)
| デザイン / 3面図 | 1週間(イラストレーター) |
|---|---|
| モデリング | 3日 ~ 6日 |
| テクスチャ | 3日 ~ 6日 |
| ボーン付け | 〜3時間 |
| ウェイト付け | 〜3日 |
| リグ付け | 〜2時間 |
| アニメーション | 2.5日 ~ 5日 |
| 合計目安 | 約 2週間 ~ 1ヶ月弱 |
AIを使用した場合
| AIで全生成 | 1日 ~ 2日 |
|---|---|
| 選定(ディレクション) | 数分 ~ 1日 (主要キャラクター等であれば1週間) |
| 修正作業 | 1日 ~ 15日前後 ※修正度合い・求めるクオリティによる |
AIで作成したものをそのまま使用するのが1番早いですが、クオリティーの定義をどうするかで調整が必要であるため、修正の時間は必須です。
AIによって得られたスピードをそのまま納期の短縮に充てるだけでなく、「浮いた時間を、作品のオリジナリティやさらなるブラッシュアップに充てる」という判断ができるようになります。AIによる効率化と、人の手による精密な仕上げ。この両者のバランスを最適化することこそが、今後の3D制作現場におけるスタンダードな在り方と言えるでしょう。