クラウド黎明期から「cloudpack」を軸に成長を続けてきたアイレット。
2026年4月には KDDIアイレットとして新たなスタートを切り、会社は次のフェーズへ進みました。
そんな節目に、約21年間アイレットと共に歩み、エンジニア、事業部長、副社長として会社の成長を支えてきた代表取締役副社長・平野 弘紀も、新たなチャレンジへ踏み出します。
今回は代表取締役会長 齋藤 将平と共に、これまでの歩みや思い出、そしてこれからについて語っていただきました。
社員数6〜8名だったアイレットから、すべてが始まった。
齋藤:
平野くんがアイレットに来たのは2005年だよね。当時は社員数も6〜8名くらいで、今の KDDIアイレットから見ると、かなり小さな会社でした。
平野:
そうですね。僕は当時、大学に通いながら Web スクールにも行っていて、そこで知り合ったアイレットの社員に紹介してもらったのがきっかけでした。
齋藤:
最初はデザイナー志望だったんだよね。
平野:
はい。もともとはデザインをやりたいと思って入りました。
齋藤:
でも、正直デザインセンスはなかったよね(笑)。
平野:
(笑)。そうですね。自分でもだんだん気づきました。デザインよりも、プログラミングのほうが向いているんじゃないかと。

齋藤:
そうそう。最初はデザイナーとして期待していたんだけど、明らかにエンジニアのほうが向いていた。プログラミングやサーバーサイドに関わるようになってから、できることがどんどん増えていった印象があります。
平野:
アルバイトとして入って、2ヶ月後くらいには正社員になりました。最初は分からないことも多かったですが、案件の中で覚えていった感じです。振り返ると、いろんなことにチャレンジできる環境で鍛えられたことはすごくラッキーだったと思います。
齋藤:
当時は今みたいに役割が細かく分かれていたわけでもないからね。頼まれた仕事は断らず、できるだけ早く、最後までやり切る。そういう気概がありました。
技術だけでは終わらない。お客様と向き合う仕事が成長のきっかけに
齋藤:
平野くんにとって大きかったのは、上場企業や大手企業の案件を経験したことだと思う。案件の規模が大きくなると、求められる品質も、お客様とのコミュニケーションの水準も一段上がるから。
平野:
確かにそうですね。技術だけではなく、要件を整理したり、提案したり、お客様と合意形成したりする力が必要になっていきました。
齋藤:
平野くんは最初からお客様とのコミュニケーションが得意だったわけではなかったと思うんです。ただ、一緒に取引先に行って、やり取りを見ながら、少しずつ自分のものにしていった。大規模な開発案件を経験する中で、プログラムを書く力だけでなく、営業やコミュニケーションの力も大きく伸びたと思います。
平野:
お客様の課題を理解して、どう解決するかを考える。それを自分の言葉で伝える。そういう経験は、僕にとってかなり大きかったです。
齋藤:
その後、事業部長として売上と組織を任される立場にもなったよね。他の事業部と比較しても、平野の事業部は継続的に成果を出していた。売上への意識は、かなり早い段階から高かったと思います。
平野:
事業部長になってからは、売上をつくること、メンバーを育てること、お客様との関係を維持することを、組織としてどう実現するかを考えるようになりました。後に経営に携わるようになったときも、その経験が活きています。
経営を見る立場へ。KDDI グループ参画で変わった視点
齋藤:
2017年に KDDI グループに参画したことは、会社にとってすごく大きな転機でした。平野くん自身も、見える景色がかなり変わったんじゃない?
平野:
かなり変わりました。特に大きかったのは、数字に対する意識です。それまでは、「事業部の売上や利益を毎年上げていればいい」くらいに考えていた部分がありました。でも、KDDI グループに参画したことで、会社の成長にコミットすること、数字に責任を持つことの意味を学びました。
齋藤:
売上や利益を見るだけではなく、会社としてどの水準を目指すのか、事業をどう成長させるのかを見るようになったんだね。
平野:
はい。外部の方と話したときにも、KDDI グループで PL(損益計算書) を見ていた経験があるから解像度が高いと言われたことがあって、それは財産になっています。
齋藤:
そして、平野くんを語る上で欠かせないのが、Google Cloud 事業への挑戦だね。
平野:
はい。AWS の領域では、cloudpack がすでに大きな存在になっていました。もちろん、その裏側には会長たちの相当な努力があったと思います。一方で、僕としては、次に Google Cloud で新しい成功事例をつくれたら面白いんじゃないかと考えていました。
齋藤:
2019年頃かな、Google Cloud 事業に本格的に取り組み始めたのは。Google Cloud との関係づくり、パートナー企業とのコミュニケーション、社内体制づくり、社外への発信など、平野くんが先陣を切ってガツガツ進めていた印象があります。
平野:
そうですね。Google Cloud 事業を伸ばすために、社内の体制を整えるだけではなく、外に向けた発信も戦略的に強化していきました。結果として、Google Cloud 領域でのアイレットの存在感も少しずつ高められたのではないかと思います。
齋藤:
それと同時に、平野くんは Google Cloud Partner Top Engineer にも選出されている。経営層でありながら、技術にもコミットし続けていたのは平野くんらしいところだと思います。
平野:
エンジニアリングが分かる経営層は、すごく希少価値が高いと思っています。会長自身、技術や仕組み、トレンドを深く理解している経営者です。僕もそうありたいと考えていました。
齋藤:
副社長になってからは、さらに会社全体を見るようになったよね。
平野:
はい、会社を俯瞰で見る目も強くなりましたし、対外的にも「アイレットの副社長が取り組んでいる」と見られるので、一つひとつの施策の意味合いも大きくなりました。Google Cloud の取り組みにおいても、副社長が現場に出ていること自体がブランディングになったと思います。
“断らない精神”と“スピード感”。これからも受け継いでほしい文化
齋藤:
平野くんから見て、アイレットらしさって何だと思いますか。
平野:
一つ挙げるなら、「断らない」ことだと思います。頼られたら、まず受け止めて、どうにかやり切る。そのメンタリティがあれば、必ず結果を出せると思っています。
齋藤:
そこは本当に大事。アイレットという会社が存在できるのは、お客様から頼られているからです。頼られているのに断ってしまったら、信頼を裏切ることになる。その根本の姿勢はこれからも大切にしたいです。
平野:
今の KDDIアイレットは、当時とは比べものにならないほど組織も事業も大きくなっています。それでも、失ってはいけない文化はあると思います。
齋藤:
例えば、どんなところ?
平野:
とにかく、スピード感です。まず動いてみる、やりながら考える。その文化は、アイレットが培ってきた大きな強みだと思っています。
齋藤:
そうだよね。アイレットがこだわってきたスピード感に、KDDIアイレットとしてもう一度こだわってみよう。平野くんからのメッセージを、そう受け取ってもらえたらうれしいですね。それができれば、KDDIアイレットはこれからもっと良い会社になっていけると思っています。
平野:
規模が大きくなると、どうしても慎重になる場面も増えると思います。でも、まず動いてみること、やりながら考える姿勢は、これからも大事にしてほしいです。
新しいチャレンジを選んだ理由
齋藤:
20年以上アイレットと一緒に成長してきた平野くんが、新しいチャレンジへ進むと聞いたときは、率直に寂しさもありました。
平野:
僕自身、もともと辞めるつもりはなかったんです。アイレットをもっと大きくしたいし、もっといい会社にしたい。エンジニアがちゃんと報われる会社にしたいという気持ちも、ずっとありました。
齋藤:
その思いは、ずっと感じていました。
平野:
ただ、新しいチャンスをいただきました。自分が考える理想の組織、エンジニアリング、人事制度を、自分自身の責任で形にしていく機会です。その挑戦に向き合いたいと思い、次のステージへ進むことを決めました。
齋藤:
平野くんにとって前向きな挑戦なのは間違いないからね。そこは素直に応援したいです。平野くんは、技術も分かるし、お客様にも向き合ってきたし、組織も育ててきた。そういう経験を持った人が新しい場所でチャレンジするのは、すごく楽しみでもあります。
最後に、KDDIアイレットの皆さんへ。
齋藤:
これからの KDDIアイレットを担っていく皆さんへ、改めて伝えたいことはありますか。
平野:
KDDIアイレットは、すごく恵まれた環境にあると思っています。ハイパースケーラー各社と取り組み、クラウドベンダーとも深く関われる会社は多くありません。さらにクラウドの領域でも、AI やデータの領域でも、新しいことにチャレンジできる機会は増えています。一つの領域に特化したスペシャリストにもなれるし、マルチクラウドやトレンドに敏感なゼネラリストにもなれる。そういうチャンスがたくさんある会社です。だからこそ、その素晴らしい環境を存分に活かして、自分の市場価値を高めていってほしいです。
それから自分の意見を言えることは大事だと思っています。もちろん、言い方や伝え方は考えなければいけません。でも、会社を良くするために必要なことは、誰でも発言できる。そういう心理的安全性のある状態は、これからも大切にしてほしいです。
齋藤:
平野くんの21年間は、KDDIアイレットの成長そのものと言っても過言ではありません。本当にいろいろな場面で会社を支えてくれました。
平野:
ありがとうございます。僕自身も、アイレットで本当に多くの経験をさせてもらいました。
齋藤:
平野くんが大切にしてきた姿勢は、これからも KDDIアイレットに受け継がれていくと思います。これまでの歩みに感謝すると共に、次のステージでのさらなる活躍を、社員一同心から応援しています。

副社長・平野の功績は以下の記事でもご覧ください。