■はじめに

2026年7月に開催された「SORACOM Discovery 2026」に参加してきました。

■SORACOM Discovery 2026 概要

今年の大きな特徴は、「IoTがAIの神経網となり、フィジカル(現場)とデジタルを融合させる」という、AI時代の本格的な幕開けを象徴する内容でした。
実践企業の方の講演や、30社以上のスポンサー企業とソラコムがブースを出展しました。
遠隔監視、省エネ・CO2可視化、高精度測位、そしてAI連携ソリューションまで、現場の課題に直結するデバイスや実機デモが多数展示され、エキスパートに直接相談できる場として賑わいました。

■参加したセッション

・基調講演:人とAIをつなぐIoTの今と未来 ー 「フィジカル」と「デジタル」が出会うその先へ
・CTOキーノート:AI時代の「つなぐ」を再定義 ― 真のIoTとリアルワールドAI
・カメラ×AIで挑む「ホワイト物流」― 車両管理、自動化の壁と突破口
・移動の壁をなくし、ボーダレスな社会へ!UNI-ONE開発秘話と実践

■印象に残ったセッション

「カメラ×AIで挑む「ホワイト物流」― 車両管理、自動化の壁と突破口」が一番印象に残ったセッションでした。

今年から改正物流法により、トラックの滞在時間を「1回の受渡しにおける荷待ち・荷役時間を原則1時間以内、1運行の合計を2時間以内とする」という法が施行されました。
これにより、現場では滞留するトラックがいないか確認する必要が出てきました。しかし、大きな工場では多くのトラックで溢れ、人海戦術では限界がありました。

このセッションでは2つの工場での事例紹介がありました。

1つ目の事例:高浜工場

  • 目的: ナンバーごとの入退場把握
  • 精度: 限りなく100%に近づける
  • 使途: 構内滞留時間の集計

上記のような要件に対し、ソラカメを使って駐車場に入ってきたトラックのナンバープレートをカメラで読み取り、AIで解析する取り組みが行われました。
解析フローは下記の通りです。

1.ソラカメが送った画像を、SORACOM Flux(ローコード IoT アプリケーションビルダー)が自動で受け取る
2.生成AIがトラックの有無・ナンバー・車検・車種を特定し、データ化
3.入場/退場を紐づけ、待ち時間を計測

実際に始めてみると、当初は88台のトラックのうち、ナンバープレートを検知できたのは58台(検知率66%)にとどまりました。
そこからカメラの配置見直しや、画像検知ロジックの変更を行いました。例えば、1秒間に20枚ある画像の中から車両か人かをタグ付けし、車両のみを判定ロジックへ渡すようにしたとセッションでお話しされていました。
このような改善の繰り返しで取りこぼしや誤読を減らし、最終的には検知率が98%まで改善されたとのことで、非常に価値ある施策だと感じました。

2つ目の事例:長草工場

  • 目的: 待機場の滞留傾向の把握
  • 精度: 100%ではなくてもよい
  • 使途: 業者との対話のきっかけ

こちらも現場にカメラを設置し、ある日の13時~17時の検知結果は下記の通りとなりました。

1.入り/出で17台を検知
2.1時間以上の滞留:6台
3.3時間以上の滞留:1台

最長3時間滞留していたと思われる車両の業者へ状況をヒアリングすることに成功した事例でした。
この件は結果として誤検知のケースでしたが、「長時間滞留しているかどうかを確認する活動自体をまず始めることが重要」とおっしゃっていたのが印象的でした。
この施策の価値は100%の精度ではなく、大量のトラックの中から長時間滞留している可能性のあるトラックを見つけ「対話のきっかけを作る」という点にあります。

このセッションの登壇者ご本人はエンジニアではなく、スマホに入れたAIにカメラの設置方法や角度を相談するなど、AIと二人三脚でプロジェクトを進めていた点も非常に興味深かったです。

まとめ

AIと連動したIoTは今後、非常に速い速度で「現場」に導入されていくと感じました。
他のセッションでも紹介されていましたが、カメラを使った在庫管理や、従来は人が目視で行っていた計器数値をカメラで遠隔確認することで一部現場作業をリモート化するなど、様々な分野で活用が進んでいます。
また、IoTデバイス側でAI解析を行う(エッジ解析)ことでサーバー側のコスト削減にもつながるため、AI分析というニーズにおいてIoTは欠かせない存在になってくると実感しました。

今後もAWSやGoogle Cloud といったクラウド技術だけでなく、こういった最新のIoT技術に関しても理解を深め、クライアントへより良い提案ができるよう取り組んでいきたいと思います。