※本記事は2026年9月2日時点の情報に基づいています。AWS Skill Builderで提供されている公式問題の問題文・選択肢・解説は掲載せず、独自の分類・集計・考察のみを紹介します。また、ベータ試験開始前の分析であり、実際の本試験における出題頻度を示すものではありません。
はじめに
2026年9月1日、AWSから新しい認定資格「AWS Certified AI Business Strategist(AIB-C01)」が発表されました。

AIモデルを構築する技術力を問うているというよりは、どのAI施策に投資するのか、どう事業価値を測るのか、どのようなガバナンスを適用するのか、そしてPoCをどう全社展開へつなげるのかのようなAIに関するビジネス判断力です。
AWS Skill Builderの公式問題20問に挑戦しました。
結果は、20問中14問正解。正答率は70%でした。
用語を知っているだけでは正解できず、企業の状況に応じて「今、何を優先するべきか」を判断する必要がありました。
公式問題20問を4つの出題ドメインに分類し、正答率と誤答傾向から見えた試験の特徴と対策をまとめます。
AWS Certified AI Business Strategistとは
AWS Certified AI Business Strategistは、組織や顧客のAI施策を評価・推進・拡大するビジネスパーソンを対象とした資格です。
AWS公式では、プロダクトマネージャー、プログラムマネージャー、営業、事業部門のリーダー、コンサルタント、マーケター、ビジネスアナリストなどが対象例として挙げられています。コーディングやAWS環境への実装経験は必須ではありません。
2026年9月2日時点のベータ試験概要は次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| カテゴリ | Business |
| 問題数 | 85問 |
| 試験時間 | 170分(※調整の可能性あり) |
| 形式 | 単一選択・複数選択 ||対応言語 |日本語・英語(嬉しい) |
| ベータ試験開始 | 2026年9月29日 |
| 推奨経験 | AI施策に関与した経験6か月程度 |
2027年2月15日までに取得すると、通常の認定バッジに加えてEarly Adopterデジタルバッジが付与されます✨️
AI Practitionerとの違い
AWSは、2つの資格の違いを明確に説明しています。
AI Practitioner:AI・ML・生成AIの概念と、AWSのAIサービスに関する基礎知識
AI Business Strategist:どのAI投資を進めるか、どう事業価値を測るか、リスクをどう統制し、導入をどう拡大するかというビジネス判断
AI Practitionerで問われるのが「AIとは何か」「どのAWSサービスを使うか」だとすれば、
AI Business Strategistで問われるのは「そもそもAIを使うべきか」「今この組織が最初に行うべきことは何か」です。
サービス知識よりも、シナリオの背景、組織の成熟度、事業目的、リスクの大きさを読み取る力が必要になります。
公式問題20問の分析方法
AWS Skill Builderで提供されている公式問題20問について、正解の根拠と不正解選択肢の説明を確認し、AWS公式試験ガイドの4ドメインに分類してみました
以下はAWSが公表した正式な問題分類ではなく、個人的な分析です。
| ドメイン | 公式配点 | 公式模擬試験の問題数 |
|---|---|---|
| 1:AIの基礎とリテラシー | 24% | 4問 |
| 2:AI戦略と事業価値どうやったら出せるか | 28% | 4問 |
| 3:AIガバナンスと責任あるAI | 24% | 6問 |
| 4:組織がなに準備するか・AIによる変革 | 24% | 6問 |
公式問題から見えた5つの判断軸
1. 技術やツールから始めず、事業課題から始める
新しいAI施策を考えるとき、いきなり有名な生成AIツールを全社導入することは推奨されません。
まず確認するのは、競合環境、顧客ニーズ、解決したい業務課題、期待する事業成果です。そのうえで、事業価値・実現可能性・データ準備状況・リスクを評価します。
基本の流れは次のように整理できます。
1. 事業目標と課題を明確にする
2. 顧客・競合・業界を分析する
3. 現在のプロセスとベースラインを測定する
4. 価値と実現可能性からユースケースを優先する
5. 管理可能な範囲で検証する
6. 結果に基づいて拡大・改善・停止を判断する
2. 「小さく始める」≠「価値の小さいテーマを選ぶ」
AI導入ではスモールスタートが重要だけど、単にリスクの低い社内業務から始めればよいわけではない。
公式問題では、対象範囲を管理しやすくしながら、顧客体験や売上などの事業成果につながるユースケースが重視されていました。
つまり、目指すべきはSmall but meaningfulです。
- 対象範囲は限定する
- 成果指標を定義できる
- 事業価値がある
- 次の展開に必要な経験を得られる
この4つを満たすPoCが、AI成熟度を高める一歩になるということです。
3. ガバナンスは厳しく禁止することではない
私が特に間違えたのが、ガバナンスを強くしすぎる選択肢です。
承認されていないAIツールを一律にブロックする、すべての実験に経営承認を必須とする、
一見安全に見えますがリスクに対して統制が過剰であり、導入スピードやイノベーションを阻害することがある、とのことです。
公式問題で重視されていたのは、次のような比例的な統制です。
- AIツールを「承認済み・評価中・禁止」などに分類して可視化する
- 信頼度が低い出力だけを人間のレビューへ回す
- 実験段階は費用を補助し、成熟後に使用量ベースの負担へ移行する
- 影響度と自律性に応じてリスクレベルを変える
ガバナンスの目的は、AIを疑う というより許容できるリスクの範囲で安全に前進できる状態を作ることということです。
4. KPIは広い会社指標ではない
AI導入前には、現在の状態を示すベースラインが必要です。
顧客サポートへAIを導入する場合、全社の顧客満足度や総予算だけを見ても、AIの効果は正確に判断できません。AIが変える具体的なプロセスに合わせて、解決時間、初回解決率、回答品質などを測る必要があります。
- AIの導入目的に直接結び付いている
- 導入前後を比較できる
- コストや速度だけでなく、品質も測れる
- 施策の継続・拡大・停止判断に使える
出題の傾向を見ると、単に測定できそうな数字を選ぶのではなく、このAI施策が成功したと言える条件から逆算することが重要です。
5. 高リスクAIでは、精度だけを優先しない
特に以下の条件が重なるほど、厳格な管理が必要になります。
- 人間の確認なしに自動で判断する
- 判断が個人の権利・機会・生活に重大な影響を与える
- 判断結果が恒久的、または容易に取り消せない
- 規制上、判断理由の説明が必要である
この場合、多少精度が低くても説明可能性の高いモデルを選択する、人間による審査を組み込む、判断根拠を追跡できるようにするといった対応が優先されます。
正解を選ぶための確認項目つくってみた
おそらくシナリオ問題で構成されると思うので、
選択肢を見る前に次の順番で状況を整理すると判断しやすくなりそうです。
- 目的はなに?:売上、コスト、顧客体験、品質のどれを改善したいか??
- いまどの段階?:構想、実験、導入、全社展開のどこにいるか
- 制約はあるの?::データ、人材、予算、期限、規制に何があるか
- 影響度は?:AIの誤りが誰に、どの程度の影響を与えるか
- 自律性について:AIは提案するだけか、人間なしで決定するか
- 測定方法は?:導入前後を比較できるKPIがあるか
- 現在の段階で最も根本的な障害を解消するか
試験ではよく言われますが選択肢が極端な場合も注意が必要です。
- いきなり全社展開する
- すべてを禁止する
- すべてを人間が確認する
- 最新・最高性能のモデルへ変更する
- 問題が起きてから監視や教育を始める
これらは、状況に対して過剰または順序が不適切なことが多いです。
AWSサービスはどこまで覚えるべきか
試験では、AWSサービスの設定方法や実装手順は問われません。
試験範囲に含まれる主なAWSサービス・概念は次のとおりです。
- Amazon Bedrock
- Amazon SageMaker
- Amazon Q
- AWS Cloud Adoption Framework
- AWS責任共有モデル
- AWS Cost Explorer
- AWS Pricing Calculator
- AWS Marketplace
重要なのは機能の細かな暗記ではなく、事業上どのような選択肢を提供するのか、料金体系や内製・購入・パートナー活用の判断にどう関係するのかを説明できることだと思います。
対象一覧はAWS公式の試験範囲で確認できます。
AIを選ぶ力のほうが大事そう
AWS Certified AI Business Strategistの公式問題20問を解いて感じたのは、AIを導入すること自体が正解ではないってことです
- AIを使うべき課題か
- 今の組織に実行できる規模か
- 成果を何で測るか
- リスクに対して統制は過不足ないか
- 人間とAIの役割をどう分けるか
- PoCを続けるのか、拡大するのか、止めるのか
技術、事業、リスク、組織変革を結びつけて、状況に応じて優先順位を決める力が必要そうです。
新設資格で情報がまだ少ないからこそ、公式問題を何度も解くだけでなく、AWSがなぜその選択肢を最適と考えるのかまで分析することが、最も有効な対策になりそうです。 目指せアーリーアダプター🏃
参考資料
AWS Certified AI Business Strategist 公式認定ページ
AWS Certified AI Business Strategist 試験ガイド
AWS公式発表
試験に登場する可能性がある技術
試験範囲内のAWSサービスと機能