アイレットは2019年11月18日に、クラウド型ビジネスインテリジェンス(BI)プラットフォーム「Looker」を提供するLooker Data Sciences, Inc.とパートナー契約締結を発表しました。
「Looker」は、企業のあらゆるデータを簡単に探索・分析・共有できる次世代のBIプラットフォームで、規模の大小を問わず、世界各国の様々な企業で導入・活用されています。
今回、両社のパートナーシップが目指すものについてLooker ジャパンカントリーマネージャーの小澤正治さん、同アライアンスマネージャーの今井寿康さん、そしてアイレット執行役員の平野弘紀にインタビューを実施しました。
・Looker Data Sciences, Inc. ジャパンカントリーマネージャー 小澤正治(写真中央)
Adobe, Salesforce.com, Oracle にてマーケティングクラウド部門立上げを経験。各社で要職に従事。イノベーティブでダイバーシティな組織を立ち上げる事を得意とする。Looker Data Sciences Inc. APAC VP & Japan Country Manager を務める。プライベートでは現役フットボールプレイヤーとして活躍。
・Looker Data Sciences, Inc. アライアンスマネージャー 今井寿康(写真左)
2005年に大学卒業後、AV家電メーカーで約10年、EC/直営店舗/CRM/MA・カスタマージャーニー戦略などのダイレクトマーケティングを経験し、経営企画として社内数千人規模でのBI活用を推進した後、Lookerに出会い2019年にJOIN。
・アイレット株式会社 執行役員 平野弘紀(写真右)
2005 年、大学卒業後、アイレット株式会社に入社。
Web アプリケーション開発に従事。モバイルゲームアプリから、オンライン予約/ショッピングサイトのフロントエンド/サーバサイド、データ分析アプリ、製造業系のお客さま向けのIoT開発など、幅広い案件のディレクションおよび開発を担当。
2010 年、第4開発事業部長(現任)、2014 年、アイレット株式会社の執行役員に就任(現任)
増大するデータの的確な分析・活用のために生まれたBIプラットフォーム「Looker」
平野弘紀(以下、平野):世に流通するデータのボリュームが加速度的に膨らんでいるのに伴い、クラウドサービスを導入して事業基盤、データ分析基盤を構築する企業が増えてきています。
私達もAWSの導入支援やシステム開発で実績を積んできて、今年度からはGoogle Cloud Platform(GCP)の取扱いもスタートしました。そんな中、クラウド型BIプラットフォームである「Looker」をお客様からご紹介いただきました。
小澤正治さん(以下、小澤):はい、事例公開されているガンホー・オンライン・エンターテイメントさんから推薦をいただきまして、それがアイレットさんと出会ったきっかけです。
私たちLooker Data Sciences, Inc. は2012年に米国カリフォルニア州で生まれた企業です。グローバルでは1800〜1900社で導入されており、契約企業は四半期ごとに150〜200社のペースで増えています。
日本法人がビジネスを開始したのは2018年8月からで、国内での契約は40社ほどですが、メルカリやZOZO、ピクシブ、あるいは医療ビッグデータ系企業など、業種を問わず採用いただいています。
大きなデータをリアルタイムで分析、ビジネスに活用する
平野:すでに膨大なデータを抱え、さらに今後もそのデータがどんどん増えていく、そんな企業が増えていますよね。データベースを自社で持ち続けることに限界が見えてくるので、データ分析もクラウド上のデータウェアハウスで行うようになってきたわけです。少し具体例をお話いただけますか。
小澤:米国で展開している「Uber」では、ドライバーと顧客の位置情報に加えて、気候のデータや、近隣で開催されているイベントのデータなども取り込んでいます。NFLのゲームをやっていたら、当然ドライバーはその近くに車を寄せたほうが利用率は高まりますから、その情報を投げてあげる。
こうすることで、モビリティの需給のバランスが最適化されるのはもちろんなのですが、「競合他社よりもUberでドライバーをやったほうが儲かる」と評価が上がって雇用の確保にもつながります。
もう1つ例を挙げましょう。スーパーマーケットやデパ地下では、売れ残りを抑えるために、夕方一定の時間になると値引きシールが貼られます。それを待っている人もいますよね。あれは売り場の人が売れ行きを見たり、時間を決めたりしておこなっているわけですが、「Looker」ではリアルタイムに店舗の在庫状況を把握し、データに照らし合わせて売れ残りそうだったら自動的に価格を変え、利益を最大化するという仕組みにトライしています。
こういった事例からご理解いただけるように、「Looker」の特長は、「膨大なデータ」をクラウド上で「リアルタイムで分析」し、「ビジネスモデルに実装していく」の3つです。
今井寿康さん(以下、今井):私は2019年10月からLookerに入社したのですが、それまではAV家電メーカーでマーケティングと経営企画を担当してきました。自分自身がデータ分析業務に携わる中、当時使っていたシステムには社内全体やチーム横断で使う上で課題を感じ、悩んでいたんです。
「Looker」のコンセプトは「誰しもがデータを使いやすくする」です。一般的なBIツールでは、単にデータを見やすくレポーティングすることに終始してしまうことも少なくありませんが、データ分析の真の目的は、正しい意思決定をし、シームレスにアクションに移すことにあるはずです。
「Looker」はそれを実現するツールです。データ抽出・計算ロジックが人によってまちまちでやり直す、というよくある分析の失敗もなく、シームレスなアクションはダッシュボードからすぐに実行できます。本当の意味でデータの利活用を基礎とするデジタルトランスフォーメーションの基礎を築いていける存在になると感じています。
両社に同じく根づく、お客様に寄り添う共創の姿勢
平野:パートナー契約の形態としては「Looker」の販売代理店契約ではあるのですが、アイレットが担う役割は「サービスを売る」という一言ではくくれません。システムやインフラの開発をする中で、どんなデータ分析を行い、どうビジネスに活用するのかを考慮したデータの設計、さらには実際にお客様が使用する「Looker」のダッシュボードの設計まで担うことができるのが、アイレットの強みです。
小澤:「Looker」は複数のデータベースを統合したり、既存のアプリケーションと組み合わせたりすることもできるため、アイデア次第で、多彩な機能を実現できます。
一方で、多機能であるがゆえに、お客様がまず直面する課題は「どうやって活用したらいいのか決めなければならない」ということになります。アイレットさんは、お客様が持っている事業上の課題や企業としての強みと弱みを踏まえながら、お客様が持っているデータを「どのように使っていくときちんと価値あるものになるのか」をコンサルティングしてくださるので、「Looker」の機能も最大限活かすことができるんですね。
平野:当社の文化として「お客様との間にはなるべく線を引かず、お客様の課題にしっかり入り込んで一緒に開発を進める」という考えがあります。私たちがぜひLookerさんと一緒にやっていきたいと思ったのは、Lookerさんもまた、パートナー企業やお客様に対して寄り添う姿勢で臨んでくださるからなんです。
具体的には、アイレットが仲介する形ではあるものの、データ分析の実装や「Looker」の操作方法などについても、お客さま向けに直接行うビジネストレーニングを積極的に行ってくださいます。また当社のエンジニアが開発で詰まったときに相談をすると、ビジネスチャットアプリなどですぐに相談にのってくれてアドバイスをくださるんです。スピーディに、エンジニアの気持ちに沿ったサポートが受けられるというのも、提携の決め手の1つとなりました。とてもありがたいことで、私たちも見習うべき姿勢だと感じています。
同時性と個人志向がさらに進むデータ活用において新たなビジネスチャンスを提案
小澤:2020年春には5Gのサービス開始が予定されており、流通するコンテンツのデータボリュームは今の比ではなくなります。また、ウェアラブルデバイスが急速に普及してきましたが、リアルタイムのバイオリズムデータは非常に貴重なビッグデータです。
今後、データのボリュームは退行することはなくどんどん増え続けます。しかも、従来のように、過去のデータを見て仮説を立て実践していくのでは遅すぎます。まさに今起きていることを捉え、リアルタイムにアクションを起こしていくビジネスが求められるようになっているのです。
これまでは、技術的には可能でもそれだけ膨大なデータを取り扱えるインフラは整っていませんでした。そんな中、クラウドファーストで実績を積み上げてきたアイレットさんの開発力に、クラウド上のデータウェアハウスにおいて最大限に機能を活かすことのできる「Looker」を組み合わせることで、インフラ不足というボトルネックを解消することができます。パートナーシップとしては最高の組み合わせなんじゃないかなと思いますね。
平野:そうおっしゃっていただけて嬉しいです。BIの必要性を感じながらまだ導入に踏み切れていないお客様も少なくありませんし、一度は他社の製品を導入したもののうまく使いこなすことができなかったり、思うような分析をするには機能が足りなかったりして、今、本当にビジネスに活用できる分析をしたいというニーズを持っているお客様もいます。そんなお客様に「Looker」を勧めていきたいですね。
今井:先ほど小澤が触れましたが、ウェアラブルデバイスの情報などによりパーソナルなデータを活用できるようになったことで、ビジネスは大きな集団に対して手を打つのではなく、ひとりの人間に着目したビジネスを展開していく流れが起きてくると予測されます。
これに対してアイレットさんとLookerのパートナーシップは、大きなデータをリアルタイムで活用できるインフラをご提供します。日本企業の皆さんにも、ぜひこの変化を活用して新しいビジネスチャンスをつかんでいただきたいと考えています。
小澤:もうひとつ大きな話をすると、今の世の中、IT部門の予算がどんどんマーケティングのほうに移行しているんですね。そんな中、私はITの復権を図っていきたいんです。もちろん潰し合うということではなく、心地良い対立といいますか、いい緊張感の中でお互い高め合っていきたい。IT部門からマーケティング部門や事業サイドに提案ができるようになれば、そこでシナジーが生まれ、新しいビジネスの構築にも繋がると考えています。
平野:そのためにも、当社としては「Looker」導入の事例を積極的に作っていくことが目標になりますね。お客様から信頼を得ていないと、事例の公開を許可していただくことは難しいですから、粛々と、取り組んでいるプロジェクトを成功させていかなければと強く思います。アイレットがLookerさんと一緒に成長してBI市場を盛り上げていくんだという気概を持って取り組んでいきたいですね。
編集後記
インタビューを通して、「お客様に寄り添う姿勢」を大切にしている両社だからこそ、データ活用のさまざまなニーズに沿った最適なソリューションを提供できるのではないかと感じました。また、お客様に寄り添うだけではなく、しっかりとパートナー企業に寄り添い、共に成長していくことをアイレットは目指しています。Looker社としっかりタッグを組むことで、BI市場の活性化に向け牽引していきたいと思います。
データ活用を検討されている方は、ぜひアイレットにご相談ください!
最後まで読んでいただきありがとうございました。
■関連サイト
パートナー契約に関するプレスリリース