要旨

Google Cloud Next Tokyo ‘23 が始まりました。

ここでは、初日最初の Keynote の内容を速報としてお伝えしたいと思います。

オープニングトーク

Keynote は平手代表のオープニングトークから始まりました。

米国で行われた Google Cloud Next と同様に、AI を支えるソリューションとその活用に注目された Keynote となっていました。

生成 AI は、あらゆる産業において、生活や働き方を変革する力があるとのことです。

AI は、触ってみる、試してみるの段階から、活用する段階に入っており、ビジネス上で活用する際の問題にフォーカスしているとのことでした。

Google は、AI の価値を信じ、 AI First 企業を宣言して、責任ある AI を活用していくとのことでした。
具体的には、Google はデータの安全性と、ハルシネーションに注意し、それを防ぐための対応を多く行っていました。

ハルシネーションは、事実無根の内容を、事実のように回答してしまうことです。
これに対し、グラウンディングアプローチを行っていくとありました。

グラウンディングは、事実に基づき判断される AI のことで、自社の持っているデータを参照し、事実に基づいた回答が可能になります。

Vertex AI では、PaLM 2 を発表し、日本語のサポートや、 Codey / 推論を強化した生成 AI の提供。
業界固有の学習を行った、Med-PaLM 2 (医療) や、 Sec-PaLM 2 (セキュリティ) などが提供されています。

中外製薬での活用について

中外製薬 志済さまの話では、中外製薬内での DX 推進に AI を活用した話がありました。

製薬企業において、創薬は大きなリスクをはらんでいるとのことです。
10年を超える歳月、3000億円以上の投資、0.004% 以下の成功率など、かなりの投資が必要な分野であるとのことで、ここに AI を活用しているとのことでした。

創薬において、タンパク質構造の決定は重要なタスクですが、DeepMind が提供する AlphaFold2 を活用することにより、高精度でタンパク質構造を予測可能になったとのことです。

これにより、数ヶ月単位で期間を短縮することが出来たとのことです。
これを実現するため、AI を社内ツール化することで、高度な AI を利用する際の敷居を下げ、『AI の民主化』を実現できたとのことでした。

アンメットメディカルニーズを満たすため、さらに活躍したいとのことでした。

エンタープライズレディネス

Google は、エンタープライズレディネスとして、 AI は信頼できるものであるべきとの理念を掲げています。

モデル学習、グラウンディングなどで、AI はコーポレートデータ、顧客のデータを利用します。
そのため、それらのデータは基礎モデルの改善や他社サービスに決して使われないと、データの安全性に対して利用者に対して約束されました。

Vertex AI

続いて、Vertex AI の話がありました。
Vertex AI は、上記のようにお客様の専門性の高い情報を AI に組み込むことができるとのことです。
Google Cloud では、お客様の情報を Google のモデル学習に利用したり、組み込むことは絶対にないとのことです。
これを実現するため、規約、アーキテクチャの両面から顧客情報の保護に取り組んでいるとのことです。

Vertex AI を利用することで、専門性の高い AI を作成することができます。
AI の開発は Model Garden と組み合わせて始めることが多いとのことで、Model Garden は基本アプローチを選択できる LLM のコレクションとして活用できます。

Codey によるコード開発や、Imagen による画像生成、マルチモーダルな AI などが利用できます。

グラウンディングを利用することが出来、組織のコードと連携したり、ブランドイメージを利用したりといった活用もできるとのことでした。

グラウンディングのデモとして、Generative AI Studio を利用して、根拠付けを有効化し、根拠と成るサイトやPDFを指定する方法が可能であり、数クリックでハルシネーションを抑止できました。

Duet AI

続いて、Duet AI の話がありました。

Duet AI は、社員一人ひとりに、各分野の専門家をつけるような革新的なソリューションとのことです。

Google の Duet は、すべて AI を活用したブランドという事で、その熱い想いが伝わります。

Google が、検索ボックス一つのシンプルな UI で検索を変革したように、Duet AI は AI を用いて変革を行っていくとのことでした。

Google Workspace での活用では、Gmail / Calendar などで、30億人のユーザーに対して AI が提供されているとのことです。

デモでは、AI を用いてブログを執筆しました。
スタイルシートの内容などからブログを執筆し、他のブログを参考に文体を揃えるデモが行われました。

今現在、ブログを書いている身としては、とても嬉しい機能であるとおもいます。
(めちゃんこうれしい、すぐにでも使いたい)

また、ミーティングでの活用では、複数言語話者の会議で複数の言語を翻訳する機能を始め、途中参加者のために要約を表示する機能や、質問に回答する機能などで AI が活用されていました。

Duet AI も、Google Cloud の中核機能とのことで、『データはあなたのものです』という思いが繰り返し伝えられました。

Zozo での活用について

Zozo 風間さまから、Zozo 内での活用について話がありました。

Zozo は、『ファッションを買うなら』から、『ファッションのことなら』と変わってきているとのことです。

WEAR アプリでは、今までは記事作成に人的リソースを利用しており、量と質の確保が課題だったとのことです。
この課題に対し、PaLM 2 を活用することで課題を解決しました。

課題の解決にあたり、3つの目標を定めて活用したとのことです。

  • エンジニア以外でも利用できるか
  • 実用に耐えうるか
  • 工数の削減に寄与できるか

この目標に対し、複数の AI を比較し、Vertex AI を選択したとのことでした。

結果は、下記の通りで目標をクリア出来たとのことでした。

  • UI / UX が分かりやすく、誰でも利用しやすい。
  • ファッション特有の言葉選びが安定しており、生成速度も高い。
  • 人に比べて、コストが 1/3 に削減。

今後は、『似合う』ということに AI を活用したいとのことで、言語化が難しい分野で AI を活用していくとのことです。

AI x Security

セキュリティエンジニアとして、セキュリティへの取り組みがオープニング Keynote にも出てきたことを嬉しく思います。

Google のセキュリティに対する取り組みとして、以下のような話をされました。

  • 最前線におけるサイバーセキュリティの強化
    • Mandiant や VirusTotal などを、Google 自社ソリューションを活用したセキュリティの強化。
  • セキュリティ運用のモダナイゼーション
    • Chronicle は古典的なセキュリティ運用に変革をもたらす。
    • 高度な分析を行い、攻撃された際に即座に使用できる。Mandiant による専門家の支援を受けられる。
  • トラステッドクラウドプラットフォーム
    • クラウドの信頼性を担保する。
    • 実際に、 Google Cloud は、他社のクラウドサービスと比較して深刻な脆弱性が少ない。
    • Assured Workloads 規制に沿ったワークロードを安全に使用できる。
      • FedRAMP などへの対応が簡単。
      • 官公庁 / 金融 / インフラが想定顧客

また、Google では、Sec-PaLM 2 として AI 特化の LLM を開発しており、これの活用デモがありました。

Google Cloud のアラートから問題の特定における Duet の活用では、問題を特定するための PromQL 生成に Duet へ自然言語で問い合わせたり。

Cloud Logging の Log Explorer では、エラーの内容を Duet AI に解析させ、解決策を提示させるなどのデモが行われました。

Sec-PaLM 2 を活用することで、以下のような価値を提供できるとのことです。

  • 脅威の検知
  • 生産性の向上
    • 繰り返し作業の自動化
  • 人材不足の解決
    • 熟練の従業員しかできなかった高度な作業を実施

クロージング

クロージングは、 Google 平手代表より行われました。
AI を活用するためのサービスを広範囲に提供し、様々な需要に対応していくとのことです。

まとめ

Google Cloud の Keynote は、AI がやはり注目を浴びていました。
そのなかでも、Duet AI による Sec-PaLM 2 の活用はセキュリティエンジニアとして注目しています。

見なかったフリ運用、わからないから様子見運用など、あまりセキュアでない運用がされている企業も多いかと思います。

これらの背景には、分からない。人的リソースがかかる。影響が無いように見えるなどの課題があるのかと考えています。

Sec-PaLM 2 や Chronicle を活用することで、即座に検知して、即座に対応できるセキュリティが実現できると考えています。