皆さんはコスト最適化と聞くとどんなことを思い浮かべますか?
リザーブドインスタンス?S3 Glacier?サーバレス化?
色んな答えが考えられそうですね。
今回は効果的なコスト最適化を行うには、その前後のステップがとても重要だと考えた話です。
どうぞお付き合いください。

1. 今日の結論

2. AWSコスト超削減術

AWSのコストと向き合うため読書をしました。

この本では、AWSでコスト最適化をする時の基礎的な考え方、コスト削減の実例、プロジェクトにおけるコスト最適化、について書かれています。
コストを抑えるにはどこに目を付ければ良いのかというマクロな話から、
現実のプロジェクト内でどこが問題視されてどんな風に実装したかというミクロな話まで載っています。
AWSのコストを削減したい方は必見の良書です。

その中でコスト管理のPDCAは、

可視化 → 分析 → 最適化

のサイクルで回すと書かれています。

やみくもに削減できる手法を探すのではなく、どこでお金を使っていて、どこに無駄があるかを突き止めた上で最適化を行いましょう、というものです。
考えてみればその通りですね。

詳細やその他多数の削減手法についてはぜひ書籍をご覧ください。

3. AWS Well-Architected Mini Bootcamp(コスト最適化の柱)

AWSのコストと更に向き合うためイベントに参加しました。
AWS公式個社向けイベント、その名も AWS Well-Architected Mini Bootcamp for iret です。

通常 AWS Well-Architected Bootcamp は6つの全ての柱が対象となる1日がかりのイベントですが、今回のイベントではコスト最適化の柱に絞ってワークショプを行いました。
架空の事業者があり、そのインフラ構成、運用体制の設定があり、AWS Well-Architected Framework コスト最適化の柱の項目に沿って改善案を話し合っていくというものです。
イベントの模様は iret.media記事 をご参照ください。
今回のイベントに限らず、社内では AWS Well-Architected Framework の推進を行っており、関連イベントが積極的に行われています。

そんな AWS Well-Architected Mini Bootcamp for iret ですが、今回新たな学びとなったベストプラクティスを3つご紹介します。
コストを最適化するにはどんなことが大事なのでしょうか。

 

COST05-BP01 組織のコスト要件を特定する

企業の目的、課題、注力分野、リソース状況などによって、組織の優先順位は変わります。
それに沿ったコスト計画を立てましょう、という項目です。
コストを抑えることは大事ですが、それ以前にコストをかけてでも推し進めたい分野や優先事項があって然るべきです。
コスト最適化にはまず組織の優先順位を定義しましょう。という一見距離のある事柄がリンクしていることが少し新鮮でした。
目指すべきは組織の要件を最も効率的に満たすことであって、とにかくコストを抑えることではありません。

十分にコスト最適化されたワークロードとは組織の要件に最も適合するソリューションであって、必ずしも最低コストのソリューションとは限りません。

 

COST01-BP04 組織のプロセスにコスト意識を採り入れる

コスト効率をKPIとして取り入れ、コスト削減が評価される組織体制にする、というものです。
コストを最適化したいのはどの組織も共通だと思います。
しかし、それを重要な指標に落とし込んでいるか、また最適化した時に適正に評価される仕組みになっているか。
組織のプロセスとしてコスト最適化が組み込まれているかどうか、という視点は普段意識しない点であると感じました。

クラウドのコストをテクノロジーチームと、ビジネスチームおよび財務チームの意思決定者に報告して、コスト意識を高め、効率性についての重要業績評価指標 (KPI) を財務およびビジネス部門関係者向けに確立します。

 

COST01-BP01 コスト最適化の所有権を設定する

組織全体のコスト最適化を担うチームを編成して横断的に取り組む、という項目です。
特に規模が大きくなるにつれて組織が縦割りになり、部署外の指標と対立したり、全体像が見えにくくなることは想像に難くありません。
その中でもコスト最適化を推進するには、コストに関する専属チームの立ち上げが有効です。
AWS公式では Cloud Center of Excellence (CCoE) とかっこよく表現されています。

可視化でも分析でもサービス選定でもなく、専門部隊の編成がコスト最適化の柱の1番目のベストプラクティスに位置付けられているのは何とも趣深いものがあります。

組織全体のコスト認識を確立し、維持する責任を持つチーム (クラウドビジネスオフィス、Cloud Center of Excellence (CCoE) または FinOps チーム) を作成します。

4. 最適なコスト最適化

そして今日の結論です。

コスト最適化は「可視化→分析→最適化」のサイクルに加えて、組織の優先順位の定義、評価基準や制度、そして組織横断のチームが機能することで、効率的に実現できることを学びました。
手っ取り早くコスト削減を行いたいと考えがちですが、最適なコスト最適化を行うためには前後の工程がより肝心になるという話でした。

(そして弊社では最適化の実施はもちろん、可視化、分析についてもお手伝いさせていただきます!)

 

5. 参考書籍

『もっと絞れる AWSコスト超削減術』池山 徹 (著), 狩野 泰隆 (著), 小林 直貴 (著)
https://amzn.asia/d/bdafQ22