まえがき
クラウドインテグレーション事業部の村上です。
先日、「AWS Well-Architected mini boot camp @大阪」が開催され、私も参加させていただいたので、体験レポートを書いていきたいと思います。
「AWS Well-Architected mini boot camp」とは
AWS が主催している 「Well-Architected bootcamp」という ワークショップ の弊社 iret 個社向けのオフライン形式セミナーとなります。
AWS が主催している ワークショップ 同様に、仮想顧客のシナリオについてグループごとにAWS Well-Architected Frameworkを使ってディスカッションを実施、ディスカッション結果について発表します。
今回は「コスト最適化」をテーマに開催されました。
「AWS Well-Architected Framework」とは
AWS Well-Architected Framework はAWSのソリューションアーキテクトや、パートナー、ユーザーの経験を元にまとめられた、クラウドアーキテクチャのベストプラクティスです。
フレームワークは下記 6 つの柱に基づいています。
- 運用上の優秀性
- セキュリティ
- 信頼性
- パフォーマンス効率
- コスト最適化
- サステナビリティ
このフレームワークを使用することによって、信頼性が高く、安全で、効率的で、費用対効果が高く、持続可能なシステムを設計して運用するための、アーキテクチャに関するベストプラクティスを学ぶことができます。
ワークショップの流れ
当日のスケジュールは下記のようになっていました。
- 14:15-14:45 ① ルール説明とお題読み込みタイム
- 14:45-16:00 ② グループディスカッションタイム
- 16:00-16:15 休憩
- 16:15-18:00 ③ 発表とQA
- 18:00-18:25 ④ wrap-up、アイレットでの取り組み
- 18:25-19:00 ⑤ なんでも相談会、フリータイム
① ルール説明とお題読み込みタイム
最初にワークショップの説明と仮想顧客のシナリオの読み込みから始まりました。
シナリオの内容は公表できないのですが、顧客の現状の構成図や体制などの説明が記載されており、各自で内容の読み込みをしていきました。
② グループディスカッションタイム
事前に割り振られたチームごとに、「コスト最適化」の項目の中から3つが割り振られました。
私のチームは下記3つの項目が割り振られました。
読み込みを行ったシナリオについて、現状の問題点は何か、割り振られた「コスト最適化」の項目について、どうすれば改善できるかを各チームでディスカッションしていきました。
各自で内容の読み込みを行ってすごく静かだった会場が、ディスカッションが始まると各グループで意見の交換が始まり、すごく活気に溢れていました。
③ 発表とQA
各チームでディスカッションした内容を順番に発表していきました。
また、発表した内容についての QA も実施し、他のチームからも意見の交換がなされ、白熱していきました。
④ wrap-up、アイレットでの取り組み、⑤ なんでも相談会、フリータイム
各チームの発表とQAが白熱してしまいここでは十分な時間がとれず、wrap-up(まとめ)を実施してワークショップは終了となりました。
参加してみて
今回初めて 「AWS Well-Architected mini boot camp」に参加し、多くの学びを得ました。
また、各チームの担当項目は違ったのですが、発表を聞いていると同じ改善案や実施内容が多く見受けられ、「コスト最適化」の項目はいくつかに分かれているが、対応する上で重要なことは共通する部分が多いんだなと感じました。
発表された「コスト最適化」の実施内容について、いくつか簡単に紹介したいと思います。
・CCoEチームを設立する
CCoEとはCloud Center of Excellenceを略したもので、部署の垣根を超えて全社的に戦略的なクラウド化を進めていくための組織のことです。
一つのチームが開発・運用・改善・財務などすべての役割を実施していることはほとんどないと思います。
そのため、コスト管理には、組織内のすべての関係部署が貢献し、関心を持つ必要があります。
特定の部署内だけにとどまらず、横断的に協力できるチームを作れるかが非常に大きな鍵を握ります。
・使用リソースを把握する
部署や用途ごとにリソースにタグ付けを実施して行く。
部署・用途ごとにどのリソースで利用されているか、費用はどれくらいかかっているかが分かるようになり、予算予測や見直しに役に立ちます。
・Trusted Advisor で分析をする
Trusted Advisor にて利用頻度の少ないリソースなどコスト削減に役立つ推奨事項が表示されるので、内容を確認し対応が可能であれば実施することでコスト削減に繋がります。
・AWS Cost Anomaly Detection を利用する
コストの異常を検出でき、想定外のコスト発生(不正利用や過剰使用など)に気づくことができるようになります。
・用途に合わせて料金モデルを考える
Savings Plans、リザーブドインスタンス、スポットインスタンス を用途に合わせて活用することで、オンデマンドで普通にインスタンスを利用するよりもはるかにコストを削減させることができます。
しかし、利用するために要件にあっているかなど、よく確認する必要があります。
・運用・管理コストを考える
金額としては表示はできないが、コストを考える上で運用面のコストを考慮しないといけません。
すべての運用・管理を自分達で行っていたのでは、人手がいくらあっても足りなくなっていきます。
AWSのマネージドなサービスを利用することで管理コストの削減を考えたり、AWS Auto Scaling など自動化を活用することで運用コストの削減を考えます。
削減した運用・管理コストのリソースを、AWSの新サービスの情報収集や費用の見直し・改善に回していくことができます。
まとめ
今回初めて参加した「AWS Well-Architected mini boot camp @大阪」について、簡単に内容を記載させていただきました。
サービスを展開し運用・管理するにあたり、コストは絶対に付き纏ってきます。
「コスト最適化」というテーマでワークショップを体験する中で、仮想顧客のシナリオでも自分では考えてもいなかった確認項目や実施方法があり、ちょっとサービスや構成を変えるだけで大きく削減できることがあると学びました。
また、当初自分はコストと聞くと利用料などお金の部分に目がいってしまっていたため、多少費用が上がっても運用・管理コストを削減しそのリソースを他に回すことで、よりコストについて見直し・改善を実施していくという考えが強く印象に残りました。
私自身も AWS Well-Architected フレームワーク についてもっと学習していき、日々の業務に活かしていきたいと思います。
「コスト最適化」に限らず、AWS Well-Architected フレームワークは現状のワークロードの見直しにとても有用なツールだと感じています。
初めて実施するには難しい項目もありますが、AWS Well-Architected フレームワークの内容に目を通していただき、一度実施してみていただけると幸いです。
最後に
ここまでご覧いただきありがとうございます。
アイレットでは「Well-Architectedワーキンググループ」を作成し、AWS Well-Architected フレームワークのレビュー推進、ベストプラクティス項目の解釈や内容の議論などの実施、勉強会や今回のようなワークショップ開催など社内の Well-Architected の推進活動を実施しています。
また、AWS Well-Architected パートナープログラム という Well-Architected を扱う専門知識のあるパートナーを認定するプログラムがあるのですが、アイレットも「AWS Well-Architectedパートナー」に認定されております。
実際に弊社とご契約いただいているお客様のワークロードにてWell-Architected フレームワークのレビューを実施させていただき、セキュリティの向上やコスト削減に繋がったといった活用事例も多数ございます。
弊社「運用保守サービス」のご契約が必要とはなりますが、
- AWS Well-Architected を実施したいけど何をしたらいいかわからない
- 改善を行いたいが実施のためのリソースが不足している
など AWS Well-Architected ついてお困りごとありましたら、ぜひ当社にご相談ください。
AWS Well-Architected 以外のご相談も随時受け付けております。
お客様の課題に合わせて、「監視運用保守サービス」、「New Relic One 導入支援サービス 」等、当社が提供するサービスをご提案させていただきます。
ぜひお気軽にアイレットへご相談ください。