DX開発事業部の西田です。
我らがDX開発事業部、事業部長の石川が登壇する『生成AI活用最前線!生成AIを活用した第一興商様の業務改善システム開発』のセッションレポートを投稿します!
セッション概要
社内に眠るあらゆるデータが業務改善やビジネスチャンスとなる可能性を秘めています。Google Cloudの生成AIサービスがその可能性をさらに広げます。アイレットが第一興商様と開発した、生成AIを活用した業務改善アプリのプロジェクトについてご紹介します。
セッション内容
アイレットの会社紹介から始まり、次に第一興商様のご紹介。
本セッションの事例は第一興商様のカラオケ編成チームのもので、そのミッションはカラオケユーザーに対しいち早く歌われる音楽を提供することとなります。
事例の背景
本事例の背景にある音楽業界の現場から。
音楽は流行の移り変わりが非常に早く、常に新しい曲が生まれていきます。
音楽の流行の発信はテレビ・ラジオ、レコード会社などのマスメディア発信から、スマホ、SNSなどユーザー自身がインターネットメディアから見つける時代に移り変わりました。
そして今、AIからのレコメンドによりコンテンツ自身が消費者を見つける時代へと遷移しつつあります。
バズ・バイラルによって音楽が流行り、トップダウンからボトムアップへ流行の流れが変わった昨今、消費者の変化によりヒットの予測が困難になってきています。
VUCAというキーワードが表す変化の時代には、データによって意思決定を行うデータドリブンがより重要になります。
お客様の課題
カラオケ編成チームが抱えていた課題は何だったのか。
お客様リクエストフォームというユーザーからの楽曲配信のリクエストフォームがあり、そこに入力されるリクエストは顧客理解のための重要な情報となっている。
しかし、受け付けたリクエストの表記揺れ補正の業務負荷と集計にかかる時間による、コストとリードタイムが生じており、いち早くヒットソングをカラオケに提供することがミッションのカラオケ編成チームにとって課題となっていました。
アイレットのソリューション
そこでアイレットが提案したソリューションがリクエストデータの名寄せ作業を生成AIにより自動化することでした。
しかしその中にも3つの課題があり、それぞれに対してアプローチしていきました。
課題1 精度
LLMは学習時点の情報しか知らないが、音楽は次々新しい楽曲、アーティストが生まれていきます。
結果としてモデルがトレーニングされたあとの情報を聞かれることがハルシネーションを引き起こすことになります。
この課題へのアプローチとして Vertex AI によって提供される Grounding with Google Search を利用しGoogle検索を利用して回答を行うようにしました。
これにより名寄せの精度は99%になり、人間は残りの1%をチェックするだけでよくなりました。
課題2 コスト
大量の月次のリクエストデータに対して処理を行うため、モデルを利用するコストと実行時間も課題になった。
コストと速度には Gemini 1.5 Flash モデルを使うことでアプローチしました。
他社モデルに対して圧倒的な安さと速さを兼ね揃えたモデルで、Google Cloud は日本リージョンでのモデル利用にも他に先駆けて対応していたことを強調。
課題3 導入スピード
仮説を素早く低コストで検証する必要もあった。工期の長さはイニシャルコストにも直結する。
そこで取ったアプローチがGoogle Workspaceを利用して開発することです。
入力はGoogle Sheetsで受けて、参照はLooker Studio、Vertex AI と連携する処理は Google Apps Script で、すべてGoogle Workspaceを導入していれば無料で使えるサービスで構成。
慣れ親しんだ表計算のインターフェースで利用できるのもメリットです。
工期は1ヶ月で費用も小さく収まり、結果としてシンプルなシステム構成になりました。
システム導入の結果
名寄せの自動化のデモイメージ。
著作権の関係で最新曲でのデモは残念ながらお見せできず。
このように曖昧な人間でなければできなかったことを、Google CloudとGoogle Workspaceで安価でスピーディに実現できました。
業務への改善効果としても 業務負荷5人日を0人日に減らし、情報収集のリードタイム1ヶ月から3時間に減らすことができています。
これにより音楽を聴き、判断する時間をより作り出せるようになり、よりスピーディーにユーザーの最新の動向にキャッチアップできるようになった。
テクノロジーの観点での深堀り
従来の生成AIのイメージは対話型だったが、今回の事例は生成AIが業務タスクを自動化している。
データの観点ではこれは新しいETLとしてもとらえることができる。
総務省の統計ではデータ活用のためにデータの質を向上させたいという回答が最も多かったという調査結果がある。
Geminiの利用は参照だけではなく、本事例のように加工してデータの質を高めるということにも利用できる。
これにより、この事例のように正確なデータで意思決定、データドリブンが行えるようになる。
最後に
DXとは、より価値の高いことに時間を使い、より価値の高い体験を顧客に提供することである。
人手不足の時代にDXは企業おいて必須と言われている。
生成AIを活用することでアイレットはお客様に役に立つ活動の時間を生み出すことを実現できる。
アイレットは社内でも生成AIを活用した社内DXを推進している。
生成AIを通じてより豊かな未来をお客様と創造したい。
そしてGeminiのコスパは圧倒的であることを強調しセッションを締められました。
まとめ
背景と課題から順序だてて解決へのアプローチをストーリー性をもって進めておりとてもわかりやすいセッションでした!
誰もが自社で生成AIによるDXを推進したくなるような内容だったと思います。
第一興商様のプロジェクトは私もPMとして参加させて頂いておりましたのでとても思い入れのある事例です!
ぜひ導入事例や関連ブログもご覧になってください。
- 導入事例:生成 AI の活用で DX 促進! Google Cloud と Gemini で人的リソースのかかる集計業務を大幅改善
- ブログ:第一興商様導入事例とGoogle スプレッドシートとGeminiを組み合わせた生成AI活用について
導入支援サービスもございますのでお気軽にご相談を!