はじめに
8月は毎日暑い日が続いていますが、皆さんいかがお過ごしでしょうか。自分はパリオリンピックの中継やネット配信などを観ていたこともあり寝不足な日が多かったです。まだまだ厳しい暑さが続きますので体調を崩さいないようにご自愛ください。
さて今回は先日パシフィコ横浜で開催された Google Cloud Next Tokyo’24 のセッションレポートになります。基調講演を始め、いくつかのセッションを聴講してきたのですが、今回は『インクルーシブリーダーシップ 多様なチームを引入ためのスキルとマインドセット』について書きたいと思います。技術的なセッションではなくてカテゴリとしては DEI(ダイバーシティ、公平性、インクルージョン)
になります。自分自身この分野について勉強不足というか知らない事も多いのですが、自分なりに感じたことや気付き、新しい発見などまとめてきたいと思います。最後までお付き合い頂けると幸いです。
Google Cloud Next Tokyo’24について
Google Cloud Next Tokyo’24は2024年8月1日、2日と神奈川県のパシフィコ横浜で開催されたGoogleの最先端クラウドテクノロジーを体験できるイベントです。生成系AIはもちろんGoogle Cloudに関する様々なセッションが用意されていてどのセッションも面白そうで選ぶのが大変でした。自分は基調講演と、技術的なセッションをいくつか申し込んでいたのでそれぞれ聴講し、最後にDEIに関するセッションを聴講しました。
Google Cloud Next Tokyo ’24
アイレットのエンジニアブログでは沢山の方がセッションレポートなど記事にされていますのでぜひ参照してみてください。
Google Cloud Next Tokyo ’24 | iret.media
なぜこのセッションを選んだのか
多様性を受け入れる事についてやや漠然としていたので、具体的な行動に移せるようになるといいなと思いこちらのセッションを聴講しました。日頃から仕事をする上では広い視点を持つように、また柔軟に考えるように意識しているつもりではありますが、こういった分野は知らないと行動に移せないことも多いです。今回はGoogle Cloudのイベントということで、Google Cloud社を始めパネリストとして登壇される各社の具体的な取り組みを聞くことができると考え選びました。
『インクルーシブリーダーシップ 多様なチームを引入ためのスキルとマインドセット』
セッションの概要
イベントの公式サイトにはこのセッションについて以下のように記載されていました。
正直、ここに書いてある内容でも知らないこともあったりして聴講前にもう少し勉強しておけばよかったなと思いました。
登壇者の方々
パネリストさんの自己紹介と共にそれぞれDEIに関する社内の取り組みなどを紹介されていました。
モデレータ
- Google Cloud 深堀 まど佳 氏
パネリスト
- イオン株式会社 江藤 悦子 氏
- アクセンチュア株式会社 堀江 章子 氏
堀江さんの自己紹介の中ではアクセンチュア社の取り組みをご紹介頂いていました。
右上にある『2025年までに社員の男女比を50:50にする』という目標は非常に難しく高い目標ですが、こういった高い目標を掲げることで活動や取り組みを推進していく原動力になるのかなと思いました。素晴らしいですね。
パネルディスカッションのテーマ
パネルディスカッションのテーマは3つです。
1. マインドセットとリーダーシップ
2. スポンサーシップとAllyship
3. 組織の中でDEIを推進するスキル
それぞれどんな話をされていたのかピックップします。
1. マインドセットとリーダーシップ
DEIの推進、多様なチームの率いていくために必要なこと、それは企業価値を向上させる上で社会指標が重要になってきている、という状況を理解する事が大事だというお話でした。もちろん企業価値を決めるうえで財務指標は重要な要素であることには変わりはないが、『社会指標』も重要な要素として求められているようです。
ここで紹介されていたのが『企業価値への影響度が高い指標TOP30』です。
企業価値への影響度が高い指標TOP30の中にこんなに多くの社会指標が含まれているのにビックリしました。10年、20年前だと売上利益や時価総額といったファイナンスのみが重視されるような風潮もあったと思いますが大きく変わってきているんですね。もっと世の中の事を知らないといけないなと思いました。
スライドにも掲載されている社会指標の各項目です。
社会指標に関する項目(赤枠のみ抜粋)
・ 役員女性比率
・ 役員女性人数
・ 部長職以上女性比率
・ LGBTに対する何らかの取り組み
・ 在宅勤務制度
・ LGBTに対する基本方針の有無
・ 保育設備手当
・ 産休取得者数
また大事なこととして 男性優遇社会やハードワークといった日本文化の悪印象に対する改善アクションが効果的 という話しもありました。自分も比較的男性が多い会社で働いているので少し耳が痛いところもありますが、多様な人材を受け入れるという事を実現するためには大事なことだなと思います。アイレットでは育休制度を取得する男性社員も増えてきているようですが、まだまだ改善していかないといけないところはあると思います。もちろん絶賛取り組み中という部分もあると思うのでぜひアイレットメディアを通じて発信していってもらいたいですね。
尚、セッションを聞いただけでは分からないことも多かったので、下記のサイトなどを参考にしました。
ESG指数とは? ESGの解説と事例をご紹介! | LINE投資部
ESG投資|年金積立金管理運用独立行政法人
2. スポンサーシップとAllyship
DEIを推進していく中でどういったスポンサーシップ、Allyshipが行われているのかという話しです。DEIの推進というのはやれといってすぐにできることではない、そのため各企業は社内はもとより社外での支援活動が必要になる。そういった状況の中でイオンさんやアクセンチュアさんでどういったスポンサーシップ、Allyshipが行われているのかを紹介して頂きました。イオンさんでは事業部横断のサポート制度があるようで、役員候補になる方へのサポート、スポンサーシップなどが制度化されているようです。また社外でのスポンサーシップということではLGBTQのイベントに参加したり障害者雇用のサポートも行っているようです。
以前の会社で少しだけですがLGBTに関して勉強する機会がありました。元々自分はあまり関係の無い話しかなと思っていたんですが、調べてみると色んな会社で色んな取り組みをしていたり、様々なイベントや活動があることを知りました。積極的な支援やサポートというのは難しいですが少なくとも多様性を受け入れるという考え方だけは持っていたいなと思っています。
また会社としてスポンサーシップやAllyshipを仕組み化していくのは非常に大事だなと思いました。仕組み化しないとどうしても個人やその現場だけでどうにかしないといけないといった局面になってしまいます。些細な所からでも仕組み化してサポート、支援できる環境になると組織としても柔軟になっていくのかなと思います。
3. 組織の中でDEIを推進するスキル
会社という組織の中で何か新しいことに取り組んでいくのは非常に労力が必要で、問題や課題も多いと思います。パネリストの方々もきっと色んな苦労を乗り越えて成果を残しているんだと思います。DEIを推進していくにはどういったスキルが求められるんでしょうか。非常に興味があるテーマでした。
お話しされていたことは非常に深い話しが多かったです。綺麗に整理するのができなかったのでそのまま箇条書きで失礼します。
- 人のマネジメントはマニュアルではできない
- 「相手に関心を持つ」事が大事
- 個人を尊重する、個が活きるようにすることが大事
- プロジェクト制で進めていくためにはお互いに関心を持つ必要がある
- 相手の話をしっかり聞いて理解する(傾聴)
- どこの会社も人材不足な状態
- 一人ひとりの可能性を信じて期待を伝える
これらの話しは組織やチームをマネージメントをする上で、さらには人と一緒に仕事をしていく上で基本的で重要な事ばかりでした。自分もあまりできていないなと思うこともあったので一つずつでも実践していけるように頑張ります。
感じたことや気付き、学んだこと
今回のセッションを聴講していて気づいたこと、学んだ事を整理しながらまとめます。
- そもそもこのセッションに関する基本的な知識が足りてなかった
- 令和の時代における組織づくりのポイントについて聞くことができた
1. 基本的な知識が足りてなかった
自分用のメモに近いんですが理解を深めるために分からなかった事や今回のセッションを聴講して調べたことなどを記載します。
『インクルーシブリーダーシップ』とは
セッションを選んでおいて何なんですが インクルーシブリーダーシップ という言葉はセッションを聞くまで知りませんでした。恥ずかしながらセッションが始まってからスマホで調べならが聞いていました。
HRmosさんのサイトから引用させて頂くと
インクルーシブ・リーダーシップとは、組織内の多様性(ダイバーシティ)を受け入れ、違いを尊重しつつ、チームや組織のメンバー全員の力を最大限に活用して共通の目標に向かうリーダーシップスタイルのことです。インクルーシブ・リーダーは、異なる文化的背景や経験、思考の人たちを包括し、各々が安心して自分の意見やアイディアを表現できる環境を作り出します。
と書かれています。なので役職や役割などでは無くてリーダーシップのスタイルの一つのようです。インクルーシブな思考を持つリーダーさんって事ですね。なるほど。こういう考え方は管理職の人はもちろんですが若い人達にもぜひ知ってもらいたいですね。今後、リーダーシップを形成していく上で大事な考え方だと思うので。もちろん、若くない人にとっても大事な話しです。
インクルーシブ・リーダーシップとは?リーダーの種類とインクルーシブな人材の育成
『DEI』とは
冒頭から 「DEIを推進するには…」といった形でお話されていたんですが自分の中では全くイメージがつかず、セキュリティ関連の用語?新しい技術?など頭の中を駆け巡りました。そしてすぐさまスマホで検索しました。
PR TIMESさんのサイトから引用させてもらいます。
DEIとは「ダイバーシティ(多様性)」「エクイティ(公平性)」「インクルージョン(包括性)」の頭文字からなる略称。企業経営において、従業員それぞれが持つ多様な個性を最大限に活かすことが、企業にとってより高い価値創出につながる、という考え方です。
という事のようです。3つの概念それぞれが簡単に理解できることでは無いですが今の時代はこういった事が求められているんだとだけ認識しました。まあ逆説的に考えると分かりやすいかも知れないですね。極端ですが、多様性が認められない、不公平、閉鎖的・排他的、そういった環境ではなかなか気持ちよく仕事をするのは難しいな、と。(間違ってたらすいません)
『Allyship』とは
この言葉も自分は馴染が無かったです。そもそもAllyから分からなかったので。
辞書的な意味では、(1)同盟国、(2)支援者といった意味があるようです。
では会社やDEIという文脈ではどういった意味で使われるのでしょうか。
調べてみると色んなサイトがヒットします。こちらもなかなかすっと理解するのが難しそうですが、Meta社のWorksplaceでは以下のように記載されていました。
職場でのアライシップとは、自分自身はそこに属していなくても、社会的に疎外されている集団に属している人びとの擁護者になることです。
ちょっとこれだけだと理解するのは難しいです。が、続けて以下のようにも記載されてます。
アライシップとは、会話をすること、話を聞くこと、自ら学ぶこと、そして関わり続けることです。
なるほど。セッションで話されていたことともリンクしてきました。相手に興味を持つこと、会話する・傾聴すること。簡単そうに見えますが実践するのはそう簡単では無いですね。Allyshipというのは非常に深い言葉だなと思いました。こういった言葉は独り歩きしやすかったりするので自分自身も使い方は気をつけたいです。
こちらはAllyshipについて調べていた際にざざっと読んだ記事です。
企業がアライシップを育むための4つのアプローチ
2. 令和の時代における組織づくりのポイントについて聞くことができた
これまでいくつかの会社で仕事をしてきましたがマネジメントについてしっかりと指導を受けたり研修をする機会というのはあまりなかったです。その時その時必要な事を自分で調べたり勉強したりと最低限の事はやっきたという状況です。ただこのセッションでは今、もしくはこれからの組織づくりに必要となる大事な話しを聞くことができたと思いました。事業規模を拡大していくためには人的リソースの拡充が必要ですがどこもの会社も人材不足です。きっと。そして今後企業として成長していくには多様な人材を受け入れる必要がある。また成果を求めるためにはエクスクルーシブ(排他的)では無くインクルーシブ(自分の言葉では寛容と相互理解)な思考が求められる。難しい話しが多く、簡単にできることも無いですが実践していく必要はあるのかなと思いました。
改めてこのセッションを聞いて大事だなと思ったこと
- 相手に関心を持つこと。相手を理解するためにもしっかりと話しを聴くこと。(傾聴)
- 一人ひとりの可能性を信じること。
- リーダーの育成には1on1やコーチングが大事
- 期待していることをしっかりと伝えること
- ロールやチームで括るのではなく一人ひとりの個に注目してマネジメントする
- IT技術に限らず組織づくりについても新しい知識の獲得に向けて積極的に行動することが大事
あとがき
Google Cloud Next は初めて参加したんですが生成系AIはじめ色んなテクノロジーの話しが聞けたり体験することができてとても勉強になりました。またセッションの内容を聞いているとエンジニアをはじめ仕事をする人やその環境に関する話しが多かったかなと思いました。AI技術を活用することでエンジニアはもちろん、エンジニアでは無い人も仕事の仕方がどんどん変わっていくんだと思います。
普段はAWSを使う機会が多いのですがGoogle Cloudに関してももう少し触ってみようかなと思いました。
そういえば既に来年の予定も出ていました。来年は2025年8月5日(火)、6日(水)で場所は東京ビッグサイト南展示棟で開催されるようです。都合をつけて参加したいと思います。
最後までお付き合い頂きありがとうございました。