8/29(木)にSony Startup Acceleration Program(SSAP)が主催する年に1度のイベント。
Sony Open Innovation Day 2024」に参加してきたのでイベントレポートを投稿します!

ゼロから20の新規事業を創出してきたSony Startup Acceleration Programによる年に1度のスペシャルイベント。社内起業家をはじめ新規事業をテーマに活躍する挑戦者が、新規事業創出のヒントや実例を共有します。

会場

ソニーグループ本社(品川)でのリアル開催でオンライン配信もありましたが、現地に赴きました。

受付でノベルティのトートバックとボリュームたっぷりのパンフレットを頂きます。

会場マップです。
大きくセッション会場と展示エリアに分かれており、途中で抜けてワークもできるWi-Fiエリアもあります。
展示エリアではSSAPの支援で立ち上がった新規事業で生まれたプロダクトが展示されており、どれも興味を引くものでした!

事業化されたものはSSAP公式サイトからも確認できます。

Sony Startup Acceleration Programは、起業のノウハウと環境の提供を通じてクリエイターのビジョンを実現し、イノベーションエンジンとして、より良い社会を創っていくことを目指します。

セッション

以降は参加したセッションについての概要メモや感想となります。

開催挨拶

ソニーグループ株式会社 Startup Acceleration部門 部門長 Sony Startup Acceleration Program 責任者
小田島 伸至 様

  • SSAPは10年前にソニー社内向けの新規事業創出のために始まり、5年前からは社外にもそれを広げてきている。
  • 新規事業開発をずっと続けてきたなかの気づきとして2つある
    • 1つは、事業を作るのは人を幸せにするということ。新しいものを作るとお客様に喜ばれる、作る事業側も幸せになる。
    • もう一つは事業の作られ方。ある1人のちょっとした思いつきが、大きな事業の一歩目のことが多いということ。
  • 事業創出のプロセス
    • 発想の重要性: 事業は、一人の「ちょっとした思いつき」から始まることが多い
    • 共創の力: 事業を成功させるためには、様々な人々と連携し、共創することが不可欠
    • 多様性の価値: 様々なバックグラウンドを持つ人々が集まることで、より革新的なアイデアが生まれる
  • 本日のテーマは境界を超えること
  • 色々なアイデアや打開策は色々な人を取り込む、知り合いになること広がっていく
  • 重要なことは部門や業界の境界を超えていくこと

基調講演:Beyond the boundaries

ソニーグループ株式会社 取締役 代表執行役 社長 COO 兼 CFO
十時 裕樹 様

  • SSAPが生まれた10年前のソニーは業績的に厳しい時代にあった
    • 次世代を支えるために新規事業の開発が必要であった
  • SSAPが成長した理由は「Small Start, Quick Win」
    • 小さな成功体験を積み重ねて共有することで、事業や組織のスムーズな運営につなげたことがプログラムの成功の一因である
  • ソニーは事業を6つのセグメントに分けた。今はエンターテインメントがポートフォリオの6割を占めている
    • エンゲージメントプラットフォームの構築: ソニーグループ全体のネットワーク基盤であるエンゲージメントプラットフォームを構築し、顧客とのエンゲージメントを深める
    • IP 360: IP(Intellectual Property)を最大化するために、様々なタッチポイントでIPを活用し、ファンとのエンゲージメントを深める取り組みを推進し、このプラットフォームをエンターテインメント業界全体で利用されるものにすることを目指す
    • クリエイターの支援: クリエイターがより創造的な活動を行えるよう、ツールや環境を提供し、コミュニティを育成
  • Beyond The Boundaries
    • 境界を超えてグループ全体のシナジーを強化していく
    • 多様性を受け入れ、異なるバックグラウンドや専門知識を持つ人々が協力することで、新しいイノベーションを生み出すことを目指す
  • Boundary Spanner
    • 知の共有と境界を超えたつながり
    • 異なる企業間、組織間の壁を取り除くカタリストとなる
      • 社内の部門間や社外のパートナーとの連携を強化し、エンターテインメント、技術、そして顧客体験において新しい可能性を追求する

Boundary Spannerはこちらのニュースで知っていたワードです。

ソニーグループは事業の枠を越えて相乗効果を生み出す「越境経営」に再成長の活路を求めている。2010年代の不振から劇的な再生を遂げたものの利益の推移は踊り場にあり、十時裕樹社長が全社員に「バウンダリースパナー(越境者)たれ」と呼びかける。売上高が最も大...

電機メーカーとして有名になったソニーが様々な事業を生み出し、成長させ続けているのは部門をまたぐ越境者を、トップメッセージで育てているからなのですね。

この講演を聞いて、ソニーが持っている強いビジョンと、それを実現するための具体的な取り組みがとてもよく伝わってきました。特に、多様性とイノベーションを進めるために、さまざまな境界を超えた協力が大切だという点が印象的であり、これがエンターテイメント業界の最前線でリードし続けるための戦略であるのだと、とても興味深く感じました。

セッションのあとは、Q&Aセッションがあり事前に募集のあった質問をその場で十時社長にお答え頂いたあと、会場から挙手制で直接ご質問する機会もあり驚きました。
質問者は企業の新規事業部門の方から、大学生まで、色々なかたが皆熱意をたっぷりで質問しており、十時社長はどの質問にも真摯に答えていらっしゃいました。

QAでは、多くの人を巻き込む力やオープンマインド、リーダーシップやマインドセットについてなど、濃いお話を聞けました。特に印象に残ったものは、イノベーション、クリエーションを続けていくコツという問いに対して。

  • 本当に心からやりたいと思って続けていけるか、新しいことは常にタフである、なにかに合わせたりやらされてる感覚ではできない。

また、本セッションは日経新聞にも取り上げられていました。

ソニーグループは28日、10周年となる起業支援事業のイベントを開いた。業績低迷下の閉塞感の打破を狙った社内起業の支援から始まり、支援対象を外部企業にも広げ、社内外のアイデアや技術が交わる仕組みを作ってきた。ゲームや映画、カメラや半導体など多岐にわたる...

ゲストスピーカーセッション:ワンチームで困難を乗り越える強い組織の作り方

宇宙飛行士・東京大学先端科学技術研究センター特任教授
野口 聡一 様

  • テーマはチームビルディングとコミニケーションと多様性
  • NASAでの経験から、チームビルディング、リーダーシップは後天的なものと考えている。どの国の人でも後天的に学ぶことができる。
  • タックマンモデルにおけるチームのステージ
  • 集団が多様化すると落ち込みが起こる、これは、起こるべきして起こり、避けることはできない、また避けることは得策ではない。
  • チーム形成の初期段階では、メンバー間の信頼関係構築が重要であり、その後、多様な意見が衝突する段階を乗り越えることで、チームはより強固になる
    • リーダーは、メンバーの意見を尊重し、状況に応じて目標を柔軟に修正していくことが求められる
  • 20世紀の日本は均質的な組織で固定化された目標で成果を出してきた。
  • 時代の要請により変化の大きい時代に固定化された集団で立ち向かうのは難しい
  • 多様な組織は横槍に強くなる、対応策が出てくる。
  • ティールな組織
    • 個人の幸福と組織の目標の共鳴を目指す
  • イノベーションは手段であって目的ではない
    • 数値目標は進化ではない
    • 環境にいかに適合していくかが進化
    • 変わることを厭わない

宇宙飛行士の経験に基づいたチームビルディングの話は、非常に興味深く、多くの学びがありました。特に、多様性のあるチームが、変化の激しい時代に対応できる強みを持つという点は、現代の組織においても非常に重要な視点だと思います。
また、講演の中で印象に残ったのは、「個人の幸福と組織の目標を共鳴させる」という言葉でした。従来の組織では、組織の目標が優先されがちでしたが、現代では、個人の成長と幸福も重視されるようになってきています。このバランスをどのように取るかが、これからの組織にとって大きな課題となると思いました。

こちらもQ&Aセッションがありました。
印象に残ったのは部下の対立の妥協点の見出し方です。

  • チームの混乱期において、対立しているメンバーが同じほどハッピーになる場所を見つける必要はない、なんとなくそうするのがいいように思ってしまうけれど
  • 「Equal share of unhappiness」。むしろ同じくらいみんなが不公平感を抱えるように調整するのがよい

Sony Startup Acceleration Program(SSAP)セッション

ソニーグループ株式会社 Startup Acceleration部門 部門長 Sony Startup Acceleration Program 責任者
小田島 伸至 様

  • なぜSSAPを始めようと思ったか
    • 10年前ソニーが苦境に立たされていたとき「何故、新しい事業が生まれてこないのか」と気付いた
    • 色々の部門を周りヒアリングすると皆新規事業を立ち上げるのに課題を抱えていた
    • 縦割り、アイデアをどこに持っていけばよいか、決定が遅い、前例主義など
    • そこで会社に解決のためのプログラムを始めることを提案した
    • これを始めてみたら社内から熱狂が生まれた
  • 「あらゆる人に創造の機会を提供し実現と結合をバックアップするシステムを創ろう」
    • アイデア=人は脆く、バックアップがないと頓挫してしまう
  • 社内から社外に目を向けて5年前、これまで248社の利用がある
  • サービス利用後の声を必ず頂いている
  • 事業を作ると必ず経営人材が生まれる
  • Possiの事例のように各社が垣根を超えて手を取り合って事業が生まれることがある。
    • これは座組ありきではなく目標ありきで始まる
  • 今後のSSAPの進化の方向性
    • Phase1(2014〜2018)社内新規事業 0を1に10に
    • Phase2(2019〜2023)社内新規事業 ここでも0を1に10に
    • 事業を立ち上げても潰れていってしまうことがある。そこで
    • Phase3(2024〜)事業開発 10を100に
  • 次の取り組みは10年で考えている
    • 日本は課題に囲まれてる、事業創出とその能力を磨くことでこれを打破したい
  • 境界をこえた連携、バウンダリースパニングが必要。
    • SSAPの今後のテーマは「連携」
  • 連携しやすくする5つの仕組み
    • 1.課題とソリューションを共有(新規事業の課題50
    • 2.ベストソリューションの開発に向け外部パートナーと連携する
    • 3.プロセスをIT化して連携しやすくする(StartDashStartDash Office、Partner Portal、SSAP公式サイト
    • 4.つなぐ専門チームが連携を実現(Boundary Spanning Team)
    • 5.グローバルで連携する(SSAP Global)

SSAPの軌跡と今後の方針にとともに最後にリブランディングの発表もありました。
今後は事業創造の場作りの意味を込めて、「Sony Acceleration Platform」となるそうです!


その後もパネルディスカッションやイノベーターセッションが続くタイムラインでしたが、業務の都合で途中で切り上げてしまいました。
最後に懇親会もあり、会場にいた新規事業への熱意あふれる方々と交流してみたかったですね。

自分も何かアイデアを形にしてみたいと思えるとても素敵なイベントでした!