まえがき
Amazon RDS(Relational Database Service)はデータベース管理を簡素化し、開発者がアプリケーションに集中できる環境を提供しています。しかし、データベースのバージョン管理やサポートに関する課題も存在します。特に、特定のデータベースエンジンやバージョンがサポート終了を迎える場合、システムの安全性やパフォーマンスに影響を及ぼす可能性があります。そこで、AWSは「延長サポート」機能を提供しています。
本記事では、Amazon RDSの延長サポートで学んだことの共有を目的としています。
Amazon RDS 延長サポートの使用
Amazon RDSの延長サポートは、特定のデータベースエンジンやバージョンが通常のサポートを終了した後も、一定期間利用可能なサポートを提供します。
この機能を使用することで、古いバージョンのデータベースを運用している企業でも、安心して運用を続けることができます。具体的には、延長サポート期間中に必要なバグ修正やセキュリティパッチを提供し、運用上のリスクを軽減します。
(Amazon RDS 延長サポートの使用)
Amazon RDS 延長サポートにおける Amazon RDS とお客様の責任
延長サポートを利用する際、AWSと私たちユーザーの責任が明確に分かれています。
AWSは、必要なセキュリティパッチやバグ修正を提供しますが、お客様にはその情報を基にシステムを適切に管理し、必要に応じてアップグレードを計画する責任があります。このため、ユーザーは定期的にサポートポリシーや更新情報を確認し、計画的な運用を行うことが重要です。
(Amazon RDS 延長サポートにおける責任)
Amazon RDS 延長サポート料金
延長サポートは便利な機能ですが、その利用には追加料金が発生します。具体的な料金体系は、データベースの種類や使用状況に応じて異なるため、事前に確認が必要です。請求される RDS 延長サポート料金は、1 時間あたりの vCPU 単位の料金です。
そしてAWS リージョン、 およびそのバージョンの標準サポートの有効期限が切れてからの暦年数によって金額が異なります。アジアパシフィック (東京)リージョン(ap-northeast-1)であれば、以下の添付画像の料金形式になります。(2024年11月現在)
標準サポートが切れてからの2年目までと 3年目で料金が異なるのも要注意です。
また、RDS 延長サポートの追加料金は、以下のいずれかのアクションを実行すると、自動的に停止します。
- 標準サポートの対象となるエンジンバージョンにアップグレード
- RDS 標準サポート終了日を過ぎてメジャーバージョンを実行しているデータベースを削除
そのため、延長サポートのご検討をされる際は利用中に追加料金が発生することお気をつけください。
(Amazon RDS 延長サポート料金)
Amazon RDS 延長サポートの登録について
延長サポートを利用するためには、対象のDBインスタンスまたはマルチAZ DBクラスターが正しく登録されていることを確認する必要があります。
延長サポートの登録方法については、DBの作成時に[エンジンのオプション] 内にRDS延長サポートの有効化のチェックボックスがあります。延長サポートが必要な場合はここでチェックをします。
既に作成されているDB インスタンスがRDS延長サポートに登録されているかの確認は、該当DBインスタンスの[設定] タブの [RDS延長サポート] で、有効か無効の記載があります。
なお、RDS延長サポートが無効となっているインスタンスについては、RDS作成時に[RDS 延長サポートの有効化] を選択しなかったため「無効」となっているかと思われます。
こちらが現在「無効」となっていて「有効」にしたい場合、以下ドキュメント記載の通り「スナップショットから復元するときにのみ設定」することが可能となります。
スナップショットから復元時に[RDS 延長サポートの有効化]にチェックボックスを入れていただくことで有効にすることが可能となります。
(MySQL バージョンをアップグレードした後も「RDS 拡張サポートが有効」と表示されるのはなぜですか?)
「EngineLifeCycleSupport」の値は、クラスターを作成するとき、またはスナップショットから復元するときにのみ設定できます。これは、お客様が RDS 拡張サポート料金の対象であることを示すものではありません。
また、Amazon RDS 延長サポートを無効化している場合、 標準サポートの終了日以降、自動的に標準サポートされているメジャーバージョンへアップグレードされます。
Amazon RDS は DB インスタンスまたはマルチ AZ DB クラスターをサポートされるエンジンバージョンへアップグレードします。このアップグレードは、RDS の標準サポート終了日に、またはその直後に行われます。
関連リンク
AuroraのPostgreSQLとMySQLについて弊社エンジニアがより詳細な記事を執筆しておりますため、こちらもご参考になるかと存じます。
Amazon RDS 延長サポートについて〜Aurora PostgreSQL編〜
Amazon Aurora MySQL 2 の延長サポートについて
まとめ
AWSのRDS延長サポートは、ビジネスの継続性を保ちつつ、リスクを軽減するための強力な手段です。
しかし、利用にあたっては責任の分担や追加料金が伴うため、事前にしっかりと理解し、計画的な運用を行うことが重要になりますため、公式ドキュメントと共に本記事もご参照いただけますと幸いです。