こんにちは、MSPの田所です。
AWS re:Invent 2024 がついに終わってしまいました、、涙
スケジュールの都合で泣く泣く諦めたセッションがあったのですが、後追いでレポートします。
MSP必見の内容です。
セッション情報
Transform your cloud MSP with the power of AWS AI
生成 AI で MSP の運用に革命を起こします!
This session explores how generative AI can revolutionize IT operations for managed services providers (MSPs). Leveraging AWS services like Amazon Q and Amazon Bedrock, generative AI automates tasks, predicts incidents, and enhances decision-making. Real use cases demonstrate generative AI’s impact on cost savings, reduced downtime, and improved service quality. Key topics include automating incident triage with dynamic runbooks, knowledge management, service desk automation, and AI-powered SLA reporting. A hands-on demo showcases how generative AI accelerates incident triage through AI-driven recommendations. This session is intended for AWS Partners.
生成 AI が運用のコスト削減、障害復旧、トリアージ、ナレッジ管理、SLA管理、何でもサポートします!
Session types: Breakout session
1時間の Breakout セッション
YouTube リンク
今回のまとめ
- 生成 AI の活用範囲は幅広い
- MSPも生成 AI 活用を推し進めるべし
- 責任ある AI であることも忘れずに
セッションの詳細
1. 生成 AI ができること
世を賑わせている生成 AI ですが、活用するにあたり得意分野があります。
以下の領域が取り上げられていました。
- コンテンツ生成
- 文書生成:製品紹介、ブログ
- 画像生成:商品画像、試着サンプル画像
- コード生成:ソフトウェア作成
- 自然言語処理
- チャットボット:顧客との自然な対話
- 要約:大量のデータの要約
- 自動化:作業の実施および最適化
- 検索:ユーザーの意図を理解した上での検索機能
一口に「生成AI」と言っても、その使い道は多岐に渡るというものです。
そしてそれぞれに適したモデルが存在します。
2. MSPの新しい世界
MSP (Managed Service Provider)、つまりお客様環境の監視運用保守業務を担うチームとして、今後生成 AI とはどう関わっていくのでしょうか。
今がちょうど、急速に変貌を遂げる「Sカーブ」の時期だと言われており、その変革の中心に生成 AI がいます。
2015年頃から RPA(Robotic Process Automation:操作の自動化)、IDP(Intelligent Document Processing:画像データからの入力やその後の処理)など自動化のための技術が登場していました。
そこから機械学習、深層学習、生成 AI と技術の実用化が進み、できることの幅が格段に広がりました。
MSP が今後乗り越えるべきチャレンジとして以下の点が挙げられます。
- AI/ML を備えたツールの活用
- 顧客の高い期待値への対応
- 顧客満足に繋がる高付加価値の提供
- データのセキュリティ、コンプライアンス遵守
- 顧客データからのインサイト取得
特に新しいツールの導入、適応が重要事項とされています。
3. 生成 AI が活躍できる領域
MSPにおいて生成 AI を活用できるシーンは幅広く考えられます。
- ビジネス
- ビジネス:クラウドの収益モデル
- 組織:クラウド推進
- ガバナンス:プロジェクト管理
- テクニカル
- プラットフォーム:運用システムの構築、管理
- セキュリティ:データ、アプリ、IAM
- 運用:サービスレベル、可用性、コストの管理と改善
MSP 業務のほとんどの場面で何らかの形で生成 AI が役立つと言えるのではないでしょうか。
特に有効活用できそうな領域として、以下がピックアップされていました。
- イベント管理:インシデントの要約、分析、予知など
- ナレッジ管理:社内ナレッジの管理、検索など
- 自動化:単純なタスク、文書作成、インシデントトリアージの自動化など
- 顧客体験:フロント業務サポート、感情分析、パーソナライズなど
- スタッフの生産性:シフト引き継ぎ、顧客向けチャットボット、スキル向上など
- レポート:SLA、コンプライアンス、動的ダッシュボードなど
例えば最後の「レポート」のうちのダッシュボード作成では、以下のように生成 AI が活用できます。
- CloudTrail, VPC Flow Logs, Security Hub の情報を Security Lake に集約して S3 に保管します
- それを QuickSight の Amazon Q との統合機能を使ってクエリするように設定します
- すると、Amazon Q in QuickSight にダッシュボードの作成を自然言語で依頼すると、指示に沿ったダッシュボードが作成されます
ユーザーは自然言語で依頼するだけ、という何とも使い勝手の良いシステムです。
逐一クエリを作成したり、どこのデータを取るか考える必要があったことを考えると、劇的な生産性向上が見込めそうです。
4. 責任ある AI
そんな便利な生成 AI ですが、使用するにあたり当然リスクも付きまといます。
そこで大事になる概念が「責任あるAI」です。
生成 AI の便利さを享受しつつも、誤情報、機密情報漏えい、悪用などのリスクはできる限り抑える措置を取りましょう、というコンセプトです。
ブラックボックスとなり得る仕組みを一気に導入するのではなく、
リスクを精査、対策して、入念にテストを繰り返しながら、少しずつ生成 AI の適用範囲を拡大することが大事になります。
プロジェクトを少しずつ推し進めるアジャイル的な発想がますます重要になりそうですね。
MSPとして
1. 生成 AI の導入は急務
単純な作業の自動化から、ナレッジやSLOの管理、スキル向上まで。
正直ここまで活用が考えられるとは思っておらず、その幅広さに驚きました。
弊社としても自動化は進めており、サポートデスクチームでの生成 AI 活用がスタートしています。
しかし運用チームのメイン業務であるアラート対応においても導入は急務であると感じました。
活用できる範囲が広いことが念頭に、生成 AI を取り入れていかねばと思います。
2. 現実的に考慮すること
とはいえ現実的なハードルも存在します。
具体的な運用プロセスをどう変えるか、生成 AI が間違った判断を下さないか、情報管理を適切にできるか、生成 AI 側のシステムのコストや責任範囲をどう置くか、などなど。
急務と言いつつも、落としてはいけないポイントを入念に洗い出す必要がありそうです。
責任ある AI 大事。
おわりに
改めて生成 AI の無限の可能性を感じたセッションでした。
これを1から開発するのは無謀ですが、サービスを使いこなせば実現できる世界になったことに感動を覚えます。
マネージドサービスは本当にすごい。
おしまい
2024年12月19日(木)18時より、「AWS re:Invent 2024」のポイントを解説する「AWS re:Invent 2024 re:Cap presented by iret」を開催します。 |