1. はじめに

こんにちは、MSPセクションの毛利です。

MSPセクションでは、cloudpack の中でも多くのお客様にご利用いただいている「24時間365日有人による監視・運用」サービスを提供しております。さらなるサービス品質の向上を目指し、一次対応時間削減や業務の改善などに取り組んできました。

そんな日々の取り組みの中で「ITILの活用が、これらの取り組みを体系的かつ効果的に進める有効な手段になるのでは?」と考え、先日ITILファンデーション試験を受験し、無事合格することができました。

このブログでは、ITILファンデーション試験の学習を通して得た気づきや、今後のMSP業務への活用案や注意点などについてまとめたいと思います。

2. ITILとは?

ITIL(Information Technology Infrastructure Library)とは、ITサービスマネジメントのベストプラクティス集です。世界中で広く活用されており、ITサービスの品質向上に大きく貢献しています。

ITILの全体像を掴むには、PeopleCert社HPのITIL®4 Guiding PrincipleにあるITIL 4 サービスバリュー・システム フローを確認することをおすすめします。

ITILは、サービス・バリュー・システム(SVS)という概念を中核に置いています。ITIL 4 サービスバリュー・システム フローは、組織が顧客やその他のステークホルダーに価値を提供するために必要な要素を、SVSを中心として図解しており、ITILの全体像を理解する手助けをしてくれます。

ITIL®4 Guiding PrincipleはITIL 4 サービスバリュー・システム フロー以外に「従うべき原則」についても記載されています。これはITサービスに関わらず、多くの業務で活用できる原則となっており、併せて確認することをお勧めします。

3. ITILを学んで得られた気づき

ITILを学ぶ中で、多くの気づきがありました。

日々の業務がクリアになった

これまで経験的に行っていたMSP業務を、ITILのプラクティスに当てはめてみることで、業務内容をより明確に理解することができました。

例えば、日々の監視業務は「モニタリングおよびイベント管理」「インシデント管理」として捉えることができますし、サービス品質の向上を目指す取り組みは「問題管理」と関連付けることができます。

「モニタリングおよびイベント管理」「インシデント管理」について、弊社cloudpackのAWS運用・保守サービスの図に追記すると以下のようになります。

このように、ITILの視点から日々の業務を分析することで、業務の全体像を把握しやすくなりました。

目指すべき姿が見えてきた

ITILは、IT運用のあるべき姿を提示しています。ITILを学ぶことで、お客様に価値を提供するために必要なこと、そして、より良いサービスを提供するための改善点が明確になりました。

例えば、ITILの「継続的改善モデル」は、サービス改善を継続的に行うことの重要性を示しています。お客様のニーズは常に変化するため、それに合わせてサービスも改善していく必要があります。

ITILを学ぶことで、このようなサービス改善の重要性を再認識することができました。

次々に取り組みたいことが見えてきた

ITILのプラクティスガイドには34のプラクティスがあり、「モニタリングおよびイベント管理」「インシデント管理」以外にも多くのプラクティスが紹介されています。大きく「一般的マネジメントプラクティス」「サービスマネジメントプラクティス」「技術的マネジメントプラクティス」と3つに分類されており、様々なケースをカバーしています。そのため、ITILを学ぶことで、これまで取り組めていなかった業務や、改善の余地がある業務が見えてきました。

上記プラクティスガイドはPeopleCert社HPのITIL®4資格制度で確認することできます。

個人的には、ITILのプラクティスを活用し以下のような改善に取り組んでいきたいと考えています。

  • サービスデスクにおける、業務の効率化
  • ナレッジ管理における、ナレッジベースの構築
  • 変更実現における、変更管理の標準化

4. ITILを活用する際の注意点

ITILを活用する際には、いくつかの注意点があります。

言葉を正しく理解する

ITILでは、一般的な言葉とは異なる意味で使われている言葉があります。例えば、「インシデント」は、ITILでは「サービスの中断または品質の低下」を意味します。また、問題管理で主に扱われる「問題」は「インシデントの根本原因」という意味になります。さらに、その「問題の原因」は「エラー」と呼ばれます。

学習を始めた当初は、「インシデント」「問題」や「エラー」の違いを正しく理解できておらず混乱しました。

このようなITIL特有の用語を正しく理解することが、ITILを効果的に活用するための第一歩です。

ITILを完璧に実践するのは難しい

ITILは、非常に包括的なフレームワークであるため、すべてを完璧に実践するのは難しいです。しかし、完璧を目指して努力することで、より良いサービスを提供できるようになると考えています。

まずは、できるところから少しずつITILを活用していくことをお勧めします。

取り組み続けることが大事

個人的にはITILの要素の中で一番重要なのは「継続的改善」だと考えています。

改善は一度実施したから終わりではありません。監視・運用対象は日々追加され、既存のものも常に変化しています。また、お客様の価値も時代の流れと共に変わるため、現状を維持しているだけではお客様から価値を感じていただけなくなります。

そのため、我々も継続的に改善をしながらサービス品質を向上し、お客様の価値に応え続けられるようにしていく必要があります。

5. まとめ

ITILファンデーション試験の勉強は、とても楽しく進めることができました!(多くの気付きがあり、メモをとりながら進めたためなかなか進まないのが悩みでした(笑))

せっかく得た気付きを業務にフィードバックさせ、お客様はもちろんMSPのメンバーや関わる人みんなの満足度をより高くできると嬉しいですね。

さらなるサービス品質の向上を目指し、これからもMSP業務の改善に取り組んでいきます。