AI を活用する上で避けて通れないのが「プロンプト」の作成。
より良い回答を引き出すためにはプロンプトエンジニアリングの知識が不可欠ですが、ついつい適当になりがちと感じている方も多いのではないでしょうか。
私もそんな一人です。
今回は、そんな課題を解決する Vertex AI の「プロンプト生成機能」について、そのメリットや具体的な活用法をご紹介します。
プロンプト生成機能とは
プロンプト生成機能は Vertex AI が提供する、AI の力を借りて効果的なプロンプトの作成や改善をサポートしてくれる機能です。
一言でいうと、「目的を伝えるだけで、Vertex AI が最適なプロンプトを提案してくれる」というものです。
この機能の最大の利点は、プロンプト作成のハードルを劇的に下げてくれる点にあります。
これまで試行錯誤が必要だったプロンプトのフレーズやキーワード選びを AI が代行してくれるため、プロンプトエンジニアリングの専門知識がなくても、目的に合った質の高いプロンプトを素早く作成できます。
さらに、生成されたプロンプトの実行結果に対してフィードバックを提供することで、AI がそのフィードバックを元に新しいプロンプト案を生成してくれるため、プロンプトの継続的な改善も容易に行えます。
実践例
実際にプロンプト生成機能を使ってみたいと思います。
例えば、「インフラ構成図を Terraform コードに変換するプロンプト」を考えてましょう。
まずは、Vertex AI のマネジメントコンソールから、[プロンプトを作成する]を選択します。
プロンプトを記述する部分にある[テキスト作成のヒント]をクリックすると、以下のような画面が表示されますので、先ほどの文言を入力して実行します。
推奨されるシステム指示とプロンプトの提案が英語で出力されました。
最適化されている言語になっちゃうのかなと思いますので、日本語を指定して再度実行してみます。
日本語で出力されました!
システムへの指示
あなたは、インフラ構成図を Terraform コードに変換する専門家です。 ユーザーから提供されたインフラ構成図を分析し、それに対応する Terraform コードを生成してください。 回答は日本語で記述してください。
プロンプト
あなたは次の情報を受け取ります。 インフラ構成図: {infrastructure_diagram} 構成図の形式: {diagram_format} 指示: 1. 提供されたインフラ構成図を分析し、構成要素(サーバー、ネットワーク、データベースなど)とその関係性を把握します。 2. 構成図の情報に基づいて、Terraform コードを生成します。コードは、構成要素を作成し、適切に設定するためのリソース定義を含む必要があります。 3. 生成された Terraform コードが、元の構成図の意図を正しく反映していることを確認するために、コードの各部分を日本語で説明してください。 4. Terraform のバージョンは 0.15 以上を想定してください。 5. provider は Google Cloud を想定してください。 出力形式: ```terraform # {diagram_format} 形式のインフラ構成図から変換された Terraform コード # <リソースの説明> resource "google_compute_instance" "example" { # <設定の説明> machine_type = "n2-standard-2" boot_disk { initialize_params { image = "debian-cloud/debian-11" } } # ... その他の設定 ... } # ... その他のリソース定義 ... ```
かなり具体的な内容になりました。
改善されたポイントとしては以下が挙げられます。
・AI の立場を理解させるため、誰として発言しているのかを明示(システムへの指示)
・構成図のように、どのような情報を受け取るのかの明示
・何をして欲しいのかを明確化
・バージョンなどの制約を明示
・出力形式の明示
このように、目的を伝えるだけプロンプトのドラフトが手に入りました。
非常に簡単にですよね。
続いて改善要望を出してみたいと思います。
今回、AI が参考にしたソースに公式ドキュメント以外の情報が入っていたので、公式ドキュメントのみをソースにするようなフィードバックを入れてみます。
ちゃんと指示に含めてくれました。
同じ画面上で差分が確認できるのも良い点だと思います。
ちなみに、画像の下にある[プロンプトをさらに最適化する]という項目は、プロンプト オプティマイザーという機能です。
ここをクリックすると、GitHub の Google Cloud 生成 AI リポジトリで入手できる Colab Enterprise ノートブックを開いて利用することができますので、こちらもぜひ試してみてください。
※この機能は現在プレビューリリースとなっています。
終わりに
Vertex AI のプロンプト生成機能について紹介しました。
こういった痒いところに手が届くようなサービスを拡充してくれるのは、ユーザーにとって嬉しいですね。
もちろん、AI による生成物のため最終的には自分の目で確かめることをお勧めしますが、例えばローカルで利用する際など、とりあえずこの機能で整形しておくだけでもアウトプットの品質が高まるのではないでしょうか。
ぜひお試しください!
参考