BIツールとして今や多くの方に利用されている Google Cloud の Looker Studio。
さらに、「もっとガバナンスを効かせたい」「チームで開発・管理したい」「しっかりサポートも欲しい」といったエンタープライズ向けの有償版機能として Looker Studio Pro があります。
そんな Looker Studio Pro は組織内で活用するものでしたが、この度、組織を跨いで利用することが可能になったようです。
Looker Studio Pro とは
Looker Studio Pro の Pro たる所以は以下の機能にあります。
これらの機能が備わっていることで企業で使いやすい設計になっています。
- チーム開発とバージョン管理: レポート開発のワークフローを効率化し、変更履歴を管理できます。
- ガバナンス機能: コンテンツの所有権管理やアクセス権限の詳細設定により、セキュアな運用を実現します。
- エンタープライズサポート: Google Cloud のサポート体制による支援が受けられます。
このように、Looker Studio Pro は、組織内での統制されたデータ活用を強力に推進するツールです。
これまでの Looker Studio Pro における課題
Looker Studio Pro の「サブスクリプション」にユーザーを招待する場合、自分と同じ Google Workspace や Cloud Identity の組織にいるユーザーに限定されていました。
組織内で利用する分には特に困ることはなかったのですが、以下のようなユースケースでは満たせず困ることがありました。
- 外部のデータ分析コンサルタントや開発ベンダーと、共通の Looker Studio Pro 環境で密接に共同作業を行いたい
- 主要な取引先や販売パートナーと、リアルタイムの業績データを共有するダッシュボードを、自社の Pro 環境で管理・提供したい
- グループ会社や関連会社間で、Pro の高度な機能を活用したデータ共有基盤を構築したいが、組織が分かれている
つまり、組織の壁を越えて、Looker Studio Pro のメリットを享受しながら一緒にデータ活用を進めることに対して制限があったのです。
レポート単体での共有はできても、「Pro の環境内で一緒に開発・管理」が難しかったんですね。
私も実際にお客様の環境に入れず、仕方なく別の Google アカウントを払い出してもらった経験があったのですが、非常に手間に感じていました。
「信頼できる組織」機能
ここからが本題となりますが、上記の課題を解決してくれる新機能が登場しました!
公式ドキュメントには「信頼できる組織(Trusted Orgs)」機能と記載されています。
文字通り「自分が契約している Looker Studio Pro のサブスクリプションに、別の組織のユーザーを正式に追加できるようになる」という機能です。
これにより、先ほど挙げたような、外部パートナーとのプロジェクト、グループ会社間連携、顧客へのデータ提供といったシーンで、Looker Studio Pro の持つ開発・管理・ガバナンス機能を、組織の垣根を越えてフル活用できるようになりました。
もう、アカウントを別に用意したり、煩雑な管理方法で悩まされる必要がなくなりますね。
利用方法
この機能を利用するには、Cloud カスタマーケアへのリクエスト送信が必要です。
その際に、以下の情報を伝える必要があります。
- 自組織の組織 ID (Organization ID): Looker Studio Pro を契約している自社の組織 ID
- 信頼する組織として追加したい相手組織のドメイン: 共同作業を許可したい、外部の組織のドメイン名
このリクエストを受けて、Google Cloud のサポートチームがバックエンドで設定を行い、指定した相手組織のドメインを、あなたの Looker Studio Pro サブスクリプションに対して「信頼済み」として登録してくれる、という流れになります。
いわゆる「ホワイトリスト」に登録するようなイメージですね。
なお、Cloud カスタマーケアを利用する前提として以下を満たしている必要があります。
- Looker Studio Pro に登録していること
- 有効なサポート契約があること
終わりに
Looker Studio Pro に「信頼できる組織」機能が加わったことで、これまで組織内に閉じられがちだったProの高度な機能を、組織の壁を越えて活用できるようになりました。
「外部パートナーとデータを共有しながらゴリゴリ分析したい!」「グループ会社間で共通のデータ基盤を持ちたい!」といったニーズをお持ちの方は、ぜひこの機能に注目してみてください!