AWS や Google Cloud などのクラウドプロバイダーからは日々新しいサービスやアップデート情報、詳細な技術解説がブログで発信されています。
これらの最新情報を追いかけることはエンジニアにとって非常に重要ですが、「読みたいけれど、なかなか時間が確保できない…」という方も多いかと思います。

そんな方々に是非試していただきたいのが、Google の Deep Research と AI 搭載ノートツール「NotebookLM」の音声概要機能を活用したキャッチアップ方法です。

NotebookLM とは?

NotebookLM は、Google が提供する AI を活用したリサーチ・ライティングアシスタントです。
アップロードしたソースの内容に基づいて、AI が内容を理解し、質問への回答、要約の作成、アイデアのブレインストーミングなどの様々な角度からサポートしてくれます。

そこで、今回注目したいのが「音声概要 (Audio Overview)」機能です。
ソースとして登録したドキュメントの内容に基づき、AI がその概要を音声で自動生成してくれるため、ポッドキャスト感覚で情報を「聞く」ことができるようになります。

具体的な活用ステップ

実際に AWS や Google Cloud の最新ブログ記事を NotebookLM の音声概要機能で効率的にインプットする手順を見ていきましょう。

ステップ1:情報源となるブログ記事の準備

まずは、情報収集の対象となるブログ記事を選び、URLを取得します。
NotebookLM 側で出力言語を日本語に設定できるので、英語の記事でも問題ありません。

ステップ2:Deep Research で内容をまとめる

NotebookLM に URL を 1 つずつ入力しても良いですが、記事数が多いと大変になるため、私は Deep Research にまとめてもらい、1つの Google ドキュメントにしています。
Deep Research を利用することで、ブログ記事内の専門用語やわかりづらい言い回しを補足してくれるので、最終的な音声概要のアウトプットが聞きやすくなります。

現時点で Deep Research は以下の赤枠を有効化することで利用できます。

また、参考までに使用しているプロンプトを記載します。
本当は Gem を作成してプロンプトを固定したいのですが、Gem ではまだ Deep Research が使えないのでここは我慢…。

役割と目標:
* 提供された複数のブログ記事それぞれに対し、個別の要約と解説を行う。
* 各記事の主要なポイントを正確かつ簡潔に抽出する。
* 各要点について、読者が理解しやすいように背景情報や関連知識を補足する。

行動規範:
1) 情報整理の形式:
a) 各記事について、以下の情報を必ず含める。
    i) 記事のタイトルと投稿日時
    ii) 主な内容の要約
    iii) 各要点についての簡潔な解説
b) 提供された記事の順序に従って情報を整理する。
c) Markdown形式を用いて、見出し、箇条書きなどを適切に使用する。

2) 要約と解説の精度:
a) 記事の内容を歪曲したり、個人的な意見や解釈を加えたりしない。
b) 専門用語や固い表現は避け、平易な言葉で解説する。
c) 必要に応じて、記事の内容を補強する追加情報を提供する。

3) URLの取り扱い:
a) 提供されたURLが有効でない場合は、その旨をユーザーに報告する。
b) 記事の内容が長文である場合でも、指定された形式で要約と解説を行う。

口調:
* 丁寧で分かりやすい言葉遣いを心がける。
* 客観的かつ中立的な立場を保つ。
* ユーザーが情報を理解するのを助けるような、親切な対応を心がける。

URL情報:
[記事のURLをここに記載する]

ちょっと堅い内容で生成されるかもしれませんが、後ほど音声化する際に緩和されますので、ここでは元の記事の内容をなるべく崩さないことに注力しています。
生成されたレポートは以下の部分をクリックして Google ドキュメントにエクスポートします。

ステップ3:NotebookLM で音声の作成

前ステップで作成された Google ドキュメントを NotebookLM のソースとして取り込みます。
具体的な手順は以下の通りです。

  1. 「新規作成」から新しいノートブックを作成します。
  2. ソースの入力を求められるため、「Google ドキュメント」から先程生成したドキュメントを選択します。
  3. 右側の「Studio」にある音声概要から生成をクリックします。

また、音声概要を作成する際、「カスタマイズ」機能を利用することで、特定の情報源やトピックに焦点を絞ったり、聞き手に合わせた話し方などを調整したりすることが可能です。
今回の内容であれば、必要に応じて以下のような指示を与えることで効果が見られるでしょう。

  • 記事を読んでいない人にもわかりやすく説明
  • IT 未経験者にもわかる言葉で説明
  • 3 つ目の記事に焦点を当てる

生成された音声について

生成された音声は約 6~10 分ほどの長さで、男女の 2 人の掛け合いによるラジオ番組やポッドキャストのような形式です。

私の感覚ですが、前述した音声概要のカスタマイズにて「わかりやすく」などの指示を与えると、尺も長めになっているように感じました。

生成された音声は再生速度を変更したり、wav 形式でダウンロードすることも可能です。
また、つい先日スマホアプリ版の NotebookLM もリリースされたので、日常でより使いやすくなりましたね!

このように、これまでブログを読むためにまとまった時間を確保する必要があった情報収集を、通勤電車の中で、家事をしながら、ウォーキングや運動中に、といった時間で「ながら聞き」で効率的に行えるようになります。

ご利用にあたっての注意点
AIによる要約の特性を理解する: NotebookLM の音声概要は非常に魅力的ですが、AI による要約であるため、ニュアンスや詳細が省略される場合があります。重要な情報や正確性を求める場合は、必ず元のブログ記事を参照するようにしましょう。
最新機能の確認: NotebookLM は継続的に開発・改善が進められているサービスです。機能や操作方法が変更される可能性があるため、利用時には Google の公式情報を確認してください。
著作権への配慮: ブログ記事の取り扱いには著作権が伴います。私的利用の範囲を遵守し、適切に活用しましょう。

終わりに

Deep Research と NotebookLM の音声概要機能を活用することで、情報を簡単かつ効率的に収集することができました。
これまでもポッドキャストなどで「聞く」情報収集は行われてきましたが、記事なども音声で楽しめるようになることで、スキマ時間をさらに有効活用できる新しいスタイルが生まれつつあると感じています。
ただ、今回の方法では、手作業で行う部分が多かったり、AI による生成に時間がかかったりする点が、個人的には少々気になりました。
NotebookLM には現時点で API が提供されていないため、このような手順を踏んでいますが、将来的にはこれが自動化でき、より手軽に利用できるようになったら良いなと思います。

参考
Gemini Deep Research
Generate Audio Overview in NotebookLM