はじめに

この記事はAWS Summit Japan 2025のAWS セッション「実践的な生成 AI 活用の推進: PoC から価値創出へ」に関するレポートとなります。

セッション概要は以下となります。

Bundesliga や Trellix のように、多くのグローバル企業は生成 AI を本格的に活用し、イノベーションの加速、生産性の向上、コスト削減などのビジネス成果を生み出しています。AWS は、トレーニング、専門家による支援、包括的な生成 AI ソリューションを提供することによって、お客様が素早くアプリケーションを本番稼働へ移行し、安心して拡張できるよう支援しています。本セッションでは、お客様が生成 AI でビジネス価値を創出するための勘所と、AWS がどのように貢献できるかについて解説します。

生成AIの進化

ChatGPTが日本でブームになったのは2023年。

私もいち早く使用した記憶があります。

ですが、事実に基づかない情報を生成する(ハルシネーション)が頻繁に発生したり、セキュリティガバナンスが不十分な状態だったので、恐る恐る使用していました

それから2年が経ち恐ろしいスピードで生成AIは進化を遂げています。(私もついていけません、、)

上記は進化の過程です

  • 2023年:とりあえず触れてみる、実証実験の年
  • 2024年:本業務での活用開始の年
  • 2025年:ビジネス価値創出の年

まとめるとこんな感じでしょうか

生成AIで価値創出するための4つのポイント

生成AIでビジネス価値を創出するための4つのポイントが紹介されました。

これらは生成AIに限らず、ビジネス全般に共通する重要な観点だと感じました。

AWSが特に重視しているこれらのポイントについて解説します。

1.Time to value

この時代において、特に重要な観点です。

どれだけ早くサービスを開発し、新機能をリリースできるかが、ビジネスの優位性を左右します。

AWSが提供するAmazon Bedrockでは以下の点でTime to valueを実現しています

  • 業界最先端の基盤モデルを単一のAPIで利用可能
  • 自社データを使用したモデルのカスタマイズが可能
  • セキュリティとプライバシー保護機能

豊富な選択肢が素早い実験と効率的な実装を助け、セキュリティも盤石である点が、このTime to valueに大きく貢献しているのだと感じました。

その他、Amazon SageMakerやAmazon Q DeveloperもTime to valueに貢献するサービスとして紹介されていました。

2.AI対応データ

Amazonは25年もの長きにわたり、AI/ML(機械学習)に取り組んできたそうです。

その中で得られた重要な学びが、「データが差別化要因になる」ということだと強調されていました。

汎用的な基盤モデルを使った生成AIアプリケーションは誰でも比較的簡単に開発できます。

しかし、そこで自社データを活用し、生成AIアプリケーションに組み込むことで、提供できる価値を何倍にも増幅させることが可能になります。

そこでAWSは、次世代Amazon SageMakerを発表しました。

これは、モデル開発、生成AIアプリケーション開発、データ処理、SQLを使った分析など、各種操作を一つのUIから実行可能であり、

データにまつわるイノベーションを一元化できるとのことです。

3.費用対効果

ビジネスで利用するなら避けられないテーマです。

AIの計算リソースの需要は高まる一方で、モデルサイズの急速な拡大によりコストや消費電力も課題となっていました。

これらの課題に対応するため、AWSはカスタムシリコンの開発をAI領域にも拡張しています。

  • 推論向け:Inferentia
  • 学習向け:Trainium

※現行世代のGPUインスタンスよりも30~40%ほどプライスパフォーマンスが改善

また、コストとレイテンシー(応答速度)はトレードオフの関係にあり、これも生成AIに限った話ではありません。

精度を求めるのか、応答の速さを求めるのかはアプリケーションによって異なります。

そこでAmazon Bedrockでは、精度を犠牲にせずにコストとパフォーマンスを最適化する機能を提供できるモデルが用意されているそうです。

それぞれの特徴は上記画像を参照ください!

他のサービスと同様に柔軟で選択肢も多く、課金体系も様々です。

そのため、エンジニアがどのようにサービスを選定し、コストを最適化していくかが重要だと感じました。

4.信頼性

信頼性は不可欠です。

様々な観点がありますが、以下の2つに絞って説明されていました。

  • コンプライアンスとガバナンス
  • レジリエンス

責任あるAI」と呼んでいて、4つのベストプラクティスの説明がありました。

中でも「人中心のアプローチを取る」という点が特に印象に残りました。

生成AIであっても、最終的にそれを使用するのは人間です。便利で大きな影響力を持つ反面、リスクも大きくなるため、

安全に利用できるようにユーザーへの教育を行うことも非常に重要だと改めて考えさせられました。

まとめ

今回のセッションは、AWSの生成AIに関する強みを強く感じる内容でした。

特に、インフラレベルでのカスタムシリコン開発ができるのは、AWSならではの圧倒的な強みだと改めて実感しました。既存システムをAWSで構築していれば、安全に、そして素早く生成AIを活用できる大きなメリットがあります。

私自身も、この学びを活かして積極的に提案を行い、ビジネス価値の創出に貢献していきたいと思います。