2025年3月に開催された、アマゾン ウェブ サービス(AWS)のユーザーグループ「JAWS-UG」の一大イベント「JAWS DAYS」。
そこでアイレットから新たな AWS Samurai が誕生しました。

AWS Samurai は、JAWS-UG で栄誉ある称号であり、コミュニティの成長に大きく貢献した人物に贈られます。

今回、 アイレットから新たな AWS Samurai の誕生を記念して、2011年・2012年と連続受賞した初代 AWS Samurai であるアイレット執行役員の後藤 和貴と、今回 JAWS-UG 配信部として新たに AWS Samurai を受賞した佐藤 竜也にインタビューを実施しました。

アイレット社員の JAWS-UG での活躍と、アイレットとコミュニティの関わりを深掘りします。

アイレット株式会社
執行役員 / エバンジェリスト

アイレット株式会社
アジャイル事業部
2025 Japan AWS Top Engineers

AWS Samuraiとは?

AWS Samurai とは、JAWS-UG の活動状況から、JAWS-UG コミュニティの成長や支部運営、さらには AWS クラウドの普及に大きく貢献または影響を与えた方に贈られる称号です。
引用:https://jaws-ug.jp/samurai/

2011年に創設された日本独自の表彰制度で、その歴史は JAWS-UG 発足翌年に遡ります。基本的には JAWS-UG の支部運営に関わるメンバーから選出され、その活動は勉強会やイベントの企画・運営、AWS クラウド技術や最新情報の共有、地域コミュニティの活性化など多岐にわたります。

初代 AWS Samurai 後藤が語る JAWS-UG 初期の AWS 普及活動

佐藤さん、AWS Samurai 受賞おめでとうございます!アイレットからの受賞は久しぶりということで、今回初代 AWS Samurai の後藤さんにも同席いただきました。


おめでとうございます。アイレットから新たに AWS Samurai が誕生して嬉しいですね。


ありがとうございます!後藤さんとご一緒できて光栄です!


AWS Samurai が二人揃ったところで、まずは初代 AWS Samurai である後藤さんの JAWS-UG との関わりや活動についてお聞かせください。


私はアイレットに入社する前の2009年頃から AWS に触れていました。当時はまだコミュニティという形はなく、テクノロジーに興味がある人たちが集まっている状態でした。

フリーランスとしてクラウドを仕事にしようと考えていたのですが、相談できる相手がいなかった時に、当時利用していた Mixi で「Amazon EC2のユーザー会」を見つけまして。それまでオフ会というものに参加した経験はありませんでしたが、思い切って参加したのが始まりです。


オフ会から始まったんですね。


そうなんです。そのオフ会で、後に AWS Japan の社員第一号となる小島 英揮さんと出会い、ビジネスの立ち位置について話を聞くことができました。それがきっかけとなり、「AWS でビジネスができるんじゃないか」と仲間と話し合い、現在の「cloudpack」の原型となる事業を立ち上げました。また、同じ頃に「JAWS-UG」が立ち上がりました。

事業立ち上げのころはまだまだクラウドの理解もされてなかったため、開始当初は新規にコンタクトされる顧客がいなかったので、既存のお客様のホスティング環境を AWS にリプレイスするところから始めました。

2010年5月、日本プロゴルフ協会のサイトが人気選手のおかげでアクセスが殺到したのですが、AWS の自動スケーリングで落ちなかったことが、クラウドの威力を示す最初の事例になりました。


クラウドらしい事例ですね!


それでも自然に顧客は増えなかったので、JAWS-UG に積極的に参加するようになりました。当時は「クラウドの市場を広めなければ」という使命感があり、社内では当時 CTO (現:執行役員常務)の鈴木 宏康が技術を、社長(現:代表取締役会長)の齋藤 将平が営業を担当していたので、ロールを分ける意味で私は「エバンジェリスト」として広報活動を担うことに。初年度は日本各地を回り、年間50回以上も講演しました。


年間50回はすごいですね。その活動が認められて初代 AWS Samurai を受賞されたんですね。


何の予告もなく突然の受賞だったので、当時は「コミュニティ活動していたら、もらっちゃった」という感じでしたね(笑)。受賞した際は、5,000ドルの AWS クレジットを渡され、「どんどん使って広めてください」と言われました。

当時はまだ AWS のビジネスが本格化していなかったので、「AWS を理解する仲間を増やそう」という感覚で JAWS-UG に積極的に参加し、運営の支援もしていました。AWS Samurai になったからといって偉くなるわけでもないので、クラウドの浸透やコミュニティ拡大のため「何かをしなければならない」という使命感のようなものだけはありましたね。

JAWS-UG 「配信部」にて AWS Sumurai を団体受賞!新鋭 佐藤が語る、コミュニティの新たな可能性

続いて佐藤さんの JAWS-UG との出会いや活動について教えてください。


私は前職で業務にて AWS に触れていましたが、独学だったので「自分の知識は本当に正しいのか」と不安を抱えていました。もっと AWS の勉強がしたいと思い、JAWS-UG にたどり着いたのですが、当時はオフラインでの活動が多く、初めて参加するには正直ハードルが高いなと(笑)。
コロナ禍でオンラインに切り替わったことで初めて参加してみました。


アイレットに入社前から JAWS-UG に参加されていたんですね!


そうです!オンライン参加ではありましたが、コミュニティ活動を通じて、もっと AWS に深く関わりたいという思いが強くなりました。
そこで「AWS のプレミアティアサービスパートナーであるアイレットで働きたい!」と考えるようになり、求人情報を見つけ応募しました。


コミュニティが転職のきっかけになったんですね。今回の受賞に繋がった「配信部」での活動はどのように始まったのですか?


2022年の JAWS DAYS で、ボランティアとして初めて配信を担当しました。その時、アイレットの黒野 雄稀さん、鈴木 健斗さんが心から JAWS を楽しんでいる姿を見て、「こんな風に関われたら面白いだろうな」と感じました。

その後、JAWS-UG 各支部のオンライン勉強会の開催数も増加し、アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社のユーザーコミュニティプログラムを担当している沼口 繁さんを筆頭に活動している JAWS-UG 配信部のメンバー募集があったので参加を決めました。それまで配信経験はありませんでしたが、沼口さんが配信基盤を整えてくださっていたので、 Amazon Chime、OBS Studio を使えば誰でも簡単に配信を担当できると感じ、興味を持ちました。


配信部は現在どんな活動をしていますか?


現在配信部は約11名で、東京支部や初心者支部など各支部からの配信依頼に対応しています。支部運営の方と連携して、配信準備や当日のオペレーションを担う、いわば裏方のチームです。

他の支部が「勉強するぞ」という強い熱量で活動しているのに対し、私たち配信部は「JAWS-UG が好きだから」という熱量で、コミュニティ活動自体を楽しみたいという気持ちが強いので、雰囲気が少し異なりますね。配信技術を磨くこと自体が目的ではなく、JAWS コミュニティへの貢献が主な目的となっています。


その活動が認められて今回「AWS Samurai」を配信部が団体受賞したんですね!


ありがたいことに、受賞させていただきました。「発信している人を応援する側」だったので今回の受賞には恐れ多いという気持ちが強かったです。
ですが、歴代の AWS Samurai や AWS コミュニティで認められた技術リーダー AWS Heroes の方々からは、「この配信部の活動がなければ、JAWS-UG はここまで広がらなかった」と言っていただけて、少し自信が持てるようになりました。沼口さんが一人で配信を担っていた土台を引き継いだ形なので、その功績があってこそだと感じています。


佐藤さんは、AWS Samurai にどんなイメージを持っていましたか?


私は「レジェンド的なイメージ」を持っていました。登壇や発信を積極的に行ない、AWS に詳しく、コミュニティに貢献されている方が受賞されると思っていたので、自分が選ばれた時は本当に「恐れ多い」という気持ちでした。
他の歴代 AWS Samurai の皆様とは違う形で、コロナ禍を経て新しい切り口からコミュニティに貢献できたかなと感じています。

二人の AWS Samurai が語る、アイレットと JAWS-UG の特別な関係

お二人の JAWS-UG での活動、そして AWS Samurai の受賞について教えていただきましたが、JAWS-UG とアイレットの関係性についてはどう考えていますか?


JAWS-UG は、AWS が日本に入ってくるのと同時に、それを好きな人が自然発生的に集まってできた、非常に珍しいコミュニティだと思います。最初から仕事で関わる人もいれば、趣味で関わる人など様々な人が参加しています。その結果、市場が成長し、アイレットのような企業も存在感を示せるようになりました。

個人的には、ビジネスだからといってコミュニティとの間に線を引きたくないと考えています。JAWS-UG は、人や情報が交流する場所であり、アイレットもその一部として良い関係を築いていくべきと、昔から持っている考えは変わりません。


JAWS-UG で活躍しているメンバーにも何人かインタビューさせていただいていますが、個人のモチベーション向上にも繋がっていますよね!


そうですね。個人のモチベーションはもちろん重要です。
会社としてコミュニティをサポートする理由としては、アイレット自身が成長できた源泉がコミュニティにあるためであり、今後もお互いに発展していくべき関係であるべきだと考えています。


佐藤さんはいかがでしょうか。


後藤さんもおっしゃるように、コミュニティには色々な人が参加をしているので「会社の中にいるタイプじゃない人」と出会えるのがすごく良いですよね。会社というつながりがない中でも多くの方が話を聞いてくれて、AWS のノウハウを教えてくれる。大人になってから、あんなにたくさん友達ができることは無いんじゃないかと感じています。
Facebook や X で友人が増えたのもコミュニティのおかげです。


確かに社会人になって、同じ趣味や目標を持った友人が増えるのはなかなか無いかもしれませんね。


もちろん、社内にも相談相手はいますし、アイレットを盛り上げようと積極的に活動しているメンバーが多いので楽しいです。でも、社内とは少し違った価値がコミュニティにはあります。皆が同じところでつまづいていることが分かったり、自分が解決した方法が正しいのか、外部の視点から「答え合わせ」ができたりすると、とても嬉しいですね。

そのため、参加して他の人の登壇を「見るだけ」でも勉強になりますし、自分のやっていることが正しいと確認する場にもなります。直接会話をすれば、さらに「それ分かります!」と共感し合える仲間がたくさんいるので、人とのつながりがどんどん広がっていくのだと思います。


お二人の今後の目標はありますか?


AWS はもちろんですが、新しいことにどんどん触れていきたいと考えています。JAWS-UG では若手がどんどん活躍しているので、フォローできるような関係を継続しつつ、特に進化が速い、生成 AI の分野においてコミュニティ活動に関われれば良いなと思っています。


一時期、アイレット社内で JAWS に関わる人が減ったかなという印象があったのですが、また増えてきたと感じています。なので今後、私が次の「エバンジェリスト」となれるよう、積極的に活動していこうと思います。


おまけ:東日本大震災でのボランティア活動

佐藤さんはおすすめの本を紹介する社内イベントにて「会社の枠を越えたウェブサイト復旧支援〜東日本大震災時にAWSユーザーグループのメンバーはどう行動したか〜 (記憶の継承) 」を紹介されていましたね。この活動には後藤さんが参加をしていたとのことで、活動について少し教えていただけますか。


この話を取り上げてくれてありがとうございます。
そうですね、震災直後、齋藤、鈴木と共にボランティアとしてダウンしたサイトの復旧支援を行なっていました。
当時の連絡手段は Facebook などのソーシャルネットしかなく、そこに投稿される有名人の募金サイトなどがアクセス集中で落ちてしまっていて。私たちは落ちていたサイトを AWS に移行したり、勝手にキャッシュサイトを作成したりして、復旧の手伝いをしていました。


その時の経験は、後藤さんの活動にどう影響しましたか?


この経験を通じて、コミュニティの真価を実感しました。会社の枠を超えて、困っている人を助けるために知見を持ち寄ることができるのは素晴らしい活動ですね。


本を紹介されていた佐藤さんはどんな感想を持ちましたか?


今日のお話を聞いて、改めてコミュニティは「挑戦のチャンスが増える場所」だと感じました。周りがアウトプットしているので情報が自然に集まりますし、自分一人では得られない経験や機会がたくさんあります。そして、この活動が周囲の協力で成り立っていることを忘れず、感謝の気持ちを持って取り組むことが重要だと改めて感じました。

編集後記

これまでも JAWS-UG で活躍するアイレット社員に何度かインタビューする機会があり、コミュニティ活動が仕事のモチベーションになっていることは認識していました。
そして、今回のインタビューを通じて、JAWS-UG が単なる技術交流の場ではないことを改めて実感できました。

アイレットの成長は、コミュニティ活動と深く結びついています。しかし、これはアイレットに限った話ではなく、日本のクラウド市場そのものが広がった背景に、コミュニティの存在があったのではないでしょうか。コミュニティは、個人のスキルアップやキャリアチェンジを後押しするだけでなく、何よりも信頼できる仲間との出会いという、かけがえのない価値をもたらしてくれるのだと思います。

この記事を通して、アイレットと JAWS-UG の深い絆が、みなさんに伝わると嬉しいです!

アイレットは、社員一人ひとりの挑戦を尊重し、コミュニティ活動を積極的に支援する環境を整えています。
少しでも興味のある方は、ぜひ一度、採用サイトを覗いてみてくださいね!

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