こんにちは!アイレット広報の羽鳥です。

今回は、アイレットの事業推進本部 パートナーアライアンスグループで NotebookLM を活用して契約書検索業務を効率化した事例をご紹介します。

話を聞いたのは、2024年に新卒として入社した葭葉 杏奈。
実際に NotebookLM の導入を推進し、活用している本人から、具体的な効果や運用のコツを教えてもらいました。

事業推進本部
パートナーアライアンスグループ
葭葉 杏奈

 

間接部門での NotebookLM 活用法について詳しく解説していきます!

パートナーアライアンスグループの業務

まず、パートナーアライアンスグループがどんな業務をしているのかを紹介します。

アイレットは、“クラウド特化型のシステムインテグレーター”として、AWS や Google Cloud、Oracle などのクラウドベンダーからパートナー認定を受けています。
こうしたパートナーシップを基盤に、間接部門であるパートナーアライアンスグループは、各パートナー企業との連携戦略の立案・実行やパートナープログラムの管理など、幅広い業務に取り組んでいます。

これらの業務では多数のパートナー企業との契約書を扱うため、同グループでは「複雑に関連し合う契約書の検索と管理」が困難という大きな課題を抱えていました。

パートナープログラムに関する契約書は、1つの契約書だけで完結することがほとんどありません。1つの契約書を見ると、「詳細は○○契約書を参照」の記載があり、その契約書を開くとまた別の契約書への参照というように、情報が複数の文書に分散していることが多いのだとか。

パートナーアライアンスグループでは、多くの契約書を扱っていて、それぞれが複雑に関連しています。

例えば、パートナープログラムの契約内容を確認する際、メインの契約書を見て、参照先を辿り、さらに別の契約書の条件も確認しなければならず、複数の文書を行ったり来たりする必要がありました。 

この作業、従来は2人がかりで1〜2時間かかっていたそうです。

さらに深刻だったのが属人化の問題。経験豊富なメンバーは「どの契約書にどの情報が載っているか」を把握していますが、新卒や中途入社のメンバーはそのナレッジを持っていません。なので、結局上司に「これってどこに書いてありますか?」って聞くことになり、そこで時間がかかってしまうという悪循環に陥っていたそうです。

そこで、この課題に対し、Google の AI ノートブック「NotebookLM」を活用することで、検索時間を1〜2時間から15分へと短縮(約85%削減)することに成功しました!

NotebookLM とは

NotebookLM は、大量のテキストデータを効率的に処理し、必要な情報を素早く抽出できる Google の AI 搭載ノートツールです。

NotebookLM 公式サイト

AI 導入の背景と NotebookLM を選んだ理由

この課題を解決するために、なぜ NotebookLM を選んだのかを聞いてみました。

アイレットでは、全社として生成 AI を使いこなし、ユースケースを発信していくことに力を入れています。その流れの中で「NotebookLM」に注目したそうです。

さらに、全社で Google Workspace を利用していたことも大きなポイントでした。新たにツールを契約したり、システムを構築したりする手間やコストをかけずに、すぐに検証を始められるというのは魅力的ですよね。

会社として生成 AI の活用を推進する中で、間接部門である事業推進本部においても AI をもっと活用していこうという背景がありました。

契約書を一括で管理できるものがあるといいよねという話は以前からずっと出ていて、ちょうど NotebookLM の導入のタイミングと手軽さが合ったので、『じゃあ一度ちゃんと整備してみよう』ということで契約関連の NotebookLM のノートを作成しました。

タイミングと手軽さ、そして会社の方針が重なったことが、導入の決め手だったんですね💡

実際の導入プロセス

実際にどうやって導入したのか、具体的なステップを教えてもらいました。

ステップ1 重要な契約書の絞り込み

まず、パートナーアライアンスグループで管理しているすべての契約書を登録するのではなく、メインとして使われている契約書に絞り込みを実施。グループ内で話し合って、約40件の重要契約書を選定したそうです。

いきなり全部を入れようとすると大変なので、まずは重要なものから始めるというスモールスタートにするところがポイントです!

ステップ2 閲覧権限の設定

閲覧権限については、セキュリティ面と品質管理の両面から慎重に設定したとのこと。

契約書という機密性の高い情報であることに加えて、NotebookLM の回答が100%正確とは限らないため、内容の正誤を判断できる人のみに公開することにしました。具体的には、アライアンスグループと事業部長以上のみに閲覧を限定しているとのこと。

ステップ3 グループ内での共有と浸透

グループ全体で活用できるよう、AI 活用の定例会を設けているそうです。
週に一度、ツールの精度や使い方をメンバーで共有して、実際に色々な質問を投げて回答精度を確認。「これは使えるツールだ!」という認識を、実際にメンバーに使ってもらうことで広げていったとのこと。

導入効果:検索時間を約85%削減!

気になる導入効果。結果は、想像以上でした!

数字でみる効果

項目 導入前 導入後 削減率
検索時間 1〜2時間 約15分 約85%削減

なんと、検索時間が約85%削減されました!!

NotebookLM の回答は20〜30秒ほどで出てきて、そこから自分たちで目視確認するのが15分くらい。1〜2時間かかっていたところが15分程度になったので、かなりの時間短縮を実現しました!

属人化の解消!新人でも自立的に業務を進められるように

数値で測れる効果以外にも、大きな変化があったそうです。

新卒や中途入社のメンバーでも、NotebookLM に質問するだけで必要な情報にアクセスできるようになりました。「これってどこに書いてあるんだろう?」と上司に確認する回数が減り、自立的に業務を進められる環境が整ったとのこと。

2024年入社の葭葉さん自身も、この恩恵を受けている一人です。

やはり在籍が長い方は契約の全体像を把握していて、どの契約書に何が載っているかも分かっています。でも私のような新卒や中途で入った方は、そのアンテナが張りづらかったんです。

そんな中、NotebookLM で質問するだけで、どの契約書に書いてあるという根拠にすぐたどり着けるようになったのは、本当に大きな変化だと感じています。

業務効率化にとどまらず、ベテランの知識が属人化せずに、チーム全体で共有できるようになりました。これも大きな成果ですね。

NotebookLM のすごいところ:参照先を明示してくれる

パートナーアライアンスグループの活用実績をご紹介したところで、そもそも 「NotebookLM の何がすごいか」を紹介します。

1番大きなポイントは、「単に回答を返すだけじゃない」という点です。
NotebookLM は「どの契約書のどこを参照して回答したか」を明示してくれます。

以前は全ての契約書を自分で見に行く必要がありましたが、今は NotebookLM が示した参照先だけを見て、回答の正確性を確認すればいい。これだけでもかなりの時間短縮になりますね!

運用で気をつけているポイント

実際の運用では課題もあるはず。そこで、運用上気をつけているポイントも聞いてみました。

課題1:契約書の更新管理をどうするか

契約書は不定期に更新されます。古い情報のままだと誤った回答につながってしまうので、これは重要な課題です。

そこで、パートナーアライアンスグループでは、変更があった際に更新をチェックして、新しい契約書に差し替える運用フローを確立しているそうです。

ちなみに、Google が提供しているスライド形式のパートナープログラム資料の場合、Google スライド形式の資料を入れると、スライド編集時に内容が自動更新されるので、この形式を積極的に活用していく計画だそうです。これは便利ですね!

課題2:誤回答への対策

AI である以上、100%正確な回答が保証されるわけではありません。ここはしっかり対策が必要です。

そのため、パートナーアライアンスグループでは、NotebookLM の回答はあくまで参考として、「必ず原本(参照先)を目で確認する」というルールを徹底しているそうです。

正確性が100%ではないので、必ずその参照先を見に行って目で確認しています。
でも、いちいち全ての契約書を見に行かなくていいというところで、工数はかなり減りましたね。

AI を過信せず、でも上手に活用する。このバランスが大事ですね。

NotebookLM がスプレッドシート連携可能に!更なる活用を目指す!

2025年11月には、NotebookLM の待望の大型アップデートがあり、スプレッドシート(Google Sheets)へのネイティブ対応が発表されました!

このスプレッドシート連携機能の追加は、今回のような間接部門における活用シーンを拡大させます。

スプレッドシート連携の意義と新たな活用可能性

これまでの NotebookLM は、PDFやドキュメントなどの非構造化データ(テキストデータ)の解析に強みがありました。しかし、パートナーアライアンスグループや多くの間接部門では、構造化された数値データをスプレッドシートで日常的に扱っています。

スプレッドシートがソースとして利用可能になったことで、NotebookLM は単なる契約書の検索ツールにとどまらず、これらの数値データと定性的な契約内容を横断的に分析できるようになります。

パートナーアライアンスグループは今後、定量データの NotebookLM への取り込みにより、業務効率化の幅をさらに拡大していく計画とのことです。

まとめ「NotebookLM は間接部門での AI 活用に最適!」

今回、葭葉さんへのインタビューを通じて、パートナーアライアンスグループでの NotebookLM 活用事例をご紹介しました。

契約書検索時間が1〜2時間から約15分へと約85%も削減され、さらに2人がかりで行なっていた作業が1人で完結できるようになったとのことで、まさに「やらない理由はない」かなと思います。

私自身も業務で NotebookLM を活用しています。iret.media の入稿方法やガイドラインなどが DocBase や Google スライドに散らばっているので、それらをまとめた「iret.media RAG 検索」を作成しました。「あの情報、どこに書いてあったっけ?」という時にここで検索すると、すぐに見つけられます。

使い方もシンプルで、ソースとなる資料をアップロードして質問を投げるだけ。手軽に活用できますし、情報を探す時間が大幅に短縮されています。

最後に、NotebookLM は間接部門において確実に業務効率化につながるツールだと感じています。特に Google Workspace を既に利用している企業であれば、追加コストなしですぐに始められるので、まずは小さいことから試してみることをおすすめします。

AI 活用が初めてという方でも、使いやすさにきっと驚くはずです!

それでは、最後までお読みいただきありがとうございました!

その他の間接部門における NotebookLM 活用事例

その他にも間接部門での NotebookLM 活用事例を紹介していますので、ぜひご覧ください!

アイレットの生成 AI 導入支援サービス

アイレットは Google Cloud や Google Workspace の知見を活かし、間接部門を含む全社的な DX を強力に推進しています。

Gemini Enterprise や NotebookLM の導入をご検討の企業様は、ぜひお気軽にご相談ください!

Google Cloud でビジネスを加速させるなら、実績豊富な cloudpack へ