こんにちは。cloudpack広報の増田です。

ここは技術ブログですから、読者の多くはエンジニアじゃないかと想像しています。テッキーな記事の間にときどき私のゆるい記事が入ることに、心理的な抵抗がほんの僅かですがありまして、そろそろ別の情報発信の場を作ろうかなと考えている今日この頃です。

突然ですが「白いばら」

白いばら

創業80年を越える銀座の「白いばら」をご存知でしょうか。
銀座のアップルストアがある建物の裏通りを歩けば、1分もかからずに到着できる老舗キャバレーです。中に入ったことがないという人でも、通りすがりで、なんとなく存在を知っている人もいるでしょう。

白いばら

銀座の路地裏にぽっかりと残された「昭和」にも思えるこちらのキャバレー。何を隠そう若かりし頃、20年ほどむかしに一度だけ「今夜は社会勉強だ」と先輩に連れていってもらったことがあります。ビールを飲みながら歳上のホステスさんと他愛のない会話をして、途中で華やかなショーを見た記憶があります。

さて、懐かしい話ではじめるために、ワザと白黒写真にしてみましたが…

白いばら

本当はごく最近の朝に撮影した「白いばら」の建物でした。色を抜くだけで、昭和の雰囲気満点になるので驚きですね。天気のよい朝だというのに、真っ青な壁が少しくたびれて見えるのは、老舗がかもしだす「味」とでも言いましょうか。

さて、建物入り口の左側には「あなたの郷里の娘を呼んでやって下さい」という看板があります。銀座でこの看板だけは目にした記憶のある方もいるんじゃないかと思います。

あなたの故郷の娘を呼んでやって下さい

地図上には、出身県別にホステスさんの名札がピンでとめられています。出張中の人が店に迷って「同じ故郷のコがいるなら安心だ」とか、単身赴任中の方が「故郷のコと話をしたら寂しさが紛れる」とか、この地図看板にまつわるエピソードが多く語られています。まさにこの地図が「白いばら」のアイデンティティなのかもしれませんね。

そして銀座から虎ノ門ヒルズ7Fへ

アイレットの受付の扉を開けると、最初に目に入るのが奥にあるスモーキングルームのネオンサインと、右側の壁にかかっている黒板です。

アイレット受付

この黒板をもっと活用しようと、cloudpackのデザインチームがアイデアを出し合いました。ここはアイレットを訪れるお客様の受付です。お待たせしてしまう数分の間、短い時間にも何か楽しんでいただきたいね!と「白いばら」の看板をオマージュした案が採用されました。

アイレット受付

大きな黒板なので見応えあります。お客様にとっても、アイレットのメンバーにとっても、お互いに親近感を持つきっかけになるんじゃないかと考えたそうです。この黒板をチョークで描きあげたデザイナーの牧さんのコメント:

牧さんコメント

「一人ひとりに故郷があるんだよなぁと想像すると、なんか優しい気持ちになれるような気がして…」

制作過程もちょこっと紹介

黒板の設計図
まず俯瞰できるA4サイズの設計図を描いたようです。よく見ると、等間隔で罫線を引いてマス目を作り、全体を細かく分割することで描きやすくしています。

制作過程
大きな黒板の中に上下左右に、何本ものタコ糸を張って設計図にあわせてマス目を作り、一つひとつのマス目に何度も設計図を確認しながら、丁寧にチョークで日本地図の線を描いていきます。

私ならすぐに気が遠くなりそうですが、牧さんは丁寧に丁寧に黙々と描いていました(ここで金曜日の夜でした)。

制作過程
土日を挟んで月曜日の夕方に様子を見にいくと、やっと地図が描き終わったところでした。「おつかれさま」と声をかけましたが、牧さんは「まだまだこれから」と言います。

タコ糸を外すというので「これなら私にもできるね」とちょっとだけお手伝い。タコ糸をぜんぶ外した後に、なんと牧さんはタコ糸で格子状に途切れたチョーク線をつなぎ、線を太くするために描きなおしはじめたのです。「まだまだ」の意味がやっとわかりました。(ここで月曜日の夜でした)

さらに翌日、様子を見にいくとまさに仕上げのときでした。デザインチームのメンバーが加わり、手わけしてアイレットのメンバーの名前が次々と地図上に貼られていき、ついに黒板に命が吹き込まれました!

女性客も結構いるお店なので、まさかとは思いましたが『白いばら』に行ったことあります?と牧さんに訊ねてみたら、看板が面白いなぁと思っただけで行ったことがないとのこと。そもそもキャバレーという存在にもピンと来ていない様子だったので、そんな人にも惹きつける力を持った魅力ある看板だということですね。アイレットの受付黒板も、そんな風に人を惹きつける力があるといいですね。

アイレットにお越しの際は、黒板で同郷の社員を見つけて、アイレットのメンバーに親しみを持っていただけたら嬉しいです。

制作過程
(野田市で創業した会社なだけに千葉県出身のメンバーが多い気がしますね)