AIDD営業推進室の中山です。
Google Cloud Next 2026のラスベガスからの速報です。
Vertex AI Searchの最新動向、AI ModeのPrivate GA、ワイヤーカッターとPricelineの事例の紹介がありましたので共有します。以下がサマリーとなります。

サマリー

以下時間のない人向けのサマリーとなります。

検索はキーワード、セマンティックを経てAgenticの時代へ

ユーザーは「答え」ではなく「自分の代わりに行動してくれること」まで検索に求めるようになりました。会話的、ビジュアル、極めてパーソナライズされたAgentic Discoveryが新標準です。​

AI ModeがPrivate GA、回答が行動に変わる

Agent Search Answer API上で動く次世代AI ModeがPrivate GAで発表。MCP、Google Search、Google Mapsグラウンディング、Voice Modeまで、google.comのAI Mode体験を自社サービスにそのまま持ち込めます。

クリアボックス × 顧客事例で実装インパクトが見えた

ワイヤーカッターはCTR 80%、Product Click 40% 増。Pricelineは多段パイプラインを統合アーキテクチャに刷新してレスポンス4倍速。マネージドでありながら全段階に自社ロジックを差し込めるクリアボックス設計が実装を支えています

個人的には、Vertex AI Searchが「結果リストを返す箱」から「外部API、地図、カレンダーまで連動して行動を完結させるエージェント基盤」へ役割が一段上がったことが印象的でした。お客様提案の観点で言うと、ホテル、不動産、EC、サポートなど「探す」を伴うあらゆる業種で、AI Modeはそのまま提案ストーリーになると感じました。

そもそもAgentic Discoveryとは何か?

セッション冒頭Aaron Lewis氏はこう切り出しました。

ユーザー行動はそもそも根本から変わっている。お客様の体験への期待値はかつてないほど高い。

​検索体験の変遷が3段階で示されました。​

  • 過去:短く具体的なキーワード検索とリンクのリスト
  • 最近:セマンティックな質問と直感的な答え
  • 今:会話的、ビジュアル、パーソナライズされたAgenticな体験

一方で、本番運用レベルのAgentic検索を自前で作るのは難しく、3つのトラップがあります。​

  • データサイロ:構造化、非構造化、社内他システムへの分散
  • DIY AIのトラップ :LLM、ベクトルインデックス、各種パーツの自前統合と運用
  • 関連性のリスク:セマンティック、キーワード、マルチモーダルのバランス

​DIY検索基盤の維持に消耗されているお客様の典型課題に重なります。Google Cloudの答えは「コントロールを諦めずに、より強い土台に乗る」ことでした。

​ここからは新機能を領域別に紹介していきます。​

Vertex AI Searchの進化①: 4つの変革体験

​サイロ化されたデータをAI Searchに取り込むと、4つの体験が一度に解放されます。​

  1. マルチモーダル検索 テキスト、画像、音声を横断して必ず探しているものに到達
  2. パーソナライズドブラウズ 個別最適化されたフィードで継続的な発見を後押し
  3. AI Overview、AI Modeによる即時回答 google.comの体験を自社サービスでそのまま生成
  4. エージェント対応 事実に基づくグラウンディング情報をエージェントへ供給

Google側のグローバル計測では、AI Search導入で CTR 19.5% 向上、サイト滞在時間30% 向上、サポートチケット減 が確認されているとのこと。「効果が出ました」と数値で言える状態に揃っているのは提案で大きいです。

Vertex AI Searchの進化②: クリアボックスというプロダクト思想

​過去1年、プロダクトを「ブラックボックス」から「クリアボックス」へ進化させてきたという話が個人的には一番響きました。​

  • 拡張コントロール 一般提供開始:ランキング、可視性、カスタムランキングがGA。「結局チューニングできずに諦めた」という悩みに直接効きます
  • プロダクト安定性:取り込みの信頼性、オンボーディング容易性、深い可観測性に投資
  • 構成可能な価格設定:必要な機能だけを選んで使える形に
  • エージェント対応:AI Mode、Gemini Enterprise、ADK、MCP経由で接続可能

​エンドツーエンドのパイプライン図も披露され、クエリ処理、リトリーバル、ランキング、生成のすべての段階に「お客様が差し込めるフック」が用意されています。マネージド × カスタマイズの両立がここまで進んだのは率直に驚きました。

Vertex AI Searchの進化③: AI Mode Private GA、回答が行動に変わる

​ここがセッション最大の発表でした。Agent Search Answer API上で動く 次世代AI ModeがPrivate GA に。新しいAgenticフレームワークで駆動され、google.comのAI Modeと同じ体験を自社サービスにそのまま持ち込めます。​

  1. Agentic拡張性:標準化されたMCPでカスタムAPI、既存エージェント、外部システムをプラグイン
  2. ワールドクラスのグラウンディング:Google Searchで一般知識、Google Mapsで位置認識ワークフロー
  3. マルチモーダルエンゲージメント Voice Mode早期アクセス:ネイティブ音声入出力で双方向の自然な会話

Voice Modeはコンタクトセンター、店舗接客、車載アシスタントなど、これまでWeb検索UIに乗せにくかった現場に直接効くと感じました。

デモ: AI Modeで引っ越しコンシェルジュ

​Ian氏のライブデモはインパクト大でした。シナリオは「家族で新しい街に引っ越す」というもの。ユーザーがAI Modeに投げた発話は2つです。​

  • Yaleに向かっています。夫と私が70万ドル以下の家を探しています。小学校と中学校に通う子どもがいるので、学校がしっかりしていて、通勤がそんなに大変じゃない、雰囲気の良い住宅街の家を探しています
  • 次の月曜の朝に飛びます。最初の2件のツアーを予約してください

​裏側では、「Yale」を地理フィルタとしてNew Havenエリアに絞り、「70万ドル」を価格上限に変換、「学校がしっかりしている雰囲気の良い住宅街」をLLMの知識とWeb検索で評価、「通勤がそんなに大変じゃない」でMapsグラウンディングが起動して所要時間を計算。インテント分類、メインエージェントの動的ロード、学校評価MCP呼び出し、カレンダー登録までが連鎖的に実行されていました。
たった2ターンで「物件絞り込み + ツアー予約 + カレンダー登録」までシームレスに完結しているのを見て、率直に「これは本当に答えを行動に変えている」と感動しました。提案資料にそのまま使える説得力でした。

顧客事例①: ワイヤーカッター

ニューヨーク・タイムズの製品レコメンドサイト、ワイヤーカッターの取り組みです。「Wirecutter Finder」と呼ばれるGen AI検索をVertex AI Searchで構築しています。

  • 検索結果の CTRが80%
  • 購入ボタンクリックである Product Clickが40% 増加
  • 昨年コマースで100万ドル以上の流通額、読者数は近年3倍に成長
    採用したアプローチも勉強になりました。
  1. ElasticsearchからVertex AIとRAGアーキテクチャへ移行し、意図理解を起点にする
  2. ゴールデンデータセットを構築し、Gen AI検索を自社ジャーナリズムだけにグラウンディング
  3. プロダクトのデカップリングで、ジャーナリズムをチャンクに分けて出し分ける

Gen AI検索の時代に、読者との絆をどう保ち続けられるか。これが極めて重大なテーマだった。デプティパブリッシャー氏

顧客事例②: Priceline

​旅行予約PricelineのAI検索エージェント「Penny」の事例です。​

  • 旧アーキテクチャ LLMでホテル候補生成、内部マッチング、ランキングの多段パイプライン
  • 新アーキテクチャ 会話の要約をVertex AI Searchに渡し、ランキング込みで結果を返す統合システム
    成果は以下です。
  1. レスポンス4倍速、5秒台に
  2. 統合アーキテクチャ化で製品追加、データ取り込みが容易に
  3. ランキングが組み込みになり、後付けリランキングが不要に

Googleとの関係も「ベンダー利用」ではなく「パートナーシップ」として強調されており、データインデックス化、スキーマ設計、機械学習モデルのファインチューニングを共同で進めたとのこと。提案する際にも、この「共同設計」のスタンスが武器になります。

まとめ

​改めてまとめますと、​

検索はキーワード、セマンティックを経てAgenticの時代へ

​ユーザーが求めるのは「答え」ではなく「行動」。会話的、ビジュアル、パーソナライズの3軸でAgentic Discoveryが標準化します。​

AI Mode Private GAで回答が行動に変わる

​Agent Search Answer API、MCP、Google Search、Google Mapsグラウンディング、Voice Modeの組み合わせで、google.comのAI Mode体験を自社サービスへ。​

クリアボックス × 顧客事例が実装の現実解を示した

​ワイヤーカッターCTR 80%、Product Click 40% 増、Pricelineレスポンス4倍速。マネージド土台に乗りつつ全段階に自社ロジックを差し込める設計が事例を支えています。​
「検索」で来るお客様の課題は、サイト内検索改善、レコメンド、エージェント統合、コンタクトセンターなど多岐にわたりますが、Vertex AI Searchはこれらを1つのデータストアと検索エンジンで束ねる方向に向かっています。Voice ModeとAI Modeは現場接客にそのまま持ち込めるため、これまでAI提案が刺さりにくかった業界の新しい入り口になると感じました。

ご覧いただきありがとうございました。