AIDD推進室の中山です。Google Cloud Next 2026@Las Vegasにて【The agentic enterprise: Google Workspace & Gemini Enterprise】のセッションを現地で聞いたのでその速報となります。
新しい機能から既存機能のアップデートまでありましたのでその内容をまとめます。
写真を撮り忘れてしまったため文字だけでの共有となります。
サマリー
以下時間のない人向けのサマリーとなります。
コンテキストの2つの構造
Google Workspace の「Work Context」と Gemini Enterprise の「Enterprise Context」を統合することでエージェントが業務の実態を初めて正しく理解できる基盤となる
Task管理からOutcome(結果)管理へ
長時間稼働エージェント、Projects、Shared Chats により数時間〜数日かかる複雑ワークフローを自律実行
シャドーAIをマネージドAIへ
Agent Identity / Registry / Gateway / クライアントサイド暗号化という4つの柱で、企業グレードのガバナンスを標準化
個人的にはGoogle WorkspaceとGemini Enterpriseがコンテキストで棲み分けをしている部分が印象に残りました。
機能も重複している部分があったため使い分けに悩むことがしばしばありましたが、今回のセッションを聞いてクリアになりました。
そもそもエージェントとは何か?
エージェントの定義は人によって様々ですが、Googleは「チャットボットが質問に答えるものだとすれば、AIエージェントはゴールを達成するもの」と明確に定義しました。
エージェントが持つべき能力は以下3つとのことです。
- コンテキスト — ユーザー固有の情報を理解する
- 推論 — 複雑なゴールをステップに分解して計画する
- オーケストレーション — ツールを使って実際に実行する
個人的にはエージェントの定義にコンテキストを入れる点は新しい考えだと思いました。GoogleによるとLLMがいかに優秀でもビジネスのコンテキストを知っている必要があるとのことでした。
コンテキストが重要でGoogleはコンテキストを「Work Context」と「Enterprise Context」の2つに分けてそれぞれGoogle WorkspaceとGemini Enterpriseでカバーをするとのことです。
Work Context
動いているビジネスの豊富なコンテキスト、一緒に働く人々、優先度の高いプロジェクト、ミーティング周辺のチャットやメール、プレゼン資料など。
Google Workspaceがチームがコラボレーションし意思決定が下され日々の業務が行われる場所とのことです。
Enterprise Context
業務モデル、ポリシー、CRMやERPなどの重要システム。会社の中枢神経系でチームコラボレーションと、企業システムやバックエンドシステムに閉じ込められたデータとの橋渡しとなります。ここでGemini Enterpriseが登場します。
これら二つを組み合わせることでLLMがビジネスを理解することができるということです。
ここからGoogle Workspace(GWS)とGemini Enterprise(GE)の機能を順番に紹介します。
Google Workspaceの機能
1. Workspace Intelligence(GWS)
Gmail、Drive、Chat、Docs に散らばったコンテンツを統合セマンティックレイヤーでひとつの知識グラフに再構築する基盤機能です。
ポイントはGoogle 1stパーティの各サービスと連携している点です。LLMが常に最新のコンテキストつまり「日々のビジネスの現実」を理解できるため、実際の「仕事」そのものを Gemini に任せることも可能になります。
セッションではスプレッドシート内のGeminiでDriveにある他のファイルを参照させてそれをもとにグラフを作るデモも見ることができました。
2. Ask Gemini in Chat(GWS)
Google Chatから Gemini と会話しながらアクションを起こせるようになります。チャット画面でアプリを切り替えることなくスライド生成をしているデモを見ることができました。
3. Skills(GWS)
Docs上でSkillsが作れる機能です。Workspace Studioを使うことで即座にチームとSkillsを共有することができるようです。
Gemini Enterpriseの機能
1. Agent Designer(GE)
ここからはGemini Enterpriseの機能です。
一つ目はノーコードでエージェントやエージェントのワークフローが作れるAgent Designerです。すでに実装済みの機能ですが機能が追加されました。
以下の機能が紹介されていました。
- Gmailの通知などGWSのサービスの実行が可能
- GEと連携できる3rdパーティーのサービスのアクションも実行可能
- 任意のポイントで人間の承認を入れることが可能
- フィードバックを与えることで継続的な学習が可能
2. Skills(GE)
Gemini EnterpriseにもSkillsの機能が追加されました。
3. Long Running Agents(GE)
エージェントが数日にも及ぶ作業を実行できるようになりました。
4. Inbox(GE)
エージェント活動をすべて監視する統合コマンドセンターの機能です。
具体的には以下の機能が紹介されていました。
- 日常タスクから数日がかりのワークフローまであらゆる進捗を追跡
- アラート受信、Human-in-the-Loopによるフィードバックの提供を集約
- 通知は Gmail、Chat、外部メッセンジャーなど好みのチャネルへルーティング可能
5. Projects(GE)
プロジェクトにファイルをアップロードしたりチームを招待したりすることで特定のコンテキストを保持した形でチームメンバーとのやりとりが可能。
6. Shared Chats
チーム内の各メンバーが Gemini と交わしたチャットを共有・可視化できるようになりました。
7. Agent Platform
エージェント時代の「絶対的な信頼」を支える中核レイヤーとしてAgent Platformが紹介されていました。すでに実装済みの機能もありますが以下が紹介されていた機能です。
- Agent Identity
- 各エージェントに固有IDを付与し最小権限原則を強制
- Agent Registry
- 社内で許可されたAIエージェントの中央カタログ。IT/セキュリティチームが全可視化・全制御
- Agent Gateway
- ネットワーク/データアクセスの集中ポリシー。コンテキストアウェアアクセスでシャドーAIをマネージドAIに変換
- クライアントサイド暗号化(CSE)
- Google を含む全エンティティに対してデータアクセスを権威的に拒否できる鍵管理
データレジデンシーの観点では米国とEUに加え、ドイツ・インドなど今後さらに拡大予定。HIPAA、FedRAMP High などの厳格な業界標準にも対応しているとのことです。
8. Agent Marketplace
Box、Oracle、ServiceNowなどのパートナー提供の専門エージェントを利用できるマーケットプレイスが立ち上がるようです。
デモ
以下をGemini Enterpriseの中だけで完結しているデモが紹介されていました。
- 長時間稼働エージェントによるローンチ監視と問題の自動検知
- BigQuery / Zendesk を横断した根本原因分析と Jira チケット自動作成 → DevOps 自動アサイン
- Canvas モードでの Post-launch レポートを Google Docs ネイティブ体験として生成 → 同僚とリアルタイム協働編集
- 「これを毎週やって」で定期レポート自動化
- ハイブリッド勤務チーム6人のランチ調整を Workspace Scheduling Agent が完了
まとめ
改めてまとめますと、
- コンテキストが不可欠
- Workspace のワークコンテキスト × Gemini Enterprise のエンタープライズコンテキストを組み合わせて初めて、エージェントはビジネスの実態を理解できる
- タスクからアウトカム(結果)へ
- 長時間稼働エージェントと Projects により、誰もが「重労働を代行させる」指揮者になる
- シャドーAIをマネージドAIへ
- Agent Platform によって企業グレードのセキュリティ・ガバナンスが標準装備に
昨年からGoogle WorkspaceとGemini Enterpriseの使い分けは悩んでいた部分でしたがそれがクリアになりよかったです。またGemini Enterpriseの機能追加も多く使うことが楽しみになりました。KeynoteでもGemini Enterpriseの言及が多く期待するサービスの1つになりそうです。
ご覧いただきありがとうございました。