はじめに
本記事は、Google Cloud Next ’26のセッション「Fast-track to Google Workspace: Smooth migration, adoption, and interoperability」ついての記事となります。
セッションで語られた「Microsoft Officeへの互換性対応と戦略」についてレポートします。かなりGoogleのシェア獲得に対する意気込みを感じる内容です。
Microsoft Officeへの互換性対応とアップデート、戦略のシフト
まずは互換性戦略における考え方。
- 過去発表された Office 互換(Docs, Sheets, Slides で Office ファイルを編集) からさらに進化
- これまでは
- ユーザーの「大多数」が Workspace 上で業務できればよい、というフォーカス
- これからは
- 法務・財務などの「パワーユーザー/ヘビーユーザー」も含めて、Microsoft Officeから完全に乗り換え可能なレベルを目指す
- そのために投資を 4 倍に拡大し、基本機能、大容量ファイル対応、メール経由での共同編集など、あらゆる面で「Microsoft と同等かそれ以上」を狙うとのこと
そしてそれぞれ提供するソフトウェアの強化と互換性について発表と解説がありました。
Google Docs(文書):法務ユーザー向け強化
- 目標
- 法務やドキュメント重視の業務で「第一選択肢」になること
- 単に Word を真似るのではなく、
- 赤入れ/トラックチェンジ(Track Changes)の体験を再設計
- Gemini を活かした新しいレビュー体験を提供
- 具体的な強化ポイント
- キャプション、相互参照(cross-reference)、法務向けの引用形式など、
- Word で良く使われる高度な組版機能を、Docs Canvas 上でネイティブにサポート
- Word ファイルから受け取った場合も、これらの要素を崩さずにラウンドトリップ可能にする
- Small caps(小型大文字)といった、法務で重要視される細かい書式にも対応
- 登壇者自身が Gemini を活用して small caps 機能を実装したというエピソードを紹介していました
- 年内に達成する内容として
- 赤入れ/トラックチェンジの体験を抜本的に再設計
- それでもなお、Microsoft Word との互換性(ラウンドトリップ)を維持
- キャプション、相互参照(cross-reference)、法務向けの引用形式など、
個人的にはもうWordとDocsの差は気にならないんですが、細かいところ拘ってきてますね。
Google Sheets(表計算):財務・分析ワークフロー向け強化

- スケールとパフォーマンス
- すでに セル数上限を 2倍に拡大済み、さらにもう一度倍増する計画
- 財務部門/アナリティクス部門でも「十分速く・大規模に」使えるレベルを狙う
- 機能強化
- ピボットテーブルやチャートなど、分析に関わる機能を大幅強化
- Excel ファイルとの高い互換性
- ユーザーもコラボレーターも、「今 Excel で開いているのか、Sheets で開いているのか意識しない」レベルを目標
- Excel マクロからの移行(大きな目玉)
- 従来の課題
- 複雑な VBA マクロに依存した業務が多く、既存の変換ツールでは対応しきれない
- 実際には、多くのユーザーが自分のマクロを完全には理解していないため、移行が難しい
- 新しいアプローチ
- 自然言語で Excel マクロを Google Apps Script に変換するセルフサービス体験
- ユーザーは
- 「何をしたいか」を文章で説明することでマクロの移行と、ワークフローの再設計をコード不要で実現
- Gemini が「パーソナルなチェンジマネジメントコンサルタント」の役割を果たし、移行、ワークフロー改善 を支援
- 従来の課題
Excelでメチャクチャなセル数(行数)をローカルファイルで扱ってる人は未だにいます。そういう観点でも互換性以外でも強化している点はかなり強みが出てくる印象です。
Apps Script の位置づけ変更とアップデート

- Macro conversion
- Geminiを活用し、ExcelのVBAスクリプトをGoogle Apps Scriptに自動変換する機能であり、2026年6月にアルファ版が提供予定とのこと。
- Google Apps Script を「Workspace コアサービス」に格上げ
- Gmail や Drive と同等のセキュリティ/コンプライアンス/信頼性保証の対象になる
- 業務クリティカルな自動化基盤として正式に活用しやすくなる

- Gemini in Apps Script
- 2026年6月にアルファ版として提供予定の新機能
- 従来の「マクロ」から、より強力で安全な「Apps Script」への移行をシームレスに支援
- 特別な知識やスキルがなくても、安全なスクリプトを作成・運用できるように
- Fix errors with Gemini
- エラーが発生した際、このボタンをクリックするだけで、Geminiがエラーの原因を特定し、修正案を提示してくれる
- これにより、エラー解決のために検索エンジンで調べたり、コードを一行ずつ読み解いたりする手間が大幅に削減
これは地味に良いアップデートと考えており、ノーコードツールの充実より、多少の言語理解とリテラシーを底上げしたユーザーがGeminiでAppsScriptを生成して使う方が柔軟性高い気がしています。
Microsoftのエコシステム(ExcelマクロやPower Automate)を使っているユーザーが、ストレスなくGoogle Workspaceの自動化環境へ移行・共存できることをアピールしていますね。
Google SlidesはPowerPoint からの完全移行を目指す
- 改善ポイント
- PowerPoint からのレガシーコンテンツを忠実に扱えるようにする
- 埋め込みオーディオ・ビデオ対応
- レイアウト崩れを抑えた互換性
- パフォーマンス向上
- より速く・軽快にスライドを扱えるよう最適化
- PowerPoint からのレガシーコンテンツを忠実に扱えるようにする
- 目標
- マーケティングや経営層のプレゼンでも、「Google Slides を使っていても、相手には PowerPoint との差がわからない、あるいは「むしろ Slides の方が快適」と感じてもらえるレベルを目指すとのこと
OfficeはExcelとPowerPoint!って感じなので、ここも本気度感じますが、個人的には 今でもGoogle Slidesで充分ですが。
Google Workspaceと外部の主要エンタープライズツールとの統合

- Oracle Smart View for Sheets: Oracleとの連携アドオン(提供中)
- ServiceNow: ServiceNowからスプレッドシートへのエクスポート統合(提供中)
- Workday integration: Workdayとスプレッドシートの統合(ベータ版)
- Litera: 文書管理システムLiteraとの連携による、Googleドキュメントでの契約管理(2026年Q3予定)
この辺り、他サービスやパートナーも考慮しているよ。というフォローと、使っちゃってるユーザーへの配慮に見えます。
本気の対Microsoft Officeへの姿勢

今回のセッションではOfficeファイルを扱う際の、ターゲットとなる5つの主要ペルソナ(活用シーン)を定義していました。
- Foundational(基礎): GmailとExcelの連携など
- Analyst(アナリスト): スプレッドシートでの高度な分析
- Executive(エグゼクティブ): SlidesとPowerPointの活用
- Legal(法務): DocsとWordによる文書作成
- Ecosystems(エコシステム): クラウドとOracleなどの外部データ連携
「企業の基幹業務を Workspace に預けてもいい」と判断されるであろうシーンを明確に提示し、互換性とアップデート、エコシステムを踏まえて判断してもらえればWorkspaceは勝てるという意気込みを感じます。そこからGoogle Cloudとの親和性の高さによるインフラ、システムへの入り込みも予感しました。この辺のコンサルティングと導入支援能力をもっと身に着けねば!