AIDD営業推進室の中山です。
Google Cloud Next 2026のラスベガスからの速報です。
Gemini Enterprise Agent Platformを扱ったDave Elliot氏とAddy Osmani氏の対談セッションの紹介がありましたので共有します。以下がサマリーとなります。​

サマリー

以下時間のない人向けのサマリーとなります。

エージェントの「プロトから本番」が一気通貫へ

​Build、Scale、Govern、Optimizeの4本柱を持つend-to-end基盤。ID、ガバナンス、メモリのために多数のサービスをつなぎ合わせていた本番運用のしんどさを1プラットフォームで吸収する。​

暗号学的IDとメモリが第一級市民に

各エージェントに暗号学的に生成されたIDを付与し、認証情報付きでセキュアにアクセスさせ監査証跡を残す。Memory Bankは一般提供開始、長期実行エージェントは数日から1週間にわたり状態を保持する第一級機能になった。

Optimizeが新しい柱として立ち上がった

非決定的なエージェントを本番に置くためのAgent Evaluation、シミュレーション、エンタープライズ全体ダッシュボード、被害範囲を絞るSandbox。「とりあえず動くもの」から評価と観測を前提にした運用フェーズへ進んだ。

個人的には、Addy氏の「プロトタイプは作れるが本番にするのが極めて難しい」という言葉が、ここ2年現場で起きていたことそのものだと感じました。お客様提案でもこのギャップを誰が埋めるかが論点だったので、プラットフォームとして答えが揃ったのは大きな一歩です。

そもそもGemini Enterprise Agent Platformとは何か?


セッション冒頭、Addy氏はこう切り出しました。

エージェントのプロトタイプは作りやすい。本当に難しいのは、それを本番で確実に動かせるものに変えることだ。​

Agent Platformはその本番化までを1プラットフォームで担うend-to-end基盤として位置付けられました。
柱は以下の4つです。​

  • Buildエージェント構築の中核となるAgent Development Kit
  • Scaleランタイムを含むスケーリング基盤
  • Governゲートウェイ、エージェントID、レジストリ、異常検知
  • Optimize評価、シミュレーション、可観測性、サンドボックス

​ここからは新機能を領域別に紹介していきます。

Agent Platformの4本柱①: Build​

1. Agent Development Kitが中核

​ADKは昨年のCloud Nextで発表後、Python、Go、TypeScript、Javaの4言語をサポートしてロールアウトされたエージェント構築フレームワークです。エージェントの素早い立ち上げの中核となります。​

2. ガバナンスのきいたワークフロー

​ADKはGovernの柱と組み合わせて「規制対象でも、非決定性は維持しつつワークフローが必要な処理を実行したことを証明できる」状態を作ります。お客様提案の観点で言うと、金融や公共などコンプライアンス要件が厳しい領域で強力な武器になります。​

Agent Platformの4本柱②: Govern​

1. 各エージェントに暗号学的IDを付与

​これまで難しかった「エージェント単位の一意なID付与」が、暗号学的に生成されたIDで実現できるようになりました。「チームメンバーにアカウントを使い回させずcredentialsを渡すのと同じことをエージェントにもする」とAddy氏。​

2. ゲートウェイ、レジストリ、異常検知

​ガバナンスの柱はゲートウェイ、エージェントID、エージェントレジストリ、Dave氏が「隠れた目玉」と評した異常検知の4点セットです。Googleが長年エンタープライズで蓄積してきたエンジニアリング資産をエージェントに適用しているとのこと。お客様の運用部門が安心できる材料として提案資料に直接書けます。​

3. 監査証跡で「何が起きたか」を辿れる

​エージェントごとにcredentialsを払い出してアクセスを管理し、監査証跡を残せます。「何かが起きてもログがある」という事実はお客様のリスク部門との会話にダイレクトに効きます。​

Agent Platformの4本柱③: MemoryとLong-Running Agents

1. Memory Bankが一般提供開始

「半年から1年前にメモリは『期待されるレベルで動かないこと』の最大要因として浮上した」とDave氏。Memory Bankはその答えで、半年前のロールアウトを経て現在はGA。「最初からメモリの専門家になる必要がなく、保存すべきものをMemory Bankが判断して自律管理してくれる」のが嬉しい点です。

2. Long-Running Agentsが第一級機能に

Addy氏が「Cloud Nextの隠れた目玉」と呼んだのが長期実行エージェントです。数日から1週間にわたって動き続けるエージェントをGemini Enterpriseの第一級機能として扱い、「数日動かしているのに途中で半分忘れる」事態を永続性で防ぎます。

Agent Platformの4本柱④: Optimize

1. Agent Evaluationがコア

Optimizeは今回新設の柱です。「最適化」にはトークンの最適化と振る舞いの最適化の2つの意味があり、後者を担うAgent Evaluationが「答えになっているか、意図どおりに動いているか」を検証します。

2. シミュレーションと全社ダッシュボード

挙動を検証するシミュレーションと、全社のエージェントを1枚で俯瞰するダッシュボードが揃いました。複数エージェントが協働するアーキテクチャでは非決定性がそのままビジネスリスクになるため、SREや品質保証チームにダイレクトに刺さる領域だと感じました。

3. Agent Tracingと可観測性

エージェント版APMの立ち位置です。インラインダッシュボードで状況を逐次レポートし、脱線したらロジックが崩れた箇所を遡れる。長期実行で自律稼働するエージェントを本番に置くなら必須のピースです。

4. Agent Sandboxesで被害範囲を絞る

エージェントに自律性とツールアクセスを与える以上、blast radiusを限定するガードレールが必要だとAddy氏。「気づいたら銀行口座が空っぽ」を防ぎ、強い権限を持つエージェントにも安全な境界を引けます。コーディングエージェントに「ハンマーと釘だけ渡して鳥小屋を作らせる」という司会者の比喩がしっくりきました。​

コミュニティ事例

1. ブレインコンピューターインターフェイス×エージェント

額のストラップで脳波を読み取り、エージェントが集中状態や感情のような情報をもとにタスクの優先順位提案、休憩タイミング提示、楽しめるタスクへの切り替えを促すデモがCloud Nextのフロアで動いていたとのこと。

2. 「30 days」プロジェクト

エージェントがReddit、Twitterなどを巡回し「直近30日でバズった話題、押さえておくべきトピック」をまとめてくれるAddy氏紹介の個人プロジェクト。社内のキャッチアップ用途にも応用できそうです。

開発者の役割​

ソフトウェア工学の歴史は、抽象化レベルの上昇の歴史であるGrady Booch​

Addy氏はこの言葉を引き、「私たちの役割はエージェント群を運用する側へ移るかもしれないが、品質保証や設計原則の遵守という責務は誰かが担う」と述べました。Dave氏は「開発者は問題解決者であり、変わるのは道具のほうだ」とまとめ、ここ半年でAIの民主化が一段と進んだと振り返っていました。

まとめ

改めてまとめますと、

エージェントの「プロトから本番」が一気通貫へ

Build、Scale、Govern、Optimizeの4本柱で、Agent Platformはエージェント本番化のためのend-to-end基盤として整理されました。

暗号学的IDとメモリが第一級市民に

暗号学的ID、credentials払い出し、監査証跡、Memory BankのGA、長期実行エージェントの第一級化で、エンタープライズ要件をプラットフォーム側で吸収します。

Optimizeが新しい柱として立ち上がった

Agent Evaluation、シミュレーション、ダッシュボード、Sandboxにより、非決定的なエージェントを評価と観測を前提に本番運用する道筋が引かれました。
「PoCは動くが本番にできない」というご相談を多くいただいていましたが、その壁を埋める部品がGoogle Cloud側で揃ってきたように感じました。

ご覧いただきありがとうございました。