AIDD営業推進室の中山です。
Google Cloud Nextのラスベガスからの速報です。
Google Cloudのライブストリームで、AIプロダクトマネージャーのShubham Saboo氏によるAgent CLI、Agent Development Kit 2.0、Long-running AI agentsの紹介がありましたので共有します。以下がサマリーとなります。​

サマリー

以下時間のない人向けのサマリーとなります。

Agent CLIがエージェント開発ライフサイクルの入口になる

ビルド、スケール、ガバナンス、最適化までを1本のCLIに統合。Gemini CLI、Claude、Codexなどお好みのコーディングエージェントから「エージェントを作って」と命じれば、ADKとAgent PlatformのコンテキストをAgent CLIが肩代わりする。

ADK 2.0のグラフベースワークフローで決定論を手に入れる

エージェントの非決定論性を残しつつ、必要なところだけ決定論的なルーティングと実行を強制できる。金融、保険のような信頼性が必須な業務にエージェントを適用する道が開けた。

Long-running AI agentsで7日間の状態保持が可能に

Agent Runtimeによりエージェントが最大7日間 状態を維持できるようになった。Ambient agentsによるイベント、スケジュール起動と、Resume agentsによる中断地点からの再開がADKにネイティブで入り、Human-in-the-loopの長時間待機にもようやく耐えられる。

個人的には、Agent CLI、ADK 2.0、Agent Runtimeの3つが「エージェントでエージェントを作る」という同じ考えのもとで束ねられたことが印象的でした。これまでPoCで止まりがちだった生成AI案件を、本番運用の前提でお客様に提案できる材料がはっきり揃った印象です。

そもそもAgent CLIとは何か?​

セッション冒頭、Shubham Saboo氏はこう切り出しました。

Agent CLIは、スキルとコマンドの組み合わせで、エージェント開発ライフサイクル全体を一気通貫に扱える新しいCLIです。ADKとGemini Enterprise Agent Platformを使って何かを作るときの入り口になります。​

そして、Agent CLIが押さえるべき特徴として以下が示されました。

  • インストールするだけでGemini CLI、Claude、Codexなどお好みのコーディングエージェントがAgent CLIを拾って動く
  • Agent Platformに関する複数のスキルが組み込まれており、足場づくりからデプロイまでのコンテキストをCLIが保有する
  • 評価、観測性、ツール追加など、後工程の知識もまとめて持っているので「次に何をすべきか」を聞きながら作れる

ポイントは、Agent CLIが単独のツールではなく、ベテランのエージェントエンジニアの思考をスキル化したもの だということです。「Agent CLIに話しかけることで開発ライフサイクル全体が回る」という構造になっており、開発者は問題定義をシンプルな英語で書くことに集中できます。ここからは個別の機能を領域別に紹介していきます。

エージェント開発の進化①: Agent CLI​

1. ライフサイクルを1本のCLIに統合

ビルド、デプロイ、評価、観測性、ツール追加、スケール、ガバナンスまでAgent CLI経由で操作できます。コーディングエージェントに「エージェントを評価したい」と頼めば、Agent Platform側にどんな評価オプションがあるかを案内し、対話で機能追加を進めてくれます。

2. スキルがランタイムで選ばれる仕組み

スキルは「エージェントに能力を持たせる単位」で業界標準として広がっている考え方です。スキル登場前は単一プロンプトに何百行もの指示を詰め込んでいましたがAgent CLIではスキル群が用意されておりエージェントがランタイムで必要なものを選んで実行します。

お客様提案の観点で言うと、これは「プロンプトが肥大化して制御不能になった」という現場のお悩みにダイレクトに効きます。​

3. 学びながら作れる開発体験

評価方式の比較や観測性の入れ方をドキュメントを読むのではなくAgent CLIに質問しながら進められます。Shubham氏は「機能を追加するだけでなく過程で学べる」と表現していました。エージェント開発初期のチームの立ち上がりが速くなりそうな点はかなり大きいと感じました。

エージェント開発の進化②: Agent Development Kit 2.0

1. グラフベースワークフロー 新機能​

ADK 2.0で導入された目玉機能です。ルーティングとタスク実行のフローをグラフで定義し、本番ワークフローに必要な決定論性と信頼性をエージェントの世界に持ち込めるようになります。
エージェント全体を非決定論で組むのではなく決定論で固めるべき部分を明示的に固める設計が可能です。Shubham氏は金融サービスや保険金請求処理を典型例として挙げていました。

2. Ambient agents新機能

エージェントを「指示を受けたら動く」だけのものから、イベント、テキスト送信、スケジュールなど周囲の出来事をきっかけに自律的に動くものへ進化させる仕組みです。Long-running運用と組み合わせることで、人が常時張り付かなくてもエージェントが状況を見て動き続ける構成が組めます。

3. Resume agents新機能

Long-runningな構成では、ネットワーク断やHuman-in-the-loopの承認待ちなど「コーヒーブレイク」が必ず発生します。エージェント定義時にパラメータを1つtrueにするだけで、中断したところから再開できるようになりました。
保険金請求の承認のように、6時間後や8時間後、長い週末なら2日後の承認が前提になるユースケースで効きます。お客様提案の観点で言うと、Human-in-the-loopが現実的に運用できるかどうかはPoCを本番に乗せ替える時の最大の論点になりがちなのでここが解決されるのは大きいと感じました。

エージェント開発の進化③: Agent RuntimeとLong-running AI agents

1. 最大7日間の状態保持

Agent Runtimeによって、エージェントが最大7日間 にわたって状態を維持できるようになりました。今日動かし始めたエージェントが、2日前、3日前のやり取りを覚えたまま動き続けるということです。
これまで「エージェントは毎回ゼロから始まる」が前提だった世界から「コンテキストを持ったまま継続する」世界へ移ったというのが大きな変化です。

2. デモから本番へ

Shubham氏が繰り返し強調していたのが「デモから本番へ」というメッセージでした。グラフベースワークフローによる決定論、AmbientとResumeによる中断耐性、最大7日間の状態保持が揃って、はじめて「数日にわたって本番で確実に動き、実問題を解くエージェント」が組めるという主張です。

私たちはいまデモから本番、しかも本番で確実に動いて実問題を解けるシステムへと段階を進めているところなんですShubham Saboo氏​

生成AIを本番ワークフローに組み込めるかどうかは「デモは動いたが運用に乗らなかった」というところで止まりがちでしたので、この組み合わせは提案ストーリーとして本当に組み立てやすくなりました。​

マルチエージェントの取っ掛かり: Agent Garden

マルチエージェントの実装パターンに踏み込みたい場合の出発点として、Agent Gardenが紹介されました。

  • Google Cloudのエキスパートチームが組み立てた事前構築済みテンプレートのライブラリ
  • GitHubにソースコード公開、コーディングエージェントに取り込ませてカスタマイズ可能
  • そのままデプロイすることもできる

ADK側がサポートする基本パターンとして、以下の3つが挙げられました。

  1. Sequential:agentパイプラインのように順次実行
  2. Loop agent:エージェントが複数ステップをループ
  3. Parallel agent:複数のサブエージェントが並列でタスクを実行

加えてHuman-in-the-loop、Coordinator-dispatcher、Iterative refinementなど応用パターンも揃っています。Sundar氏のキーノートで紹介されたGoogle Cloud内部の移行作業も、Planner、Orchestrator、Workerの3ロールで構成されたエージェントチームの典型例でした。

重要なのは、自分の問題定義をシンプルな英語で書くこと、Agent CLIをインストールすること、好きなコーディングエージェントを使うこと。あとはひたすら話すだけですShubham Saboo氏

まとめ

改めてまとめますと、

Agent CLIがエージェント開発ライフサイクルの入口になる

ビルドからガバナンス、最適化までを1本に統合。コーディングエージェントから話しかけるだけで、ADKとAgent PlatformのコンテキストがAgent CLI経由で利用できる。

ADK 2.0のグラフベースワークフローで決定論を手に入れる

非決定論を残しつつ、必要な部分だけ決定論で固められる。金融、保険のような信頼性必須領域へエージェントを適用する道筋が整理された。

Long-running AI agentsで7日間の状態保持が可能に

Ambient agents、Resume agents、最大7日間の状態維持が組み合わさり、Human-in-the-loopの長時間待機が前提のエージェントを本番に立てられるようになった。

「エージェントでエージェントを作る」という考えのもとで、Agent CLI、ADK 2.0、Agent Runtimeが同じ方向に揃ったのは、お客様提案のストーリーを組み立てるうえでも非常にありがたいと感じました。特にLong-runningとResumeの組み合わせは、これまでPoC止まりだった案件を「本番運用に乗せる」議論へ進めるための強い武器になりそうです。

ご覧いただきありがとうございました。